本日、NHKラジオ「私も一言!夕方ニュース」に出演します
NHKラジオで夕方流している「私も一言!夕方ニュース」で、本日、「派遣法改正案 どう変わる派遣労働」が特集され、わたくしも出演します。
http://cgi2.nhk.or.jp/hitokoto/bbs/form2.cgi?cid=1&pid=29109
リンク先に書かれてあるのはマスコミ一般と同レベルのNHKスタッフの認識なのでしょうが、それがいかに間違っているかを説明しますのでご期待ください。
なお、派遣労働については最近では『POSSE』22号で今野晴貴さんと対談していますので、参考にしていただければと思います。マスコミも政治家も、派遣法の構造的問題は何も知ろうとしないまま、表層的な批判でわかったつもりになっている惨状はまことに酷いものです。
濱口:大筋で言えば、30年近く維持されてきた常用代替防止を中心的なコンセプトとする派遣法の構成そのものを見直そうという姿勢が出てきたところは、私は評価していますし、私が年来言ってきたことが初めてとり入れられたという意味ではむしろ率直に望ましい方向だろうと思っています。実は派遣法を攻撃する側も守る側も、日本的な常用代替防止というコンセプトを拠り所に議論をしてきたのですが、それ自体に疑問を呈するような政策の方向性が初めて打ち出された。今回の派遣法改正の発想というのは、「派遣と直接雇用であれば、直接雇用がよくて派遣が悪いとは必ずしも言えない。ただ無期と有期であれば反復更新するような有期というのは問題なので、無期にすべき」という、大まかに言えばそういった整理のもとに制度を設計しようとしている。
「日本的な常用代替防止」というのは業種というよりは業務規制ですね。つまり、世の中には常用代替するような業務と、常用代替しない業務がある。後者は専門的・技術的な業務であり、それはそもそも労働市場が日本的な雇用慣行の中にいる正社員たちとは違うものである。したがって、そういう業務だけ派遣を解禁しても常用代替しないのだ、と、法律の上ではそういう発想で書いてある。ところがそれを政令に落とした具体的な業務なるものを見ると、職業分類表にも出てこないような、ファイリングなどといった変な業務が出てくる。この業務だから常用代替しないというロジックではあり得ないような、誤魔化しの上に成り立ってきたんですよ。派遣法ができたときは専門業務だけだったのに、後からそうじゃない業務を加えたからおかしくなったという議論を、派遣法を攻撃する人たちはしたがりますが、それは事実に反しています。当初は13業務だったわけですが、その頃から普通のオフィスワーカーの仕事を専門業務と称して、常用代替しないのだというロジックでもって派遣法を作っていたのです。そこのところを抜きにして、対象業務を拡大したからこんな風になったんだというようなタイプの批判でもって派遣法を論じようということ自体に、私は基本的にインチキがあると思っています。このことが弊害をもたらしています。当初から派遣労働者を保護しようなどという発想が無かった派遣法には、徐々に対象業務が拡大する中で、論理的には整合性のとれないまま少しずつ保護措置的なものが入り込んできたんですが、依然として根本が常用代替防止だということになっており、かつその保護措置を加えろと言っている側が一番大事なのは常用代替防止だと言っているという矛盾を解決しないまま今に至っている。これが先のインチキがもたらした弊害の一つです。もう少し具体的に言うと、研究会報告でも取り上げられていますが、派遣労働者が直用有期と同じように反復更新をされて、通常であれば雇用継続の期待を認められてしかるべき状態であったにも関わらず、派遣法の目的は常用代替防止なのだから、登録型派遣労働者は雇用継続期待を持つこと自体が許されない、というロジックがあります。これは有名ないよぎんスタッフサービス事件で、日本の最高裁判所はそういうロジックを認めてしまっている。・・・
(追記)
今出演してきました。
NHKについてから知りましたが、私のお話の間にPOSSEの坂倉さんが電話出演しました。
(再追記)
この放送の逐語的書き起こしが、ここにアップされています。
« 遠藤公嗣『これからの賃金』 | トップページ | それは7、8年前からの持論です »
hamachan,ラジオ出演頑張ってください。それともお疲れ様、というべきでしょうか?
ところで今回の派遣法改正は、本来は派遣労働者保護という発想から始まったものなのに何故当の派遣労働者や労組から評判が悪いのでしょうか?労働者の勉強不足?それとも使用者側が法改正を悪用するから?それとも他にも理由があるのでしょうか?
投稿: NAO | 2014年10月29日 (水) 18時08分