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2014年6月17日 (火)

「過労死、絶対ないように」と同友会の長谷川代表

サンケイビズで、

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140617/biz14061718430016-n1.htm

経済同友会の長谷川閑史代表幹事は17日の記者会見で、政府の成長戦略素案に盛り込まれた、時間ではなく成果に応じて賃金を支払う新制度に関し、経営側が過重労働を招くとの懸念を解消する必要があると強調した。長谷川氏は「過労死が増えることが絶対にないよう、細心の注意と配慮をするべきだ」と語った。

労働時間の上限や休暇取得の下限を設定するといった対策が求められるとの考えも示した。

あれ?と思った方もいるかもしれませんが、このように何が問題なのかは、長谷川さんもちゃんとわかっているのです。

では、なぜ、産業競争力会議の長谷川ペーパーは、あれほど一生懸命、リップサービスはするものの、実質的な労働時間の上限規制はしないようにしないようにとなっているのでしょうか?

Img_69347b7129f9a09a49b180214020874 その消息をあっさりと書いているのが、昨日発行された『週刊ダイヤモンド』の浅島さんの記事です。

・・・日本の労働基準法では、企業は最低賃金さえ保障すれば、労働時間や賃金体系に、ほぼ規制の縛りはない。にもかかわらず、こと残業代に関しては極めて厳しい規制が存在している。(その善し悪しはともかくとして、)ある企業が成果主義を標榜していても、従業員が残業をした瞬間に、割り増し賃金が発生する。このため、成果に応じた賃金制度ではなくなってしまう。

濱口桂一郎・労働政策研究・研修機構主席統括研究員は、「労働時間と賃金を切り離すことには賛成。残業代という一部分だけを取り出して議論するよりは、全体の規制の在り方を組み替えた方が健全だ。つまり、残業代というお金の規制を緩めて、今まで規制がなかった労働時間の規制を厳格化すべきだ」と言う。具体的には、労働時間の上限規制を設けたり、勤務間インターバル規制(勤務終了時から翌日始業時までに一定の休息時間を確保すること)を導入したりする、というものだ。残業代以外の方法で、長時間労働を抑制し過労死問題を回避しようという考え方だ。

もっとも、労働者保護に主眼を置く厚労省の幹部ですら、「産業界が望まないものを導入することはできない。労働時間の上限規制の導入は非現実的だ」と言いきる。

結局、産業界は残業代部分の規制緩和に熱心な割には、職務や労働時間を限定しない"使い勝手の良い"正社員の存在を放出する気はないのだ。残業代がゼロとなり得る要件を軽視してはいけないが、抜本的な労働時間規制の改革に踏み切る機運がないことの方がはるかに大きな問題だ。・・・

というわけで、産業競争力会議の事務局としては、いかに三位一体改革とかいわれても、スポンサーの産業界の中枢が望まない労働時間の上限規制を書き込むわけにはいかなかったということなのでしょうね。

結局、「雇用の岩盤」なるものは、労働組合でも厚労省でもなく、無限定正社員を手放せない産業界自身の中にありました、というオチのようで・・・。

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