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« 政府、外国実習生保護へ新機関 15年度から新法で立ち入り権限  | トップページ | 西村純『スウェーデンの賃金決定システム』 »

2014年8月 5日 (火)

ほんまかいな

昨日紹介した、中川洋一郎さんの「なぜ、「新卒一括採用」は、外国人には理解不可能なのか」@『中央評論』288号ですが、現代の労働社会の構造分析としては、100%まったく同意する内容でありながら、後半の壮大な文明史論のところは、正直言って???と、いっぱい頭の上にはてなが付く内容でした。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2014/08/288-3cd3.html

その中川文明論のコアに当たるところを引用してみますと、

・・・日本型が容易に消え去るとは思えない本当の理由、それは、組織編成原理の二大対立において、日本型が「本家」の系統にあって、欧米型はむしろ派生型だからである。ヒトは、その誕生以来、およそ400万年間、バンドと呼ばれる親族組織(せいぜい数十人規模)で暮らしてきた。狩猟採集で生計を立てる限り、その小さな規模を超える食料を獲得することが不可欠だったからである。親族組織であるバンドにおいて、何をするにもまず「ヒト」が確定されていたこと、そして、、新しい仕事が生じたら、今いる組織構成員がその仕事を引き受けたことは疑いない。まさに、「人←仕事」の組織編成原理であった。

このバンド規模を超える組織拡大のきっかけ、それは、1万年前の農耕開始、8千年前の家畜化、中でも決定的であったのが7千年前の遊牧の開始である。・・・・・・牧羊犬は、多数の家畜を追い回して誘導するという、ヒトにはできない専門的な能力を持っていた。牧夫は、イヌのかかる「専門的な能力」に目を付けて、「外部調達」して、彼らの初期遊牧組織の中へと《割り振った》のである。まさに、牧羊犬こそ、史上初のプロフェッショナルであった。私の考えでは、この《牧夫→イヌ→ヒツジ》という三層構造の誕生こそ、人間の組織編成原理の真の分水嶺である。・・・

・・・しかし、人類史の99%以上を占める圧倒的な機関に存続したバンド(親族組織)の傍らに忽然と誕生した初期遊牧組織は、潜在的には組織編成史上、画期的な新規性を秘めていた。専門性あるいは職務という観念の獲得である。かくて、「職務」(この場合は、家畜の群れの管理)を対象化して、その「職務」の遂行に必要な専門性を持っているもの(この場合は、イヌ)を「外部調達」して、組織の中へと《割り振る》ことを意識的に実行した人々がいた。原インド・ヨーロッパ語族である。彼らの神話における《三区分イデオロギー》(デュメジル)こそ、「仕事←人」という《割り振り》の観念化、意識化に他ならない。彼らは、少なくとも言語系統的には、欧米人の祖先であることは、言を俟たない。

まず戦略を確定し、もっとも合理的に「職務」を限定して、その上で最適任者を「外部調達」するという組織編成史上の一大新規慣行は、かくて、7千年前に初期遊牧民とともに始まり、インド・ヨーロッパ語族によって類い希なる「武器」へと洗練された。・・・

ジョブ型労働者の先祖は牧羊犬かよ、という突っ込み以前に、何というか人類史におけるもっとも重要な農耕社会はどこに行ってしまったんだろうという疑問が・・・。

確かに人類史上最初の遊牧民はインド・ヨーロッパ系のスキタイ人ですが、その後はむしろモンゴル系が遊牧騎馬民族の中心だったし、なにより現代欧米社会の先祖たちは、長く数千年にわたって牧畜を伴うとはいえ定着農耕社会を営んできたわけで、欧米人がついこないだまで遊牧やってたみたいな言い方はあまりにミスリーディングだし、同様の牧畜を伴う農耕社会こそ、中国、インドはじめとする多くの古典文明の経済基盤だったわけだし。

そして、なにより、戦後すっかりメンバーシップ型労働社会になってしまったこの日本だって、戦前、ほんの100年近く前の時代には、氏原正治郎氏が繰り返し説くように、社員、準社員、工員、組夫という明確な身分の差があったわけだし、戦時体制ととりわけ終戦直後の労働運動などによってシングルステイタスに近づいていったわけで、その前の千年以上の農耕社会においても、上と下は明確に区別されていたという歴史からすると、そういうのを全部すっとばかして、突然狩猟採集社会のバンド原理が、現代日本のメンバーシップ型になっているという説明は、正直どう受け止めてよいか頭がくらくらする感じがします。

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