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2014年9月28日 (日)

「ゆるい就職」?

なんだか、「ゆるい就職」なるものが流行っているようですが、

http://yurushu.jp/

ゆるいのは就職の形態であり、仕事そのものはそんなにゆるくありません

いうまでもなく、週3日勤務なんてのは、法律上全く自由にやれるものであり、やりたければやればいいだけのものでなんでそれが「新しい」だの「実験的」だのという形容詞がつくのかさっぱりわかりませんが、まあ人材ビジネスであるビースタイルの宣伝文句であるなら世にいくらでもある話なので、とやかくいう話ですらありません。そこに大学の名前を権威主義的に振りかざそうという変な思惑がなければ、ですが。

ちなみに、ずっと昔から、所定労働日数の少ない労働者への年次有給休暇の付与日数について、労働基準法に規定がされていますので、そういう(どこがゆるいのかよくわからない)「ゆるい就職」なんてのは法の前提であったわけです。

比例付与(図表2).png

そう、雇用契約に基づいて労務を提供し、報酬を受け取るという契約関係である限り、ゆるいも何も、その所定労働日数に応じた義務と権利を負うというだけですからね。

それはメンバーシップ型の「入社」ではないというだけの話。労働法の基本原理からすれば、立派な「就職」です。仕事の中身が決してゆるくもないのに、それを「ゆるい就職」などという看板で売り出そうということ自体が、いかがなものかと思いますがね。

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コメント

濱口先生

ビースタイルの川上です。ご無沙汰しております。
ゆるい就職に関するブログでのご指摘を拝見しました。ゆるい就職は法律に則って提供されるサービスであり、先生のご指摘はその通りだと思います。

この企画はかねてから当社とお付き合いのある若新氏がプロデュースし、当社にて運営しております。若新氏は慶応義塾大学の特任助教を務めてみえますが、決して大学の権威を振りかざすようなつもりはございません。

ゆるい就職のイベントには、起業や芸能活動など様々なことに取り組みたい、週5日企業に拘束される働き方では十分な模索ができない、という方に多数集まっていただいています。

フリーターやアルバイトなどで働いている方の中にもそのような方々は多数いらっしゃいます。そういう意味では今までも社会に存在した働き方だと思います。ゆるい就職は週4日の休みを有効に活かし、一方で週3日はしっかりと月収15万円程度のパフォーマンスを上げるというコンセプトでまとめ直したものです。しかし、世の中にはまだまだ十分に認識されていないコンセプトだと感じております。今回の企画に対し、より多くの方に興味を持っていただけるようキャッチーなネーミングや打ち出し方を行っております。

当社は創業以来主婦向けのパートタイムの仕事を多数創出して参りました。これまで培ったノウハウを今回の企画に少しでも役立てることができればと考えております。ゆるい就職を運営するにあたり試行錯誤する中でたくさんのつまずきがございますが、一人でも多くの方にとってこの仕組みが有益なものになればと願っております。

所定労働日数がカウントしにくい、若しくはできない働き方(働かせ方)で、結局は無賃金の待機日を作るのには、この「ゆるい就職」はもってこいだと思います。少なくとも30年以上ゆるい就職を経験してきた小生としてはそういう感想を持ちます。

所定労働日がカウントできないい理由は、使用者から就労日の予めの提示がない場合だけではなく、労働者都合による就労日変更(ある程度労働者の自由)に使用者が応じた場合にもそうなります。
理由は、法制度上は(労基法で上見かけの)休日の指定があればよいだけで、労働日を事前に確定して労働者に通知する法的根拠がないからです。
小生のような立場の労働者は、過去から現在まで、これで泣いているわけですね。おそらく将来も変わることは無いように思えます。

以前からこのような働き方・働かせ方はあるわけでして、それで、賃金生活も、自分の事業や技芸などの挑戦も不安定になっている現状は多々あるわけですから、そういうことを言い出す人は、これで最も悲惨な状況不利な立場に置かれるとどうなるかということについて、もっと整理されるべきでしょう。
アルバイトAKBメンバーの話もそうなっちゃうんじゃないでしょうか?↓。
http://blog.goo.ne.jp/gooendou_1958/e/cda2a137fff08e3161a472beb79de2aa

労働日の事前通知を使用者に義務付ける法整備が無いまま、あまりこういうのを宣伝するやり方は如何なものでしょうか。もちん小生自身はこれで恩恵を受けた時もあれば、トホホな時も両方ありますけど。…因みに、後者(トホホな状況)の方が若干上回っています、間違いなく…。尤も、一部のエリート諸氏には「ゆるい~」が便利かもしれませんが…。

川上様


上で書いたように、私は週3日勤務の「就職」自体はごく当たり前の一つの選択肢だと思っています。
気になったのは、というよりも、正直言って気に触ったのは、それに「ゆるい」という本質的に不適切な形容詞を載せていることで、おそらくそれは企画主である若新氏の発想なのでしょう。

「ゆるい」という形容詞にいかなるコノテーションを載せるかはもちろん人次第でしょうが、まじめに残業までしながらフルに働いている人に比べて、仕事に対する対し方自体も「ゆるい」というイメージを重ね焼きされるのが一般的なように思われます。

いや、そういうイメージで、だから週3日勤務なんて「ゆるい」奴らは駄目なんだというと言うことをいう人はそれはそれでいいのです。別に人の思想信条をどうこう言うつもりはない。

このコンセプトにたまらなく違和感を感じたのは、そういう「ゆるい」奴らに対する蔑視感を受け手が有していることを前提としつつ、それを逆用する形でコンセプチュアライズしていることが窺われたからです。

これは、同じ若新氏の「ニート株式会社」にもいえます。これは一見とんでもない発想のように見えますが、法形式を抜きにして考えれば、要するに労働者協同組合です。それをわざと「ニート」というペジョラティブな言葉で神経を刺激して気を引こうというあざとさを感じて、あんまり感心しなかったのです。

今回のもそれとよく似た感想を持ちました。

ゆるい就職参加者で、この4月まで本庄ゼミだった者です。こんにちは。

私のイメージでは、濱口先生は、「労働法界の異色な大御所」です。

労働法は細かいところまでよくわからなかったのですが、濱口先生の本が(お世辞じゃなく)、私にとって一番面白かったです。
(本の内容はほぼ忘れました。人に説明できるレベルまでは、まだ理解できていません。)

私は、抽象的ですが、濱口先生・本田由紀先生の考え方にとても共感していました。このプロジェクトのアイデアを出した若新さんも、濱口先生と同じ方向を向いている、と私は考えています。


「メンバーシップ型雇用=正社員=すばらしい/人間として当たり前」という雰囲気が、日本にあると思います。例外はあると思いますが、少なくとも、私は今まで日本で生きてきてそう感じました。

大学3、4年生では、院を目指す人以外は、就職活動をするのが当たり前でした。

「これが、三種の神器の一つ、メンバーシップ型の入り口なのかー・・・」と思いながら、私も就活していました(笑)

途中で就活やめたのですが、その時は周りから結構非難されました。正社員じゃないと社会的なマナーは勉強できない等言われました。

制度と人の意識の間には、ギャップがあると私は考えています。少なくとも、労働制度の場合は。
労働者一人ひとりの目線にたつと、現時点では、慣習・雰囲気・文化etcを、より重要に感じると考えます(周りから非難されたくないから、それが常識だからetc)。

裁判所も、ジョブ型の労働法より人の慣習を優先させて、メンバーシップ型雇用のための判例をたくさん生み出して、労働制度を作り上げているんですよね。(うろ覚えです。)


若新さんは、この世の中の雰囲気を相手にして、「ゆるい就職」「ニート会社」などを企画したのではないか、と私は考えています。
名前も、先生が指摘している通り、世の中に対するアピールだと、私も思います。

「『ゆるい』奴らに対する蔑視感を受け手が有していることを前提としつつ、それを逆用する形でコンセプチュアライズしている」かは、私にはよくわかりません。でも、それでも良いんじゃないか、と思います。
日本の労働の慣習に風穴を開ける目的だからだ、と私は考えるからです。良くないことを企んでいるわけではないです。

濱口先生と若新さんは、同じ方向を向いている気がします。(ゆるい就職の説明会では、濱口先生の本を参考にしたのではないか、と思われる説明がありました。ざっくりと、労働制度を時代を追いながら説明していたんです。)

p.s.本庄先生と飲み会があるときは、よければ誘ってほしいです!濱口先生と話してみたいです。

元静大労働法ゼミ 三堀

このエントリ、事業主体のビースタイルの川上さんが書き込まれたかと思うと、今度はゆとり就職参加者の方が書き込まれるという具合で、なかなか双方向的なコミュニケーションになっております。

三崎さん、コメントありがとうございます。そうですね、基本的な認識枠組みはむしろ共通するところが多いようにも思えますが、ネーミングのセンスが私とはかなり違うのですね。

濱口先生、返信ありがとうございます!

「JK課」「ニート会社」「ゆるい就職」・・・
よく考えれば、全て可愛い・親しみやすい名前です。私にとって^^

ゆるい就職に参加していながら、なんで「ゆるい」って名前にしたのか、真意を知りませんでした!
はまちゃん先生のお陰でそれに気づいたので、今度聞いてみます。
ありがとうございます。

三堀

そうそう、その「JK課」です、一番若新さんの言語センスに「をいをい」を感じたのは。

マスコミ受けするのに絶好のネーミングであることはよくわかるのですが、それにしても・・・・・・、でした。

そうなのですか。(笑)

JK課のネーミングについては、若新さんが説明をしている記事を見つけました。

この記事から引用します。(著作権、問題ないですよね?)
http://president.jp/articles/-/12343

---------------------------
・・・・・女子高生たちにも、「これは本当に私たちのプロジェクトなんだ」と思ってほしかった。一つには「JK課」というネーミングです。
「JK」という言葉をネガティブに捉える大人が多いのは承知ですが、彼女たちの世代にとっては、ものすごく身近で馴染みのある普通の言葉です。
それだけのことにも大きなズレがあります。今回は、あえて彼女たちの立場や感覚を最優先にして「JK」という言葉を使い、「自分たちが主役だ」と感じてもらいたかったのです。それがうまく伝わったのか、プロジェクト開始前から、口コミでたくさんの女子高生が集まってくれました。彼女たちは、もし「女子高生まちづくり課」というような名称だったら参加しなかった、と口を揃えて言います。彼女たちは大人の目線や態度に敏感です。まずは彼女たちを信じ、徹底的にリスペクトすること、それがこのプロジェクトの成功の鍵を握っていると思います。・・・・・
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私は、この記事を読んで、「見た目からは想像できないくらい、よく考えてる人なんだなー」って思った記憶があります。^^

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