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2014年9月 2日 (火)

ワンポイントメモへの注釈

yamachan-blogに「労働法ワンポイントメモ:「公益通報」と「申告」」というエントリがアップされています。例のビューティなエステティックサロンの事案について、法律上の論点をまとめたものですが、

http://social-udonjin.hatenablog.com/entry/2014/09/02/111121

実は申告の多くの部分は公益通報と重なり合っている。

ことを指摘しつつ、その違いとして、

第一に、労働者を保護するルートが異なる。公益通報は民事上の保護であるのに対して、申告は刑罰を前提にした間接的な保護である。前者は訴訟になったときに保護されますという話で、事業者を罰するというのは後者の話。労働者保護ルールに関して、ここがごっちゃになることが多いので要注意。

第二に、公益通報は退職者を含まないが、申告は退職者を含むということ。例えば退職者による未払い賃金の申告は、最もよくある相談の一つであるが、賃金請求の時効にかからない限り、在職中であるか否かにかかわらず、申立てが可能である。(ちなみに賃金請求権の時効は2年。退職金の場合は5年。)

と述べています。これはこれで正しいのですが、厳密にいうと、労働基準法104条2項という根拠規定そのものは、「刑罰を前提にした間接的な保護」であると同時に、それ自体「民事上の保護」でもあります。

(参考)太洋鉄板事件(東京地決昭25.12.28)

第五、当裁判所の判断の要旨
 一、申請人一成が昭和二十三年十二月に就業中熱傷を負い、その結果身体障害を存しその後以前のように働くことができなくなつたこと、被申請人会社がその後労働基準法所定の災害補償金を支拂つていないこと、申請人らが、亀戸労働基準監督署へその旨を申告した結果同署が補償決定をしたことはいずれも疏明されている。
 二、よつて本件解雇の効力について考えてみる。
  (一) まず、会社の主張する申請人等に対する解雇事由をみるに、申請人斉が洗滌部副主任として鉄板の洗滌順位を適宜変更して操作したこと、申請人一成が本年に入つてから時折欠勤、早退したこと、職場の同僚と口論したことのあつたことなどは一應認められるが、右操作順位の変更は、材料の節約その他の必要から、通常この種の作業においては行われていることであり、また前記欠勤、早退等については責むべき点が皆無とはいえないが、これらをとりあげて直ちに前記就業規則に該当するものとはいゝ難いし、他に両人が特に職場の同僚から嫌惡され、又は作業能率を低下させ、その結果会社に損害を與えたような事情については疏明がない。
  (二) しかるに本件解雇が亀戸労働基準監督署の災害補償決定がなされた直後に行われたこと、及び会社代表者取締役及川武三が亀戸労働基準監督署から災害補償決定書の送附をうけて間もなく会社從業員の代表者及び申請人両名に対して、会社の機密を外部へ洩すような者を雇傭しておくわけにはいかないという趣旨の発言をしたことなどが疏明されており、これらの事実と前記(一)において一應認めることのできた事実を綜合すれば被申請人会社の本件解雇の決定的な理由は申請人らが、労働基準法に違反する事実を労働基準監督署に申告したことにあると判断せざるをえない。また申請人が予告手当を受領したことは認められるが、これによつて同人等が会社側の解雇の意思表示を承認して、以後このことについて爭はないことを約したものとは認めがたい。
 よつて本件解雇は労働基準法第百四條第二項の規定に違反するものであり、同規定は効力規定と解すべきであるから、これらの解雇の意思表示は無効なものというべきである。
 解雇が無効であるにかかわらず被解雇者として取扱われることは労働者たる申請人等にとつて著しい損害であるから申請人の從業員たる地位を保全する必要ありと認め主文の通り決定する。

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