六二郎さんの拙著書評
久しぶりに日経文庫『日本の雇用と労働法』の書評です。六二郎さんという方の「語り得の世界」。
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労働のありかたや労働法については、長年給与生活者として暮らしてきていながら、高校の社会科で習ったことと、仕事上での耳学問程度の知識しかない。
思えば、労働というのは人生のなかでもっともウェイトの高い活動だから、考えるべきことはいっぱいあるはず。しかし、労働の中身についてはいくらでも語れるのに、労働という行為を対象化して考えたことはあまりない。
この本では、日本の雇用・労働について、時代々々の、姿・慣行、法律、関係裁判例などを詰め込んだ本である。筆者にその解説や批評ができる力量はないが、要点をまとめると次のようになるだろう。・・・
と、拙著の内容を要約しつつ、
・・・労働をめぐっては、メンバーシップ型雇用にしろ、ジョブ型にしろ、社会の至るところに相互に関連する事象が多く、諸問題はいずれもインターロックのような状況になるようだ。
とまとめられます。本書の書評はここまでで、その先は、この一つ前のエントリである「歴史性と非合理なデザイン」にひっかけつつ、
前稿「歴史性と非合理なデザイン」では、歴史がデザインを規定する部分があることを書いたつもりだが、人間の社会は、それぞれの社会の歴史を背負っているわけだから、社会システムを考えるときには、その文化から独立に最適化を考えることはできないということになるだろう。
そういえば、ウェーバー「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」では、時給単価を引き上げた場合、労働意欲が増す国民と、労働意欲が減退する国民があることを、当時の統計に基づいて示したうえで、文化(この場合はプロテスタンティズム)の役割を指摘していたのだった。
と、話を広げています。
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