労働政策審議会電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律のあり方に関する部会の設置について
一昨日(8月29日)に開催された労働政策審議会本審に、標記の資料が提出されています。
1 設置の趣旨
「電気事業法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議」(平成26年5月16日衆議院経済産業委員会、平成26年6月10日参議院経済産業委員会)において、「電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律」(以下「スト規制法」という。)について、「電力システム改革に関する法体系の改革に併せ、所管省庁において有識者や関係者等からなる意見聴取の場を設け、その意思を確認し、同法の今後のあり方について検討を行うものとする」とされたことを受け、労働政策審議会に「電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律のあり方に関する部会」(以下「部会」という)。を設置する。
2 スケジュール
平成27年の通常国会への法案提出を目指す第3弾電力システム改革の法整備に併せてスト規制法のあり方について検討を行い、結論を得る。
念のため確認しておきましょう。
四 電力システム改革の遂行に際しては、今日まで電力の安定供給を支えてきた電力関連産業の労働者の雇用の安定や人材の確保・育成、関連技術・技能の継承に努めるとともに、改革の過程において憲法並びに労働基準法に基づく労使自治を尊重するものとすること。また、当該労働者について一定の形態の争議行為の禁止を定める「電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律」については、自由な競争の促進を第一義とする電力システム改革の趣旨と整合性を図る観点から再検討を行うものとすること。
http://www.sangiin.go.jp/japanese/gianjoho/ketsugi/186/f071_061001.pdf
六 電力システム改革の遂行に際しては、今日まで電力の安定供給を支えてきた電力関連産業の労働者の雇用の安定や人材の確保・育成、関連技術・技能の継承に努めるとともに、改革の過程において憲法並びに労働基準法に基づく労使自治を尊重するものとすること。また、当該労働者について一定の形態の争議行為の禁止を定める「電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律」については、自由な競争の促進を第一義とする電力システム改革の趣旨と整合性を図る観点から、電力システム改革に関する法体系の整備に併せ、所管省庁において有識者や関係者等からなる意見聴取の場を設けその意思を確認し、同法の今後の在り方について検討を行うものとすること。
専門家の方々は「憲法並びに労働基準法に基づく労使自治」に「?」と思うかもしれませんが、それはともかく、その肝心のスト規制法ですが、
電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律 (昭和二十八年八月七日法律第百七十一号)
第一条 この法律は、電気事業(一般の需要に応じ電気を供給する事業又はこれに電気を供給することを主たる目的とする事業をいう。以下同じ。)及び石炭鉱業の特殊性並びに国民経済及び国民の日常生活に対する重要性にかんがみ、公共の福祉を擁護するため、これらの事業について、争議行為の方法に関して必要な措置を定めるものとする。
第二条 電気事業の事業主又は電気事業に従事する者は、争議行為として、電気の正常な供給を停止する行為その他電気の正常な供給に直接に障害を生ぜしめる行為をしてはならない。
第三条 石炭鉱業の事業主又は石炭鉱業に従事する者は、争議行為として、鉱山保安法 (昭和二十四年法律第七十号)に規定する保安の業務の正常な運営を停廃する行為であつて、鉱山における人に対する危害、鉱物資源の滅失若しくは重大な損壊、鉱山の重要な施設の荒廃又は鉱害を生ずるものをしてはならない。
周知の通り、すでに日本国内には(金属鉱山はありますが)石炭鉱山は一つも残っていませんので、第3条は空振りですが、第2条は東京電力はじめ全国にあります。
上に出てくる「第3弾電力システム改革」」というのは、
にあるとおり、送配電部門の法的分離とそれに必要な各種ルールの制定ということですね。
なんにせよ、占領終結独立回復直後の、今は無き電産や炭労のストを背景に、吉田内閣下で作られたスト規制法なんていうものが、ここにきて労政審の審議議題に甦ってきたというのもなかなか感慨無量なものがあります。
5 その後の動き
スト規制法の制定
総評が1952年の秋から年末にかけて行った賃金闘争における電産スト及び炭労ストは、社会全般に大きな脅威と損害を与えたため、両争議に対して強い世論の批判が起こり、各種産業団体、地方議会、消費者団体などは、この種の産業における争議行為の方法について必要な立法措置を早急に具体化するように求めた。特に電産の争議に対しては、停電を伴うストが需要者たる第三者に損害を与えるものであるため、その指弾非難は強かった。
このような世論を受け、政府は1953年2月、電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案を作成し、国会に提出した。これは電気事業については停電スト、電源ストのように電気の正常な供給に直接障害を生ずる争議行為を、石炭鉱業については保安要員の総引き揚げを行う争議行為を規制するものである。国会では衆議院で3年の時限立法とする修正が行われたが、解散のため審議未了となり、6月に再度提出、8月に成立した。なお3年後の1956年12月存続の決議が行われ、期限のない法律となった。
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コメント
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現在でも釧路コールマイン株式会社で採炭を行っております。
http://www.k-coal.co.jp/
投稿: 500drachmas | 2014年8月31日 (日) 15時41分
うわ、ほんとだ。
しかも、ベトナムや中国からの研修生を受け入れているんですね。
投稿: hamachan | 2014年8月31日 (日) 16時17分