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2014年10月27日 (月)

『日本労働研究雑誌』11月号

New『日本労働研究雑誌』11月号は、毎年の労働判例ディアローグは鎌田耕一、野川忍両氏です。

http://www.jil.go.jp/institute/zassi/new/index.htm

特集は「産業別労働組合の役割」で、

日本における産業別労使交渉と労使合意 川口美貴(関西大学大学院法務研究科教授)

「グローバル化」する労使関係と労働組合の対応─インドネシアの事例を中心として 山本郁郎(金城学院大学現代文化学部教授)

産業別労働協約システムの国際比較─ドイツ・フランスの現状と日本の検討課題 山本陽大(JILPT研究員)

過去の活動家に関心を向け始めた米労働総同盟・産別会議(AFL-CIO)─労働者の将来を安定させるために チャールズ・ウェザーズ(大阪市立大学大学院経済学研究科教授)

という4本。このうち、JILPTの山本さんの論文は、彼と同僚の細川さんがここ数年やっている現代先進諸国の労働協約システムの研究成果をまとめたものです。いや、『ビジネス・レーバー・トレンド』10月号でも、西村さんもあわせた3人のそろい踏みをしたのですが、JIL雑誌では山本さん一人で書くことになったようです。

本稿は、産業別労働協約を中心として協約システムが構築されてきたドイツおよびフランスの現状につき、検討を行ったものである。

(1)ドイツにおいては、伝統的に産業レベルで締結される産別協約が、当該産業における最低労働条件を定立し、使用者間での競争条件を同一化する機能を果たしてきた。もっとも、1990年代以降、産別労使団体の組織率低下を主な背景として、産別協約の直接的な適用率が低下している。そのため、最近では、伝統的な協約システムの機能を取り戻すため、「協約自治強化法」により、国家がより積極的な介入に乗り出しつつある。

(2)他方、フランスの協約システムにおいても、伝統的に産別協約がドイツにおけるのと同様の機能を果たしてきた。もっとも、フランスの特徴は、低い組合組織率にも関わらず、EU内で最も高い協約適用率を実現してきた点にある。これは、フランスにおいては、労使交渉の促進のため国家の強いイニシアティヴにより諸制度が整備されてきたという経緯に由来する。現在においても、かかる状況に特段の変化は無く、組合組織率がわずか8%でありながら、フランスの産別協約は98%の適用率を維持している。

(3)このようにみると、伝統的な協約システムを維持し、これを実効的に機能させるために、様々な形で介入を行おうとする国家の姿勢において、ドイツはフランスに接近しつつある。かかる両国の経験からすれば、我が国においても、労働組合の組織率が低下し、協約適用率はこれを更に下回るなかで、協約システムの機能を取り戻すため国家は何をすべきなのか(あるいは何をすべきでないのか)という問題について、改めて考えてみる必要がある。


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