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« 営利企業のくせに共産党みたいなノリで働かせるからブラックなの | トップページ | 歴史観・世界観の貧困という点において、僕は濱口氏を全く評価していないけれど »

2014年8月18日 (月)

タイトル見ただけで頭悪い記事

日経新聞のセンスでは、こういうタイトルの付け方になるんでしょうな・・・。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ1600O_X10C14A8MM8000/伊藤忠など導入検討 労働時間規制の緩和制度

伊藤忠商事や富士フイルムなど主要企業が、働いた時間ではなく成果に応じて賃金を払う「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入の検討を始めた。政府は欧米に比べて劣るとされるホワイトカラー層の生産性向上のために、同制度の導入に向け2015年の法改正を目指している。企業は国が今後、制度の詳細を詰めるのに合わせて準備を進め早期導入を目指す。

いうまでもなく、労働時間規制とは、国家が使用者に対して、これ以上働かせてはいけないぞ、と命ずるものであって、命じられる側の企業が勝手に規制緩和を『導入』したりできるものではないのですよ。

そう、労働基準法が定める労働時間の最低基準はね。

労働法が全然規制していないことであれば、そういかなる意味でも労働時間規制ではないことについては、いまだって企業が自主的に、やりたければいくらでもやれるのです。

そう、「欧米に比べて劣るとされるホワイトカラー層の生産性向上のために」「働いた時間ではなく成果に応じて賃金を払う」制度を導入したければ、労働基準法は何ら制限なんかしていないのだから、どうぞ好きにおやりください、としか言えない。

いままでだっていくらでもやれるにもかかわらず、企業が勝手にやってこなかっただけのものを、「労働時間の規制緩和」などというまったく間違ったタイトルでミスリードすることだけはやめていただきたい。

(参考)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/post-d971.html(日弁連会長声明のどうしようもなさ)

いうまでもなく、日本国の法律制度において、「労働時間と賃金とを切り離し、実際に働いた時間と関係なく成果に応じた賃金のみを支払えばよいとする制度」は何ら禁止されていません。そういう賃金制度が良いかどうかは労使が決めれば良いことであり、導入して失敗しようがどうしようが、それをとやかくいう法規制はどこにもありません。

午後2時に出勤してきて、2時間だけ働いて4時にはさっさと帰っちゃう人に成果を上げたからといって50万円払って、9時から6時まで8時間フルに働いた人にあんまり成果が上がっていないからと30万しか払わないのも、法律上全く合法です。法定労働時間内というたった一つの条件のもとで。

日本国の実定法上、それ以上働かせたら違法であって、懲役刑すら規定されているような悪いことを、それでもあえてやらせるというような例外的な状況では、そうでない状況が出てきます。時間外労働時間に比例した時間外割増賃金を支払わなければならなくなります。ただし、何回も強調しますが、それはいかなる意味でも、特定の賃金制度が良いとか悪いとか、許すとか許さないとかいうような話とは関係がありません。本来悪いはずの時間外労働をあえてやらせることに対する罰金として課されているお金が、あたかも時間に比例した賃金を払えと命じているように勝手に見えるだけです。そんな賃金イデオロギーは、労働基準法のどこにも存在しません。もしあるというのなら、なぜ法定労働時間の枠内であればそれが全く自由に許されているのか説明が付かないでしょう。

こういう労働法の基本をわきまえていればすぐわかるようなことが、産業競争力会議やマスコミの人々に全然理解されないのは、そもそも日本国の実定法が法定労働時間を超えて働かせることを懲役刑まで用意して禁止しているということが、現実の労働社会では空想科学小説以上の幻想か妄想と思われているからでしょう。そう、そこにこの問題のコアがあるのです。

こういうことを一生懸命説明してきている立場からすると、労働法制の基本を全くわきまえない人々と全く同じ認識に立脚しているように見えるこの会長声明は、情けないの一言に尽きます。

日本の労働時間法制の最大の問題はどこにあると思っているのか、「このような制度が立法化されれば、適用対象者においては長時間労働を抑制する法律上の歯止めがなくなり」って、そもそも今の日本に「長時間労働を抑制する法律上の歯止め」があると思っているのでしょうか。残業代はそれ自体はいかなる意味でも「長時間労働を抑制する法律上の歯止め」ではありません。休日手当を払わせている現在において「休日を取らずに働くことを命じることも許される」という状況にないというのでしょうか。一種の間接強制であるとはいえるでしょうが、あたかもそれだけがあるべき労働時間規制であり、それさえあれば長時間労働は存在し得ないかのようなこの言い方には、今過労死防止促進法が成立することの意味が全く抜け落ちているように思えます。

こうやって、現行法上も(法定労働時間の枠内である限り)何ら違法でもなく全く自由にやれる「労働時間と賃金とを切り離し、実際に働いた時間と関係なく成果に応じた賃金のみを支払えばよいとする制度」を、あたかも現行法で禁止されているかのごとく間違って描き出し、それを解禁するためと称して、本来論理的にはなんの関係もない労働時間規制の問題に持ち込むという、産業競争力会議の誤った議論の土俵に、何ら批判もないまま、そのまますっぽりと収まって、ただ価値判断の方向性だけを逆向きにしただけの薄っぺらな批判を展開するのが、日本の法律家の代表の責務なのか、悲しくなります。

こうやって、日弁連会長の立派なお墨付きを得て、ますますよくわかっていないマスコミの議論は、「労働時間と賃金とを切り離し、実際に働いた時間と関係なく成果に応じた賃金のみを支払えばよいとする制度」を認めるべきか否かなどという虚構の議論にはまり込んでいくわけです。一番大事なことをどこかに置き忘れながら・・・。

(おまけ)

労働者に対する賃金どころか、外部労働力に対する報酬ですら、こういう「働いた時間ではなく成果に応じ」るとは正反対の企業感覚でやってるんだから、偉そうなこという前に、まずそっちからどうぞですな。

https://twitter.com/v_takahashi/status/499579408529620993

「社長が『直したら10万出す』って言ってるんだけど助けてくれない?」と元同僚が転職先企業から。訪問して管理者パスワードもらって1分で原因突き止めて5分で直した。友人は社長に掛け合うも5分の仕事だろと支払い拒否。友人は平身低頭して飯ご馳走してくれたけど、その会社はもう助けない。

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コメント

この記事をネットで見たときに、hamachan氏が頭に浮かびましたが、予想通りツッコミを入れてくださいました。

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