マシナリさんの拙著書評
本ブログでも何回もそのエントリを取り上げてきたマシナリさんのブログで、拙著『日本の雇用と中高年』が連続して取り上げられています。
http://sonicbrew.blog55.fc2.com/blog-entry-616.html(社会システム全体への目配り)
・・・ということで、だいぶ前に読了しておきながら塩漬けになってしまっていたhamachan先生の『日本の雇用と中高年』の感想から再開したいと思います。昨年同じくhamachan先生の『若者と労働』については、「この本を読んでしっかりと若者と労働について認識を改めて実践するべきは、堅く言えば使用者側、ぶっちゃけて言えば「メンバーシップ型」の雇用にどっぷりと浸かってしまった大人の側」という感想を書いておりましたが、今回の『日本の雇用と中高年』はその名のとおり、その「大人の側」が自分のこととして「認識を改めて実践すべき」ことが満載です。同じエントリで、若者については「これからその世界に浸かってしまう若者にとっては、予防線として知るべき知識ではあっても、現時点では残念ながら実践すべき知識ではない」とも書いておりましたが、これとは全く対照的に、本書で書かれていることはまさに中高年の労働者が実践するべき知識というわけです。
http://sonicbrew.blog55.fc2.com/blog-entry-617.html(実践される人事労務管理)
・・・また、本書で私もうーむと唸らされたのが、いわゆる小池理論を引き合いに出して、内部労働市場における「知的熟練」の議論が、ある時期までは日本型雇用システムをうまく説明できたものの、まさに現場の労務担当者が近代化に役立つと認識していた年功制が維持できなくなるにつれて、むしろ中高年労働者の「知的熟練」の虚構が暴かれてしまうという第2章の展開です。これについてはhamachan先生ご自身が解説されているのでそちらをご覧いただくとして、ある理論がある特定の時期の社会情勢を説明できるからといって、それを普遍的なモデルとして政策を論じることの危険性については、モデルを多用する学問(まあ経済学のことですが)では十分に注意する必要があると感じた次第です。
いつもながら目配りの聞いた的確な書評をいただき、ありがとうございます。
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