麻野進『「部下なし管理職」が生き残る51の方法』
麻野進さんから『「部下なし管理職」が生き残る51の方法』(東洋経済)をお送りいただきました。ありがとうございます。
▼部下なし管理職とは?
参事、部長代理、副部長、課長代理、課長待遇、マネージャー、スーパーバイザー・・・呼び方は企業によって様々であるが、部下なし、権限なし、組織の業績責任なしでありながら、管理職の処遇をされている社員のことである。
このクラスは日本中の会社にあふれんばかりいるのが現状だ。
▼部下なし管理職は気楽?
どんなに景気が良くなっても、部下を持つポストはそうそう増えるものではない。ところが自分の後輩も、いずれは管理職になるので、ポスト争いは熾烈になる。出世を諦め、部下なし管理職で甘んじることはラクでもある。部下がいなくて権限もないが、所属部署の業績に対して責任なしであるから気楽なのだ。
▼力を発揮しなければ「戦力外」通告
このようなクラスは、景気が良く会社の業績も上がっているときはいいが、いざ会社の業績が悪化してくると、必要ない存在になる。つまりリストラのターゲットとされてしまうのだ。密かに実績を残していかないと、いずれは「戦力外」通告となる。
ではどうしたらいいのか? 部下をリストラし、そして会社からリストラされた著者が、組織で部下なし管理職が生き残る方法を説き明かす。
先日、都内某所で講演したときにご挨拶したことで、お送りいただいたようですが、拙著『日本の雇用と中高年』や楠木新さんの『働かないオジサンの給料はなぜ高いのか』、海老原嗣生さんの『いっしょうけんめい「働かない」社会をつくる』などで話題の、まさにその層の人々を真っ正面から取り上げた中身の濃い本です。
この本の中から、ホワイトカラーエグゼンプションのホントの本音をくっきりと出している一節を、
・・・ただし、そういう評価は35歳を超えたあたりから逆転する。
若手・中堅と見なされている間は「よく頑張っているな」という評価になるが、管理職扱いかどうかにかかわらず中高年になってくると、こういう評価になる。
「いつまでやっているんだ。何年この仕事をしているんだ」「生産性の低い奴だな」
しかし、これは決して理不尽な話ではない。ほとんどの日本企業は経験年数とともに給与が上昇していく人事制度運用をしている。
「成果主義」と言おうが、「実力主義」と言おうが、真面目に働いていれば昇給させている。それが定昇というものだ。
長い勤続年数の積み上げで高くなった給与は、課長級までくれば時給に換算すると3000円を超えているはずだ。
本人は若いときのパフォーマンスを維持するために長時間労働で何とか辻褄を合わせようとするが、会社はそんなことは理解しない。会社は若くて単価の安い伸び代のある人材には、残業代を投資と考えるが、中高年で単価の高い社員の残業代はコストと考える。
かくして、若い頃に長時間労働で高評価を得た者は、中高年になって働き方を変えなければ、“残業代稼ぎ”というレッテルを貼られることになる。
この問題の本質を言い尽くしています。
なのに、未だにホワエグでワークライフバランスと自由な働き方とか、ナンセンスな議論で通用すると思っている人々がいるからどっと疲れが出るわけですが・・・。
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