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2014年10月18日 (土)

『若者と労働』第3刷

Chuko

さて『若者と労働』ですが、昨年8月の刊行から1年あまり経ちますが、今般版元より第3刷の連絡を受けました。

出ては消えるあぶくのような新書が多い中、着実に本書を読み継いでいただいている読者の皆様に心より感謝申し上げます。

最近も「Media Marker」という書評サイトで、「hori masa」さんによるこのような力のこもった書評がアップされていました。

http://mediamarker.net/u/masa-hori/?asin=4121504658

濱口氏がよく書かれている「メンバーシップ」型と「ジョブ」型の内容がやっと理解できた。「メンバーシップ」型で特定の仕事ができるとは言えない大卒を一括採用して育てる前提の日本の場合、新卒でメンバーになれないと経験を積む機会が減り、年齢が上がることで採用されにくくなり、さらに未経験のまま年齢が上がり、、という悪循環。

一方「ジョブ」型だと、特定の仕事に対して採用するから仕事経験の浅い若年層はそもそも採用されにくい。その雇用問題を解決するために教育機関にいる間に職業訓練などを充実させて採用されやすくしなければならない。採用はある「ジョブ」の空ができたときに経験のある人を採用するし、会社が仕事を減らしたら解雇される。若年雇用問題はあって当たり前の世界。逆に解雇については制限がきつい(仕事があるのに担当者をやたらと解雇できないとか、かな)。あと、同一労働同一賃金も成立しているのが前提。

また、ホワイトカラーエグゼンプションの話は「ジョブ」型の社会だと受け入れやすいが、日本の現状だとそういう会社が少数なので「ん?残業代払わない?」という話になっちゃうのは自然の流れかと。

一時期はやったギャップイヤーは、「ジョブ」経験のない大卒がとにかく経験を積むために仕事を探す期間ということだとすると、日本の学生が卒業後社会経験を積むための時間を得る、というのんびりした話ではなさげ。

とはいえ、日本の現代に限れば、就活のばかやろーといいながらしばらくは今の就活をやるしかないんでしょうな。みんな矛盾を感じつつも。

日本の労働法制が「ジョブ」型基本で書かれていて裁判判例が現実とのギャップを埋めている、というのはこの本で初めて知った。

ただ、せっかくここまで拙著を的確に読んでいただいているにもかかわらず、最後のパラグラフで、何の根拠も挙げないまま、私に対する「第3法則」的罵詈讒謗ばかりを投げかけている御仁の言葉を引用しているのは、残念の一言に尽きます。

濱口氏の経済政策に対する偏見については田中秀臣さんが批判していた。それを割り引いてもこの本は面白かった。雇用・労働の面からに絞って知識を得ればよいか、と。(失業率とインフレ率が関連しているように経済と独立した問題ではないので、それではいけないのかもしれませんが)

私の知る限り、この御仁の私に対する罵言は、私の出身組織と現に所属する組織に対する誹謗以外には見当たらないのですが、一体いかなる「経済政策に対する偏見」が指摘されているのか、せっかくこんなよい書評を書かれたのですから、きちんと根拠を挙げて説明されるとよいのではないでしょうか。

まさかとは思いますが、経済政策以外の面(労働政策など)でトンデモなことを言っている人々を、その面に着目して(リフレ派と区別して)「りふれは」と呼んだことを、誰かさんみたいに「経済政策に対する偏見」などといってるのではないでしょうね。

なお、「あんだんど」というブログでも、この拙著への詳しい書評を書いていただいております。

http://tech-and-race.blogspot.jp/2014/10/blog-post.html

・・・この本を読むと、仕事をする能力はない新卒を一括採用するという採用のやり方と、会社で人を教育して使える「社員」にするという考え方、新卒採用が毎年あるのでそれにしたがって定期異動もある、などなど全部はつながった話なのだなと(当たり前だが)理解できた。・・・

・・・「ジョブ」型社会で気になることとして、大学に必要とされる教育内容がある。職業に密接に結びついた教育ができる形にしないといけない。今の職員にそれが可能なんだろうか。そういえば、小幡績が、これからの雇用には大学ではなく、高専の強化だ、という趣旨のことを書いていた。・・・

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