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2014年7月20日 (日)

若者雇用法の中身が少し

公明党が申し入れして、先月の成長戦略に盛り込まれた例の若者雇用法の中身が、少しずつ報道されています。

http://www.asahi.com/articles/ASG7M5GF9G7MUTFL001.html若者を正社員にしよう 新法検討、ブラック企業対策)

田村憲久厚生労働相は19日、若者の正社員化を進める新たな法律づくりを検討する考えを明らかにした。非正規社員を正社員にする企業に助成金を出すことなどを中心に、中身を詰める。与党と協議した上で、早ければ来年の通常国会への法案提出をめざす。

・・・新法では、過酷な労働環境の「ブラック企業」対策を盛り込むことも検討する。

この間の経緯については、本ブログでも取り上げましたが、WEB労政時報の記事でまとめています。

http://www.rosei.jp/readers-taiken/hr/article.php?entry_no=234若者雇用法?

 去る6月16日の産業競争力会議で『「日本再興戦略」の改定について(素案)』が示されました。

※首相官邸「第17回 産業競争力会議 配布資料」(平成26年6月16日)⇒トップページはこちら

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/skkkaigi/dai17/siryou.html

 本連載でも繰り返し取り上げてきた時間と賃金のリンクを外す「新たな労働時間制度」をめぐって産業競争力会議側と厚生労働省でぎりぎりまで綱引きが行われ、とりあえず年収1000万円で収めた話など、興味深い話題はいっぱいありますし、解雇の金銭解決を目指した「予見可能性の高い紛争解決システム」の動向も目が離せませんが、今回はそれらのちょっと後ろにさりげなく載っているある項目を取り上げたいと思います。

 それは、「未来を創る若者の雇用。育成のための総合的対策の推進」というタイトルの下に書かれた次のような一節です。

①未来を創る若者の雇用・育成のための総合的対策の推進

就職準備段階から、就職活動段階、就職後のキャリア形成に至るまでの若者雇用対策が社会全体で推進されるよう、以下の総合的な対策について、法的整備も含めた検討を行い、次期通常国会への法案提出を目指す。

・求人条件や若者の採用・定着状況等の情報の適切な表示

・「若者応援企業宣言」事業の抜本的強化

・企業の雇用管理改善の取組の促進

・若者の「使い捨て」が疑われる企業等への対応策の充実強化

・「わかものハローワーク」、「地域若者サポートステーション」等の地方や民間との連携のあり方を含む総合的な見直しによるフリーター・ニートの就労支援の充実等

※『「日本再興戦略」の改訂について(素案)』

⇒公表資料はこちら(PDF48ページ)

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/skkkaigi/dai17/siryou2.pdf

  突然「次期通常国会への法案提出を目指す」という言葉が飛び出してきています。突然というのは、少なくとも政府部内においては、若者雇用対策を法制化しようというような動きはどこにもないからです。

 付属の中短期工程表を見ても、他の項目は2013年度のところに記述があるのに、この項目だけはそこが空白です。つまり、今まで全然検討も何もしてきていないのに、ここからいきなり「若者の雇用・育成のための総合対策の検討」を行い、それに続いて「検討結果を踏まえた法制上の措置」を講ずるということになっているようなのです。

 実は、これが初めて報じられたのは、6月12日の共同通信でした。

 政府は12日、若者の雇用安定を後押しする総合的な取り組みを定めた「若者雇用法」を策定する方針を固めた。過酷な労働を強いるブラック企業対策などを強化し、働く環境の改善を図る。来年の通常国会への法案提出を目指す。

 ……若者雇用法は、若者が安定した職に定着できるよう、就職の準備をする在学中から就職活動、就職後を通じて社会全体で雇用対策を推進することを規定する。

※「若者の雇用支援で新法策定へ ブラック企業対策を強化」(共同通信)⇒記事はこちら

http://www.47news.jp/CN/201406/CN2014061201001649.html

 唐突な報道を見て、この背後に何があるのだろうと興味をそそられていろいろと調べてみると、公明党のホームページに「若者雇用の促進法を」という記事があるのを見つけました。

 公明党の雇用・労働問題対策本部(桝屋敬悟本部長=衆院議員)と青年委員会(石川博崇委員長=参院議員)は7日、厚生労働省で田村憲久厚労相に対し、「若者が生き生きと働ける社会」の実現に向けた提言を申し入れた。これには、佐藤茂樹厚労副大臣(公明党)が同席した。

今回の提言は、少子化に伴い若者が減少していく中で、「ますます貴重な存在となる若者の育成・活躍なしに、将来のわが国の社会・経済の発展はない」との認識から、党内で議論を重ねてきたもの。

具体策としては、まず、家庭や地域、学校、企業、行政機関、民間団体など、若者を取り巻く関係者の責務を明確化し、社会全体で若者を守り育てていく取り組みを総合的・体系的に推進するために、「若者の雇用の促進に関する法律」(仮称)を制定するよう提唱。

また、若者が企業を選ぶ際に重要となる、採用・離職状況やワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の達成状況などの情報について、企業側の開示を促す仕組みの検討などを要請している。

新卒者支援では、全国に57カ所ある「新卒応援ハローワーク」でのきめ細かな職業相談・紹介に加えて、2015年度から始まる採用活動時期の繰り下げに伴う支援体制の確保を挙げた。中退者・未就職卒業者対策については、学校とハローワークの連携を進めることなどを求めた。

フリーター・ニート、非正規雇用者への支援策では、14年度に28カ所へと増設される「わかものハローワーク」の速やかな設置を要望した。個別の状況に応じた就労支援を行う「地域若者サポートステーション」(サポステ)については、安定財源が確保されていない現状を指摘し、事業の抜本的強化や法的位置付けの明確化を主張した。

若者が結婚し、子育てしやすい職場づくりに関しては、長時間労働の縮減や職場環境の改善に取り組む企業、業界への支援を提案。若者の“使い捨て”が疑われる、いわゆる「ブラック企業」対策では、国の厳格な監督指導などを訴えた。このほか、若者の能力開発の推進も要望した。

提言に対し、田村厚労相は「しっかりと重く受け止める」と答えた。

※「若者雇用の促進法を」(公明党HPより)⇒該当ページはこちら

https://www.komei.or.jp/news/detail/20140508_13909

  これを見ると、共同通信の報道も、今回の産業競争力会議で示された『「日本再興戦略」の改定について(素案)』の記述も、この公明党の提言通りであることが分かります。与党の一角を占めるとはいえ、一政党の提言が出されて間もない時期に政府の中枢でそのまま法制化されることが決まっていくというのはいかにも異例な感じを与えますが、大きな政治状況の中でそのような意思決定がなされたのであろうと想像することができます。

 法制化といっても、内容的には既に行われている事業の羅列が多く、純粋の法律事項はそれほどあるわけではありません。ただ、かなり大きな規制でもあり、企業の人事実務に大きな影響を与える可能性があるのが、「求人条件や若者の採用・定着状況等の情報の適切な表示」という項目です。

 公明党のホームページによると、これは「若者が企業を選ぶ際に重要となる、採用・離職状況やワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)の達成状況などの情報について、企業側の開示を促す仕組みの検討」と書かれており、離職率の高い企業や、長時間労働の傾向の高い企業にとっては、あまり出したくない情報を開示させられることになる可能性もあります。

 大きな話題の陰に隠れてあまり注目されていませんが、こういう動きも進んでいるのだということは、頭の片隅にでも留めておいたほうが良いかもしれません。

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