20年前から問題は中高年
ちびちび小出しの『POSSE』24号。巻頭記事は稲葉剛さんの「貧困の現場から社会を変える」ですが、その中にこんな記述がありました。稲葉さんがホームレス支援に関わり始めた頃の状況ですが、
95年のホームレスの平均年齢がだいたい55歳程度でした。これは今でもだいたい変わりません。・・・層でいうと、45歳から65歳の方々が多かった。これは先述したように、まず労働と福祉の狭間にある人たちです。徐々に不況が進行してくると45歳以上だと仕事に就けないという話を聞くようになりました。もう一方で、福祉窓口では65歳以上にならないと駄目、と言われ、そのためにこの45歳から65歳という人たちが野宿をせざるを得ないという状況が広がっていったと思います。
そう、この失われた20年間に最大のひどい目に遭った年代層はまさにこの落ちこぼれてしまった中高年層であるわけですが、その時代に一番被害者だといわれ続けたのは、それまであまりにもいい目を見てきたためにそれが悪化した若者層であったわけです。
拙著で繰り返したこのアイロニーは、すでに20年前に段階で明らかであったのです。
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