鶴さん、荻野さんの講演
アドバンスニュースに、昨日サポートセンターの勉強会で、規制改革会議の鶴さんとトヨタの荻野さんの講演があったことが報じられています。
http://www.advance-news.co.jp/news/2014/07/post-1222.html(鶴教授、荻野トヨタ自主査が講演 サポートセンター第3回勉強会)
鶴さんは、先日のみずほ総研のパネルディスカッションでもちらりと語っていましたが、産業競争力会議の議論の流れにあまり好感をもっていないようです。
・・・しかし、労働時間規制の見直しについては、同じ政府の産業競争力会議から出た「成果型」労働制度の提言が閣議決定され、規制改革会議が提言した「新しい労働時間制度」、「労働時間の量的上限規制」、「休日・休暇取得の強制的取り組み」の「三位一体改革」の考え方が盛り込まれなかったことについて、「(産業競争力に軸足を置いた)雇用改革が政権中枢の目玉施策となり、途中で議論の流れが変わってきた」と、一部に無念さをにじませる場面もあった。
荻野さんの方は、もちろん「所属する企業ではなく人事を担当した経験を踏まえた個人的見解」としてですが、
・・・新しい労働時間制度、多様な正社員、解雇の金銭解決などについて、政府での議論が「混乱している感もある」と指摘し、仮にこれらの改革が実施されても、「企業の“稼ぐ力”の向上にどこまで寄与するか、相応の時間を要するのではないか」と持論を説いた。
と語ったそうです。
労働時間については、8月1日に連合が緊急シンポジウムを開くそうなので、
http://www.jtuc-rengo.or.jp/info/event/20140801.html
ご関心のある方はどうぞ。
(参考)
鶴さんの最近の発言については、『賃金事情』7月20日号に溝上憲文さんが書かれた「「残業代ゼロ法案」の展開を追う」というレポートに興味深い発言が載っています。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2014/07/720-6c7d.html
・・・しかし、このレポートで一番注目すべきは、規制改革会議雇用WPの鶴光太郎さんが成長戦略に対して強烈に不満を表明しているところでしょう。
・・・この成長戦略に対しては、これとは別の観点からその内容に不満を露わにする人もいる。安倍政権の規制改革会議・雇用ワーキンググループ座長の鶴光太郎慶應義塾大学大学院教授は、「規制改革会議がこれまで真剣に議論し、労働時間の量的上限規制などと新たな労働時間制度をセットにした三位一体改革が必要であることを提言した。だが、成長戦略ではそれが抜けてしまい、結果的には1,000万円という数字だけが突出しており、われわれとしては不満だらけの内容だ」と批判する。
例のブラック企業撲滅プランに関して、わたくしと鶴さんのコメントをそれぞれどうぞ。
・・・濱口主席統括研究員は「労働時間の量的制限という言葉はあるが、具体的には何も書いていない。長時間労働をしないように監督指導を徹底すると言っても、36協定がある限り違法ではないし、いくら監督官を増やしても,取り締まることはできない。残業代をなくした代わりに、監督官が監督指導できる根拠となる新たな法規制は盛り込まれていない。ということは、今のままでいい,というのが本音ではないか」と指摘する。
また、鶴教授も「36協定によって労働時間は事実上青天井になっている。産業競争力会議の提案にはいろいろ書いてあるが、上限規制についてはまったく踏み込んでいない。長時間労働を取り締まることがないままにエグゼンプションを導入するのでは,国民の納得も得られないだろう。労働政策審議会では、労使で健全な仕組みについて前向きな議論をお願いしたい」と語る。
先日のみずほ総研におけるパネルディスカッションを想起された方も多いかも知れません。
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