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2014年8月24日 (日)

解雇の金銭補償を論じるなら、EU諸国の状況をちゃんと踏まえて・・・

本日の日経3面に「不当解雇、金銭補償で解決 政府が検討着手 年収1~2年分 主要国と足並み」という記事が載っていますが、

http://www.nikkei.com/article/DGXLZO76084660T20C14A8NN1000/ (不当解雇、金銭補償で解決 政府が検討着手 年収1~2年分 主要国と足並み)

政府は裁判で認められた不当な解雇を金銭補償で解決する制度の検討に入る。解雇された労働者が職場に戻る代わりに年収の1~2年分の補償金を受け取れる枠組みを軸に検討を進める。労働者が泣き寝入りを迫られる現状を改めつつ、主要国と金銭解決のルールで足並みをそろえる狙いだ。2016年春の導入をめざすが、中小企業や労働組合の反発は強い。実現には曲折がありそうだ。

何回言ってもマスコミの頭は変わりませんが、「政府という名の人」はいません。

現時点では、政府の中の規制改革会議と産業競争力会議がこの方向の提起をしていますが、厚生労働省の労働政策審議会や研究会なりが検討を開始したという事実はありません。

ただ、厚労省でもかつて2003年改正時や2005年労契法研究会報告では解雇の金銭解決について検討していますので、否定的というわけでもありません。

いずれにしてもこの記事で書かれていることは、昨年来の産業競争力会議の動きとそこでの厚労省の対応を超えるものはないので、同会議の資料と議事録を見れば全部出てくる話で、このネタで今の時点で何か新しい動きがあったかのような記事を書くのは、いささかどうかという気がしますね。

せっかくこういう記事を書くのであれば、もう一歩進んで勉強して、EU諸国の解雇規制ではどうなっているかぐらい調べて記事に盛り込んだら、少しくらい付加価値がつくのではないかと思うのですが。

え?どこを見たらそういう情報があるのか?って?

Jil 今月、JILPTから出た『欧州諸国の解雇法制』には、EU諸国の解雇規制の姿がいくつかの表の形でまとまっていますよ。労働法関係で記事を書くのであれば、こういうのにもちゃんと目を配っておくことが重要です。

http://www.jil.go.jp/institute/chosa/2014/14-142.htm

http://www.jil.go.jp/institute/chosa/2014/documents/0142.pdf

・不当な解雇の場合の補償金

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コメント

EUに合わせる義務はないし、米国など他の国のデータも見るべきですね。

とはいえ、EUでも意外と短い国もありますね。
5か月分くらいなら、もともとの給料を低めに抑えておけばなんとか払える中小企業もあるでしょうね。
さすがに2年分とかになると、多くの中小企業は支払えずに廃業するか、その支払いのために借り入れをして、返済のために他の従業員の給与を下げるか、という選択を強いられるでしょうけどね。

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