お腹いっぱい 素人が読むには難しい本
アマゾンレビューで、『日本の雇用と中高年』への書評がアップされています。
http://www.amazon.co.jp/review/R23MZ6JZDD4FVS/ref=cm_cr_pr_perm?ie=UTF8&ASIN=4480067736 (お腹いっぱい)
盛りだくさんの本である。内容的には大学の教科書として使えるだろう。法学部の学生が一学期で学ぶのにちょうど良い分量だと思われる。ただし新書という形式の本としては表現が難しい。内容を半分に絞り込んで、もっと平易に判例ではなく実例を使って説明すれば、世の中の人にたやすく理解してもらえると思う。著者の主張には同意できるだけに惜しい本である。前書きもなければ後書きもない。素人が読むには難しい本である。ちなみに終身雇用を前提とする正社員制度のかわりとして著者が提唱している「ジョブ型正社員」は、正確には「限定社員」である。アメリカなどの「仕事に人を付ける」方式を目指しているので、仕事や場所が限定された「限定社員」と呼ぶべきであり、あえて「○○型正社員」と名前に正社員を残すのは誤解の元である。この本を熟読すれば、日本の終身雇用、年齢差別、年功賃金が鉄のトライアングルになっている理由がよく分かる。そのスキマを付く形で日本の雇用が悪化している現状を見ると、個々の会社が人件費を減らすために部分最適を追求した結果、日本全体として全体不適になってしまった道筋がよく分かる。雇用問題が児童手当や住宅政策にまで関係するという指摘は鋭い。
「著者の主張には同意できる」けれども、「新書という形式の本としては表現が難しい」とか「前書きもなければ後書きもない。素人が読むには難しい本である」とか、かなり厳しい批判をいただいております。
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「日本の雇用と中高年」は、まだ読んでる途中です。
なので、読後の感想は書けませんが、その一方で橋爪大三郎さんの「はじめての構造主義」も読んでいます。
この本は、「構造主義」の生みの親である、レヴィ=ストロースがどういう過程で、「構造主義」を生み出したかが、分かりやすく書かれています。
この「構造主義」の考え方を「雇用」にあてはめた場合、肝になるのが「交換」という概念だと思います。
例えば、元々人類学者であった、ストロースは色んな文化圏で共通のタブーであった「近親婚」がなぜ禁止されているのかを考えるにあたって、「社会は「女性」を交換するシステムである」こう考えたようです。
この考え方には、いろいろと異論があると思いますが、この「女性」を「時間」に置き換えて考えると、そこから、「雇用」を巡る問題が見えてくると思います。
それで、ストロースの場合には、「女性と社会の安定性が交換される」こう考えたようです。
そして、「近親婚」には社会の安定を損なうリスクがあるから、タブーになっている。こう結論付けたようです。
では、「働く」とは何でしょうか、その答えの一つが「個人個人が自分の「時間」とお金を交換することである」こう考えられると思います。
次に、「ジョブ型」と「メンバーシップ型」の違いを考えると、ジョブ型が「一つ一つの「ジョブ」を遂行するための時間とお金を「交換」している」のに対して、「メンバーシップ型」は「個人個人が自分の「人生」とお金を交換している」。こう考えていいと思います。
その現れが、「終身雇用」であり「年功序列」であると。
そして、今「メンバーシップ型」の雇用が揺らいでいるわけですが、これは同時に「自分の人生とお金を交換する」という「生き方」が揺らいでいる。こう考えることができると思います。
投稿: 我無駄無 | 2014年9月11日 (木) 17時49分