外国人メイドとマタハラの間・・・
というわけで、『POSSE』23号のメイン特集の少子化とマタハラなんですが、
「マタハラがあぶり出す「標準労働者」の歪み―求められる身体性回復の労働運動」竹信三恵子(ジャーナリスト・和光大学教授)
「マタハラのもと、何が起こっているか?―現代女性労働を取り巻く影」小林美希(労働経済ジャーナリスト)
「シングルマザーの現状にみる少子化の論点」藤原千沙(法政大学准教授)
「法律はマタハラの歯止めになるか?」浅倉むつ子(早稲田大学大学院教授)
「「ブラック国家」とは何か―ブラックバイト、マタニティ・ハラスメント、国家政策の変容の連鎖」今野晴貴(NPO法人POSSE代表)
「15分でわかる少子化×マタハラ――少子化・女性労働・マタハラ」
いやもちろん、ここでいわれていることは全部正しい。正しいんだけど、・・・。
ここで各氏が述べていることでもあるんですが、まさに今安倍内閣の看板の一つとして進められようとしている「女性の活躍」っていうスローガンと、この労働現場のマタハラとを、どうひとつながりの話として読み解いていくのか、ってのが重要なポイントだと思うのですね。
その意味では、もちろん竹信さんが指摘する「柔軟な働き方」の称揚にもそれが現れているのですが、とりわけ露骨に出てきているのが、「女性の活躍促進、家事支援ニーズへの対応のための外国人家事支援人材の活用」というものですね。
外国人メイドを使うことで「活躍」できる女性って、一体どこのどんな人々なのか、少なくとも、本誌で紹介されるようなマタハラに悩まされる女性たちとはかなり違う次元に生きている人々なのでしょう。
「女性の活躍」という(余程お馬鹿なねとうよでない限り誰も正面切って反対できない)正しい看板を掲げて、かくも露骨に(正しい意味で)階級的な利害をむき出しにした政策が出されてくることに対して、それ自体がかつて階級的正義の仮面に隠された女性差別を暴くイデオロギー批判として強烈に強みをもっていたフェミニズムがむしろイデオロギー擁護的機能を担ってしまっているのではないか、などと下手なことを言うとそれこそ猛攻撃を受けそうですが、このあたりをもう少しきちんと議論していかないと、まずいんじゃないかな、と思ってます。
もちろん、誰かさんみたいにうかつに「「女性の活躍」はもうやめよう」などと馬鹿なことを言っちゃいけませんが・・・。
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