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2014年9月28日 (日)

荒木尚志編『社会変化と法』

0113630荒木尚志責任編集『岩波講座現代法の動態3 社会変化と法』(岩波書店)をお送りいただきました。ありがとうございます。

http://www.iwanami.co.jp/cgi-bin/isearch?head=y&isbn=ISBN4-00-011363

この講座自体錚々たる編集委員たちによる意欲的なものですが、この巻は荒木さんの周到な総論に続いて、下記のような中堅若手による論考が載っています(正確には、若手は二人か)。

I 雇用社会の変化と法

雇用社会の変化と法の役割  荒木尚志

非正規雇用と法  水町勇一郎

雇用社会の変化と新たな平等法理  富永晃一

雇用社会の変化とセーフティネット  菊池馨実

職場の変化と法  水島郁子

II 家族・ライフスタイルの変化と法

家族の変化と労働法  両角道代

高齢化社会における雇用と引退  森戸英幸

社会保障における「個人」・「個人の選択」の位置づけ  笠木映里

税・社会保障と情報  藤原靜雄

荒木さんの総論は、荒木さんらしくわずか25ページに本当にまんべんなく問題点を示しその方向性を簡述するものです。なにしろ、こんな一節もちゃんと入っています。

(3) いわゆるブラック企業の登場

さらに近時注目を集めているのが、いわゆる「ブラック企業」と指弾されている、コーポレート・ガバナンスの要諦である法令遵守意識が希薄で、過重労働・違法労働で労働者を使い捨てるような企業である。かつて正社員については長期雇用システムにおいて長期的な安定雇用の見返りとして使用者の指揮命令に柔軟に対応する雇用関係が認められてきたところ、そうした雇用安定の保障もなく、使い捨てるような働かせ方が批判を集め、厚生労働省も2013年9月には「若者の「使い捨て」が疑われる企業等への重点監督」を実施した。

以上のように、正社員を標準モデルとした長期雇用システムは、多様な労働者の多様な就業を前提としたシステムへと変容し、他方当事者である使用者もその性格を変容させつつある。こうした雇用システムの変化は、法にどのような変化を迫っているであろうか。

最後の結語の直前には、労働法教育の必要性への言及もされています。まあ、本当にまんべんない文章です。

で、その総論を受けて、上の目次のような各論がそれぞれの領域について詳しく論じているのですが、残念ながら荒木総論でかなり言及されているにもかかわらず、各論で受けられていない分野が労使関係の話なんですね。

昨年のJILPT研究会報告書をはじめとして、昨今の労働時間法制見直しの動きでも集団的労使関係システムのあり方が大きな論点になってくるであろうと思われることを考えると、この欠落はかなり残念です。

実は、昨日の現代の理論・社会フォーラムでの講演でも、終了後、労使関係の話がないじゃないかという質疑が出されまして、いやそれは単に時間の関係だったんですが、やはりその話なくては締まらないとは思いました。

今回の講座では、やはり労使関係に一章割いて欲しかったなとは感じます。

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