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2014年8月26日 (火)

「時間ではなく成果で評価される制度への改革?」@『労務事情』2014年9月1日号

1167102_o『労務事情』2014年9月1日号に寄稿した「時間ではなく成果で評価される制度への改革?」です。全2回の1回目ですので、次号に続きます。

 政府は去る6月24日に『「日本再興戦略」改訂2014』を閣議決定した。ここでは、雇用制度改革に関しても多くの課題が挙げられているが,その中でも注目を集めたのが「時間ではなく成果で評価される制度への改革」というタイトルが付けられた項目である。しかしながら、この問題をめぐっては、この提案を行った政府の産業競争力会議自身をはじめ、多くのマスコミや政治家も含め、問題の本質を外した議論ばかりが横行している。

 まずもって確認しておくべきは、いったいこの「改革」は何を改革しようとしているのか,という点である。それはこの戦略が「新たな労働時間制度」を創設せよと言っている以上、労働時間制度に決まっているではないか、とほとんど全ての人は考えるであろう。しかし、「時間ではなく成果で評価される制度への改革」とは、いかなる意味でも労働時間制度の改革ではありえない。時間ではなく成果で評価されて決定されるのは賃金その他の処遇である。つまり、それは賃金処遇制度改革以外の何者をも意味しない。賃金制度改革のどこが規制改革なのか?

 これは難癖ではない。なぜならば、賃金処遇制度に関する限り、日本国の労働法体系はほとんど規制などしていないからだ。つまり、もし問題が賃金処遇制度改革にあるのであれば、それを規制改革という言葉で論じること自体が不当である。この肝心な点が,残念ながら日本のマスコミにはまったく理解されていない。そのため、この閣議決定後初めて厚労省の労政審労働条件分科会でこの問題が審議された翌日の毎日新聞は、「労働政策審議会:成果賃金制度に着手 成長戦略受け」などと報じて疑わない。それに先だってNHKが放送した番組も、成果主義の是非ばかりに焦点を当てていた。

 読者諸氏には言わずもがなだが、現行法制上いかなる賃金制度を採ろうが基本的に企業の自由である。日本国のいかなる法律も成果主義賃金を禁止していない。労政審にも産業競争力会議にも、成果主義賃金制度の是非を論ずる権限もなければ、その導入を命ずる権限もない。言うところの「時間ではなく成果で評価される制度」は、もちろん現在でも導入可能である。午後2時頃出勤して2時間ほど仕事をして4時にはさっさと帰る社員に、成果を挙げたからと言って50万円の月給を支払い、朝8時から夕方5時まで就業規則に定められた時間いっぱい働いた社員に、成果があまり上がっていないからと20万円の月給しか払わなくても、現行法制上まったく何の問題もない。もちろん、フルタイムで月10万円では時間当たり単価が最低賃金を割り込んでしまうのでアウトだが、それは最低賃金の問題である。最低賃金を上回る限り、どんな成果主義賃金制度も認められるのが日本の法制である。(全2回-①)

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