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2014年8月 2日 (土)

すき家の独裁者が目指した世界革命

山のような記事が溢れていますが、こういうときだからこそ、こういう事態をもたらした思想的根源をきちんと考えておくことが必要なはずです。

本ブログで、過去何回かこの会社の経営者を取り上げたエントリを再掲して、その素材としたいと思います。少なくとも、ただの悪辣な資本家とか、労働者を搾取する蟹工船だとかいうような単純な話ではなく、もう少し根が深い問題が潜んでいることが窺われるはずです。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/post-6e9f.html (「アルバイトは労働者に非ず」は全共闘の発想?)

本ブログでも何回か取り上げてきたすき家の「非労働者」的アルバイトの件ですが、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2008/04/post_db8e.html (アルバイトは労働者に非ず)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/post-0c44.html (自営業者には残業代を払う必要はないはずなんですが)

そのすき家を経営する「外食日本一 ゼンショー」の小川賢太郎社長のインタビューが日経ビジネスに載っています。そのタイトルも「全共闘、港湾労働、そして牛丼」です。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20100917/216295/

もしかしたら、このインタビューの中に、「アルバイトは労働者に非ず」という発想のよって来たるところが窺えるかも知れないと思って読んでみましたら、まさに波瀾万丈、革命家の一生が描かれておりました。

>世界の若者は矛盾に対して声をあげている。こういう時に自分は何ができるのか。こうした状況を打破しなければならない。世界から飢餓と貧困をなくしたいというのはこの時からの思いです。

>やはり資本主義社会であるから矛盾があるのであって、この矛盾を解決しなければならない。これは社会主義革命をやるしかないと学生運動にのめり込んでいきました。

―― 大学を辞めて、港湾会社に入社して、労働者を組織されます。

>社会主義革命というのは、プロレタリアと労働者階級を組織しなければならない。ですが、結構、日本の労働者もぬくぬくしちゃってきていた。

>そういう意味で底辺に近くて、故に革命的である港湾労働者に目を付けました。

―― その後、社会主義革命を断念する転機が訪れます。

>やはり社会主義革命はダメだ。資本主義は戦ってみるとなかなかだった。少なくともこれから300年ぐらいは資本主義的な生産様式が人類の主流になると考えました。

>今度は社会主義革命ではなくて、資本主義という船に乗って、世界から飢えと貧困をなくすんだと。

>しかし、自分は資本主義をまったく知らない。議論をすればマルクス・レーニン主義や中国の社会主義革命だとか、そういう勉強ばっかりしてきた。だから資本主義をやり直さなきゃならなかった。

―― 資本主義の第一歩として扉を叩いたのが吉野家です。

>資本主義の勉強をするうちに、外食業かコンビニエンスストアがいいのではないかと思うようになりました。

>世界から飢えと貧困をなくすことという、10代のころから命題は変わっていない。だから食のビジネスには興味があったのです。

その後吉野家が経営危機に陥るところまでが前編で、後編はその次ですが、ふむ、社会主義革命を志して港湾労働者を組織しようとしていた革命青年が資本主義に目覚めると、資本主義体制の下で生ぬるく労働条件がどうとかこうとか言ってるような中途半端な連中は、ちゃんちゃらおかしいということなのでしょうか。

この辺、学生時代に革命的学生運動に身を投じていたような方々が中年期にはかえって資本の論理を振りかざすという学者や評論家の世界にも見られる現象の一環という感じもしますが、いずれにしても、いろんな意味で大変興味深いインタビューです。後編が待ち遠しいですね。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/post-47c9.html(世界革命を目指す独裁者)

Hyoshi ネット上にはまだインタビューの後編は載っていませんが、雑誌『日経ビジネス』には「革命家の見果てぬ夢 牛丼に連なる運命」という記事が載っていますので、そちらから興味深いところをご紹介しましょう。

吉野家を辞めて自分の会社を立ち上げたところから、

>「資本は小川賢太郎100%、意思決定も小川賢太郎100%。専制君主制でやる。なぜなら議論している時間はないからだ」

牛丼という武器を手に革命を目指す独裁者が生まれた瞬間だった。

・・・

>小川はゼンショーを設立したとき、創業メンバーにこう語っている。

「俺は民主主義教育を受けてきた人間。東大全共闘の名においても、いつまでも専制君主でやっているわけにはいかない。憲法を定めて立憲君主制にし、いずれ民主主義にする」

一方で小川はこうも言う。

「最初の頃から民主主義的な会社というのは、成長しないと思うんです。やはり強烈なリーダーが、俺が黒と言ったら黒なんだということで、その代わり全責任を負って、失敗したら俺の命もないと」

小川にとって国内での成功は、世界革命への序章に過ぎない。だから民主主義へはまだ移行しない。

世界革命を目指す独裁者!

世界革命がなった暁には、お前たちにも民主主義が与えられるであろう。

だが、革命戦争のまっただ中の今、民主主義を求めるような反革命分子は粛清されなければならない!

まさしく、全共闘の闘う魂は脈々と息づいていたのですね。

そして、歴史は何と無慈悲に繰り返すことでしょうか。

一度目は悲劇として、二度目は・・・、すき家の外部の者にとっては喜劇として、しかし内部の者にとっては再度の悲劇として。

(追記)

この問題を取り上げたツイートの中には、私の問題意識とよく似たものもあります。

ktgohan(斬祓中)さんの「資本家としてのゼンショーと革命家としてのゼンショー」という連ツイです。

https://twitter.com/ktgohan/status/495532373224599552 

ちょいと気になること。すき家のことを蟹工船に例える人がわりといるような気がするのです。今年2月3月の労働実態は確かにもうひどいものでしたが、それの実態を「蟹工船」と例えるのはややまずい気がします。そんなところまで真面目に考えんなやと言われそうですが…

https://twitter.com/ktgohan/status/495533716479807488

「24時間、365日営業」の維持や良い商品をできるだけ安く提供することが顧客のためになるという強い信念。強い使命感と超人的な長時間労働で、すき家を日本一にしたという成功体験。第三者報告書は、経営幹部の意識がどこに在ったかについては、そう触れている。

https://twitter.com/ktgohan/status/495534473887227905

一方で報告書は『「収益の局面」では客観的な数値を積極的に活用するものの、「労働力の局面」では客観的数値に基づく合理的思考は姿を消し、精神論が幅をきかせていた。』と断罪する。ここで思い至ったのは、すき家は蟹工船ではなく、クメール・ルージュの民主カンプチアや毛沢東の大躍進運動だった。

https://twitter.com/ktgohan/status/495535495229628416

ここから透けて見えることは、すき家で起きていたのは資本家による収奪だけではない。資本家の姿をした、原理的理想論を口にする革命家による収奪でもある。

https://twitter.com/ktgohan/status/495536173566001152

正直に言うが、背筋が凍る。ゼンショーとは、資本家の皮をかぶった革命家の理想郷であるのだ。だから自分たちの24時間365日営業のことを「社会インフラだ」と嘯くし、フェアトレードにも(あれはあれで彼らなりに)本気に取り組んでいるのだ。

https://twitter.com/ktgohan/status/495536672092614657

だから、ゼンショーのことを単に「ブラック企業」と批判するだけでは、『資本家の姿をしたゼンショー』のことしか批判できないのだ。『資本家の姿をした革命家としてのゼンショー』のほうこそ本丸であり、これこそ何としてでもすり潰し、新生ゼンショーに生まれ変わってもらわねばならない。

そう、まさに大躍進運動であり、文化大革命の匂いが濃厚に漂うのですよ。

ただ、こういうメタファーを使うと、大躍進や文化大革命が終わったあとに来るものは、等しく独裁ではあるけれども、革命精神はかけらもない、社会主義市場経済という名のただの資本主義独裁でした、というオチになってしまうことなんですが。

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コメント

  潰れた全共闘に限らず、(自称)革命家崩れで一端の社会的経済的成功を収めた奴って、頼る術無く殆ど徒手空拳で伸し上がって来たのも有って、他人を騙し陥れ潰し搾取して来た境涯を取り繕い美化し脳内自己称揚する為に、要らん詭弁を奮うって格好の例なだけで、閲すれば類例に事欠か無いんだけどね。 返り忠って讒罵を浴びる訳さね。 叩き上げで他人を食い物にして僥倖も有って成功を収め、ゴースト秘訣本を刊し寄って来る茶坊主経済「評論」屋の追従ヨイショ本を購い取る迄行く途上で叩かれたのは御愁傷様良い気味と思わぬでも無いが。 基本的に他人を支配し度いって性向の持ち主で、斯う言う奴の立身の陰の死屍累々ってのも通り相場の見慣れた風景。

プロレタリア独裁気取りか

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