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2014年7月19日 (土)

非正規労働者の「正社員化」をどう見るか?@『ビジネス法務』9月号

1110306_p『ビジネス法務』9月号の巻頭の「地平線」というコラムに、「非正規労働者の「正社員化」をどう見るか?」という小文を寄稿しました。

http://www.fujisan.co.jp/product/3198/b/1110306/#conetnts_area

 最近、ファーストリテイリング(ユニクロ)、スターバックス、イケアなど、小売・飲食業界を中心に、非正規労働者の「正社員化」が相次いでいる。今後一番影響が大きいのは日本郵政だろう。これら「正社員化」は、これまでのような職務、時間、勤務場所が無限定な「正社員」になるのではなく、これらがなにがしか限定されたいわゆる「限定正社員」になるものである。この背景にはもちろん景気回復による労働市場の改善で、低い労働条件の非正規労働者ではなかなか人手が確保できなくなりつつあることがある。しかし企業法務の観点からすれば、2013年4月に施行された改正労働契約法への対応策という面もある。

 この改正により、有期労働契約を反復更新して5年経った労働者は無期契約に移行することができるようになった。企業は無期化を嫌がって5年経つ前に雇用終了してしまうという後ろ向きの対応をするのではないかと批判する学者や評論家も多く、実際にそういう対応をするところもあるが(その代表は実は企業ではなく大学だが)、事業を進めていかなければならない企業としては、せっかく仕事に慣れて戦力になってきた非正規労働者を、無期契約にしたくないという理由で放り出すのは経営上賢明なやり方ではない。

 この改正を批判する評論家は、無期契約化を「正社員化」と思い込んで過剰な規制だと言いたがるが、法律が求めているのは雇用期間が無期化することだけであって、他の雇用条件を今までの正社員と同じにすることを求めているわけではない。近年雇用政策で話題となっている「限定正社員」は、こうした無期化した非正規労働者の受け皿として提起されているものである。その事実が次第に浸透してきたこともあり、昨年来非正規労働者を限定正社員化する動きが加速化してきたわけである。

 振り返ってみると、1990年代以降日本の企業は人件費の節減を主たる目的として労働力の非正規化を進めてきた。その結果、非正規労働比率は4割近くとなり、とりわけ小売・飲食業では店長など一部を除けばみな非正規という状況が広まった。これを労働者の側から問題視し、その無期化と処遇の改善を進めようとしたのが上記労働契約法改正であるが、企業の側から見てもその業務を支える労働力の主力が非正規労働のままでは、責任感を持ってしっかりと働いてもらうことが期待できないという危機感が大きくなってきたのではなかろうか。そこにうまい具合に限定正社員という雇用のあり方が示唆され、取り入れる企業が続出した、と見ることができるだろう。

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