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2014年9月26日 (金)

駒村康平『日本の年金』

S1501p駒村康平さんの『日本の年金』(岩波新書)をお送りいただきました。ありがとうございます。

駒村さんとは今まで何回か連合総研の委員会などでご一緒させていただいてきましたが、今回の本はタイトルからも決定版ということですね。

http://www.iwanami.co.jp/hensyu/sin/sin_kkn/kkn1409/sin_k785.html

この本で紹介したように公的年金制度は、保険料、給付額のみならず支給開始年齢も変更されることがあり、これが加入者からは制度不信の理由にされることが多い。しかし、こうした調整ができるからこそ公的年金は社会・経済の急激な変化に対応できるということを忘れるべきではないであろう。公的年金制度は「生き物」であり、その時々の変化に迅速に対応する必要なのである。政治が世代間、世代内の利害調整を厭い、その場しのぎの近視眼的な対応、弥縫策をくりかえせば、それこそが公的年金制度にとっては最大のリスクになる。

版元HPに載っている上の文章は「あとがき」の一節ですが、実はその直前のパラグラフに、大変重要な言葉が書かれています。

・・・急激なグローバル経済の中、予期しない経済変動から市民のセーフティネットを守るために社会保障の役割は大きくなるべきである。しかし、高齢化社会の中、経済が沈滞化し、財政負担に余裕がない日本では、ナショナルミニマムを担う部分は普遍主義的な社会保障制度の構築、ナショナルミニマムを超える部分は市場メカニズムの活用、地域福祉は地域の互助を組み合わせた、「中庸の思想」で乗り切るしかないと考える。

そう、社会保障に限らず、労働問題についても、この「中庸の思想」をどこかに置き忘れてきたような、わざと極端な議論をもてあそぶ手合いが政策論の品質をどんどん落としていくのですよ。

ちなみに、岩波新書1500点ということで、字が大きくなったそうです。たしかに、そうなってますね。もしかして読者層の高齢化に対応したとか?


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