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2014年10月12日 (日)

一番バランスのとれた朝日の社説 on 年功制見直し

安倍首相の年功制見直し発言に対する新聞各紙の社説は、日経など雇用システム論的観点をいささか欠いたものも散見されましたが、本日の朝日の社説は、ここ数年の学習の跡がよく示された、できのよい社説になっています。

http://www.asahi.com/paper/editorial2.html

もちろん短い社説ですから、専門家の目で細かいことをいえばいくらでもツッコミどころはあるでしょうが、この歴史認識はおおむね的確ですし、

年功賃金は終身雇用とともに「日本型」と呼ばれる雇用の仕組みを形作ってきた。企業は新卒の若者を一括採用し、仕事の仕方を教えていく。長く働き続けるほど賃金を上げることで、コストをかけて教育した社員を企業は囲い込める。働く側にとっては、将来の生活設計を安心して描けることが、配置転換や異動を受け入れてでも働き続ける誘因となった。

 この仕組みはもともと、経済が成長する時代に適しており、今ではひずみも目立つ。

 バブル崩壊後の1990年代以後、新卒の採用を抑えて中高年社員の比率が高まってくると、その「割高な賃金」が企業の重荷になった。リストラが必要になると中高年が標的になり、「追い出し部屋」をつくる企業さえ現れた。

 一方、正社員の終身雇用が優先されるため、卒業した時の景気が悪いと若者は就職が難しく、非正社員が増えた。

企業のやってきたことに対するこの評価もおおむね正鵠を得ています。

 企業も対応はしてきた。成果主義を導入するなどして、年功によって賃金が上昇する度合いを抑えた企業は多い。

 ただ、賃金制度を変更しても、年功的な要素を残している企業がほとんどだ。年功賃金は終身雇用など日本型雇用を構成する他の要素と深く結びついており、賃金だけを切り離して大きく変えるのは難しいからだ。

そして、一部の「ワカモノの味方」とは一線を画して、きちんとこの国際比較的な認識をきちんと提示していることも重要なポイントです。

欧米では一般的に、職務内容が雇用契約で決まっており、「同一労働・同一賃金」が基本だ。透明で分かりやすいが、未熟な新卒者よりベテランの方が職を得やすく、若者の失業率が著しく高くなりやすい。

その上で、首相発言の目指す方向性には好意的な姿勢を示しつつ、それが労使のすべき仕事であることを明確にしているこの一節は、未だになお、政府が法律で年功賃金制を強制してきたかのごとき誤った歴史認識を披露して全く恥じるところのない人事コンサルタントが平然と横行している現在、大変バランスのとれた社説として他紙の見習うべきところと言えましょう。

どんな賃金体系をとるかは、企業ごとに労使で協議して決めれば良い。しかし、日本全体として、どのような雇用制度を目指すのが望ましいのか。現在の仕組みが制度疲労を起こしている以上、政労使で目指す方向を議論することには意味がある。

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