アンチブランドの行く着く先
元経産官僚の宇佐見典也氏が、とても面白く重要なことを語っているので、やや長めですが引用。サラリーマンが元いた会社を辞めた後のビジネス戦略なんですが、
http://usami-noriya.com/?p=4564(脱サラ後のブランド戦略について当たり前のことを言っておく)
・・・この時大きく3つの選択肢がある。第一に元いた組織とは全く関わらない新しいブランドを作り上げていくという方向性、第二に元いた組織のブランドの上に自分独自のストーリを積み上げてサブブランドを作り上げていく方向性、そしてもう一つは自分が元いた組織を徹底的に批判することで元いた組織のアンチブランドを作るという方向性だ。
第一の選択肢は自分がそれまで築いて来たキャリアを完全に捨て去ってゼロからチャレンジする、というものでこうした道を辿れるヒトは才能にあふれた「アントレプレナー型」とでも言える特別な存在である。 そういう人達に取ってはサラリーマンとして働いていた時間こそイレギュラーであって、元々自分というブランドがしっかり固まっていたのだろう。有名どころだと村上世影みたいなヒトがそういうタイプだ。
一方第二の選択肢は凡人の取るアプローチだ。自分が元いた組織の経験や「○○にいた」というブランドを根っこにしてその上に自分独自のストーリーを積み重ねて、徐々にオリジナリティを確立していくタイプだ。大きい組織であればあるほど社会との界面が多く、そうした立ち位置を取り続けて粘り強く自分の専門性に根付いた地に足の着いた情報発信を続ければ、ブランドが浸透して少しずつチャンスが与えられるようになってくる。私自身そういうタイプである。なおこういうタイプはリクルートなどに多い。(会社が無理矢理そうさせているところもあるらしいが)仮に「サブブランド型」とでも言っておこう。
第三の選択肢は悪魔の誘惑だ。大ブランドであればある程その対立する勢力は多く、そちらに組する誘惑は多い。そしてそちらの道を歩めば積み重ねが不要でそのまま「元○○」というブランドが最大限活用できる。日本では労働の流動性が低いため、特定の組織文化が育ちやすくまたそうした情報が人間の異動を通じて共有されない。また、一般に大ブランド側の反論は「権力の利用」と批判されてしまうため、アンチブランドは好き放題言いたい放題という状況がしばし続く。フィーバータイムだ。しかしながらアンチブランドの絶頂はまさに「辞めた瞬間」であり、その後正しい情報が徐々に伝わっていくなり、元いた大ブランドから情報が締め出されていくなりして信頼性を失い孤立していくので、衰えていくしか無い。こうして現実から途絶されるので、最終的にアンチブランドの行く着く先は非現実的な理論と歪んだ現実認識に根付く妄想の世界となる。こうして彼らは陰謀論に走ってカルト化していく。
この第3の選択肢をとった人として、誰が念頭に浮かんでいるか、おそらく宇佐見氏の念頭とわたくしの念頭とでは、その関心分野のずれを反映して、違う人物像が浮かんでいるのではないかと思われますが、さはあれ、この宇佐見氏の形容があの人やこの人に見事に当てはまることは間違いないようです。
そして最後のこの哀切極まる言葉も・・・。
とても当たり前のことだけれど、非常に重要なことなのでなんとなく将来の脱サラを考えているヒトの心にとめておいて欲しいので書いておいた。友人もなく孤独にウソをはき続けるアンチブランドの末路は見るに哀れすぎる。
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コメント
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Hamaちゃんが念頭におかれているのはアゴラーなお方のことでしょうか?
投稿: Nao | 2014年9月19日 (金) 19時05分