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2014年8月16日 (土)

拙著書評

26184472_1ここ数日の間にも、拙著『日本の雇用と中高年』を評するブログエントリやツイートがいくつかありました。

http://uenorio.blogspot.jp/2014_08_01_archive.html (上野則男のブログ)

「日本の雇用と中高年」は日本の雇用問題の大家である濱口桂一郎氏の最近の著書です。

本書は、以下の構成で、日本の雇用制度・法制の歴史と現状を解説しています。専門の方にとっては、その状況を簡単に把握できる解説書となっています。・・・・・

上野意見

現状でマネジメント職にならない団塊ジュニア世代の高年者は、大企業中心にかなり多く存在しています。

その多くは働きと給与が見合っていないで、会社にとって「お荷物」になっています。

しかし終身雇用の慣行があるため、解雇できません。

その面では、濱口氏の言われる「中高年層が犠牲になっている」という場面は限られています。

リストラに遭っているのは、企業が危機状態になっている場合だけなのです。

「犠牲になっている」という意味では、以下のような「恵まれない」状況に置かれていることの方が大きいのではないでしょうか。

企業の方針に従って働いてきたのに、現状では能力不足となって、今や会社が期待する仕事ができない、生き甲斐を感じられない毎日を送らざるを得ない。

窓際族とか、本書で紹介されている「追い出し部屋」への配属という状態に置かれている者も多い。

おそらくこの状態は、割増退職金をもらって失業している状態よりも悪い状態なのではないでしょうか。・・・

http://skky17.hatenablog.com/entry/2014/08/15/235601 (文人商売 「ソーシャルゲーム批判」の人です。)

日本って本当に変わった国だよね、と、濱口桂一郎『新しい労働社会』と『日本の雇用と中高年』を読んで思った。本書はEUなどと比較しながら、日本の労働、雇用制度の問題点を指摘する。わかりやすい雇用システムの対比として、欧米は「ジョブ型社会」、日本は「メンバーシップ型社会」という言葉が使われている。・・・・・

・・・・・・・日本型雇用の「幻想」は、年齢が上がるにつれ、「職務遂行能力」も同じように上昇していくというものだったが、実際、それは若くて色々な仕事を覚えられる時には当てはまるが、定年の60歳まで比例して能力が上がっていくわけでは必ずしもなかった。だからこそ、企業は不況になると「追い出し部屋」みたいなことして、高年齢で「不当に」高い給料の職員を退職させようとする。一度退職し、会社という枠組みの外に出た中高年は、再就職が非常に難しくなる。

 そういう意味では、日本の「メンバーシップ制」は基本的に若者に優しいシステムと言える。スキルがないことは採用の障害にならず、社内に教育システムを持っている。(もちろん、諸々の理由で現状若者に優しいとは言えないが)中高年の対立を煽る言説は強いが、世代間に格差があるのではなく、正社員という身分になれるかどうかに格差がある。

・・・・・・・日本の場合は、政府がやることを「会社」がやってきたのだが、問題は「会社」という身分が限られたものになり、そこから漏れた人は社会保障からも漏れててしまうことにある。日本型の「メンバーシップ制」は、悪い言い方をすれば「身分制」であり、その枠組から外れた人は必要な福祉を受けることができなくなる。実際に、正社員の待遇は厚いが、その「身分」を獲得できなければ、結婚して子供を育てるという「普通」とされることも非常に難しくなる。

 「メンバーシップ制」が「ジョブ制」に比べて良いとされていた時期もあったが、なまじ成功してしまったせいで、その制度がうまく働かなくなった後も発想を切り替えにくくなっている。良い身分を獲得した人は制度を変えたくないだろうし、「ジョブ制」もそれなりにメリットデメリットがあり、そのまま日本に適用すればいいという問題でもない。

ちなみに、この「文人商売」さんの少し前の別の本を評したエントリも、大変鋭く問題点を衝いていました。

http://skky17.hatenablog.com/entry/2014/08/12/233009 (『若者を見殺しにする日本経済』に見る絶望感)

こういうのって、自由化を進めて競争は促進するのに面倒くさい部分は都合よく「家」に任せようとする旧来の自民党の考え方そのものだよね。・・・

一見若者の味方をして結局は自分の幻想を押し付けてくるというのはよろしくない。

https://twitter.com/venturingbeyond/status/500563745005780995

昨日、濱口桂一郎『日本の雇用と中高年』(ちくま新書)読了。毎度安心の濱口クオリティ。これまでの新書シリーズ同様、現代の労働問題を考える上で必読の一冊。特に四・五章での整理は、問題の所在がよく分かる。当たり前のことだが、歴史的経緯をおさえることの重要性を改めて痛感。

https://twitter.com/ib_pata/status/500593239145975810

濱口桂一郎『日本の雇用と中高年』本当に面白い。戦後日本労務管理史でもあるし、労働法制史でもあって。石油危機などの際に、雇用維持を目的とした、産業構造変化に対応した社員の配置転換や出向が、バブル崩壊時には、会社からの排出のために用いられた、というあたりは唸る p.114-

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