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2014年7月 8日 (火)

オタワでオワタ、TPP労働分野

オタワですよ、オワタじゃないですよ。いや、オワタんですけど。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDF0800F_Y4A700C1EAF000/TPP、労働分野の貿易ルールづくりで事実上決着

 【オタワ=北爪匡】環太平洋経済連携協定(TPP)参加12カ国は現地時間の7日午後(日本時間8日未明)、労働分野の貿易ルールづくりで事実上決着した。児童労働や強制労働でつくられた製品の貿易を禁じ、違反国には貿易を停止する制裁を加える案で一致した。一部新興国が反発していた労働分野が事実上決着し、TPP交渉全体にも弾みがつきそうだ。

 カナダのオタワで開催中の首席交渉官会合で7日、労働分野のルール内容が了承された。TPPは関税や知的財産権など21分野で交渉するが、個別分野の協議が事実上決着するのは初めて。労働分野は制裁内容の厳しさに一部新興国の反発があったが、制裁前に協議の場をもうける譲歩案を日米など先進国が示した。

 日本の交渉関係者は労働分野のルールについて、「ほかの交渉分野との調整もあるが、追加の議論が必要ない所まで持って行けた」と説明する。

日本ではなぜかほとんど関心が持たれていませんでしたがTPP交渉の一つの焦点がこの労働分野。かつてILOを舞台にせめぎ合った貿易と労働基準の問題が転々してTPPの論点に入っていたんです。途上国の低劣な労働条件で生産された安い製品によるソーシャル・ダンピングを防止しようというのは先進国の労働組合の共通の関心事項ですが、それを一定程度受け入れることで、国内市場を奪われて雇用が失われることを恐れる労働者の支持を取り付けようという政治構図です。

TPPにはこういう側面もあるということを、政治家やマスコミも理解しておいた方が良いと思います。国家戦略特区などと称して労働条件をわざと引き下げることも、いつまでもできると思わない方がいいですよ

(参考)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/tpp-a0fb.html(金属労協のTPP早期参加論)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/tpp-814d.html(連合のTPPに関する見解その他)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/tpp-4d4b.html(TPP:その危惧は杞憂だと思われます)

(追記)

今年2月の記事ですが、アメリカ通商代表部が「TPPは労働基準を改善するんだよ」と言っているという記事。労働組合向けの発言ですが、民主党政権としてはこの部分で労働組合に恩を売っておく必要はあるわけです。

http://www.law360.com/articles/508561/us-trade-rep-says-tpp-will-raise-labor-standardsUS Trade Rep Says TPP Will Raise Labor Standard

おそらく、上の記事にある児童労働や強制労働だけではなく、昨年末に公表されたTPP交渉の状況に書かれている「貿易・投資の促進を目的とした労働基準の緩和の禁止」が盛り込まれたと思われますので、そうすると海外からの投資を促進するためと称して、国家戦略特別区域で労働基準法の定める労働条件を引き下げようなんていうのはもろにTPP協定違反ということになりそうですね。

特区特区と騒いでおられる自分では賢明だと思っている方々にその自覚があるかどうかはよくわかりませんが。

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