『労働調査』7月号で拙著書評
労働調査協議会の雑誌『労働調査』7月号は、特集が「労働組合の教育機能を考える」で、これ自体とても大事なトピックなので改めて取り上げますが、本日は最後のページに載っている書評を。評者は中川敬士さん。
http://www.rochokyo.gr.jp/articles/br1407.pdf
本書は、戦後日本の雇用システムと雇用政策の流れを丁寧に解説しながら、こぼれ落ちたらなかなかはい上がれない日本の雇用システムの構図が最も集約的に現れる「中高年雇用」に着目している。・・・
・・・ただし、ジョブ型の雇用システムでは就職の際に職業スキルが問われることになるので、中高年よりスキルの劣る若年層は労働市場で不利となる側面がある。しかしメンバーシップ型の入社からこぼれ落ちるとなかなかはい上がれない新卒一括採用から、ジョブ型の欠員補充方式に移行していけば、採用の入口が拡がるので、再チャレンジできる可能性は高まると思われる。さらに入社しても中高年になれば職務の有無に関わらず人件費が高いという理由だけでリストラの対象となりやすく、対象となった場合には再就職も難しいことを考えると、職務がある限り企業から排出されることはないジョブ型の雇用システムが若年層にとっても好ましく思えてくる。本書は中高年の雇用問題だけでなく雇用問題全体を考えていく上で必要な要素がわかりやすく解説されているので、若年層にもお勧めしたい。
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