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2014年8月 1日 (金)

「きま給」

労働問題やってると、いろいろと変な言葉が山のようにあるわけです。正社員も雇用契約のはずなのに、正社員じゃないのが「契約社員」とか、フルタイムで働いているのに「パートタイマー」なんて言うのはよく知られていますが、やや玄人筋の用語として、「きまって支給する給与」略して「きま給」なんて言葉があります。労働経済系でよく使われる言葉ですが、これ、法律的に考えると実に妙。

あ、そもそも「きまって支給する給与」って、「労働契約、団体協約あるいは事業所の給与規則等によってあらかじめ定められている支給条件、算定方法によって支給される給与のことであって、所定外労働給与を含む。」とされています。これに当たらないのが「特別に支払われた給与」で、「調査期間中に一時的又は突発的理由に基づいて、あらかじめ定められた契約や規則等によらない労働者に現実に支払われた給与や、あらかじめ支給条件、算定方法が定められていても、その給与の算定が3ヵ月を超える期間ごとに行われるものをいう」とされています。

ふううん、と思った方。よく考えてね。所定外労働給与、つまり残業代や休日手当は、「きまって支給する給与」なんですよ。いや、実際そうじゃねえか、と思った方。現実社会では確かにそうですが、労働基準法の建前からすれば、時間外労働ってのは「一時的または突発的理由に基づいて」例外的に行われるはずなんですよね。

逆に、賞与なんか、額は変動するとは言え、支給しないことはないだろ、という程度には「きまって支給」するはずですが、そうなっていません。

もちろん、、上の定義は巧妙に書かれているので、うまく言い訳できるようになってはいますが、そもそも法律の建前上ないのが原則であるのが例外のはずの時間外手当が「きま給」という名で呼ばれて誰も不思議に思ってこなかった、というあたりに、単なる統計実務上の符丁と言うにとどまらない、日本の労働社会のある感覚が良く現れていると言うことができるのではないでしょうか。

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