リベサヨまたは手を使うフットボール
依然として、ごくごく一部の人を除いて、私がこねくり挙げた言葉のはずの「リベサヨ」という言葉は、圧倒的多数の人々にとっては相矛盾する「リベラル」と「サヨク」をくっつけた皮肉に満ちた言葉、なんかでは全然なくって、ほとんど同義語である悪口としての「リベラル」と「サヨク」をまことに素直にくっつけた言葉として流通してしまっているようですね。
本ブログでも何回も、そもそもヨーロッパではリベラルというのは市場主義の右派のことであって・・・などと説明してきましたが、そんなこむつかしいことを百万回繰り返したって何の効果もないということがそろそろわかってきたので、ちょっと違う説明を考えました。
というか、やたらにテレビで流れるワールドカップ関連の番組を見ていて思いついたんですけどね。
さて、今月ブラジルで行われるワールドカップ、何というスポーツの祭典でしょうか?
莫迦じゃないか?といわずに答えてください。正式には、つまり当該祭典を主催する当該スポーツの国際団体の正式名称からすれば、それはもちろんフットボールです。
FIFAってのは、フランス語のFédération Internationale de Football Association の略ですが、英語でもInternational Federation of Association Footballです。でも、日本ではサッカーといってますね。
大変面白いことに、日本の組織は日本語では「日本サッカー協会」なのに、英語名は「Japan Football Association」なんですね。
世界的には、フットボールといえば、日本でサッカーと呼んでいるものを指すのが普通ですが、諸国の中には別のスポーツを普通にフットボールと呼ぶ国もあり、そこでは世界の大多数でフットボールと呼ばれているスポーツのことをサッカーと呼ぶ習慣があるので、日本でもそのアメリカ方言が普及しているわけです。
でも、国内ではサッカー協会と呼びながら、国際的にはJFAといってるということは、サッカーなんてアメリカ方言は世界には通じないとわかっているということなのでしょう。
何が言いたいかというと、日本で「リベサヨ」という言葉に何の違和感も感じない人々の頭の中にある「リベラル」ってのは、アメリカ方言のフットボールと同じくらいアメリカ方言なんですよ、ってことです。
そう、手を使ってはいけないスポーツのことを普通にフットボールと呼んでいる世界の大多数の人々にとっては、「手を使うフットボール」ってのはそれ自体矛盾をはらんだ訳のわからない言葉なんですが、いやもちろんそういうスポーツがあるってことはわかっていても、それにしても何でわざわざそれをフットボールなんて言うかなあ、と思うような言葉なんですが、まさにその手を使うスポーツのことだけをフットボールと呼び、手を使わない他国でフットボールと呼ばれているスポーツにはサッカーという別の言葉を当てている国の人にとっては、「手を使うフットボール」?はあ?当たり前でしょう、という反応になる。
私は、アメリカ方言じゃない言葉の用法を前提にして、「手を使うフットボール」なんて笑っちゃうね、というような気の利いた皮肉のつもりで「リベサヨ」なんて言葉をこねくり挙げたんですが、あに図らんや、そこはフットボールは手を使うのが当たり前の国の方言がそのまま普通に流通している国、「リベサヨ」?はあ?リベラルがサヨクなのは当たり前でしょう、という反応が返ってくる国だったというわけです。
というようなことを、番組名でも日本語表記はサッカーなのに、英語表記はFootballとなっている番組を見ながらつらつらと感じた次第です。
(追記)
労務屋さんの感想:
https://twitter.com/roumuya/status/476896135458476032
アメフトだけではなくラグビー・フットボールも手を使うので、手の使用を制限するアソシエーション・フットボールのほうがむしろ例外なのかも。だからなんだというわけでもないですが。
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