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2014年6月19日 (木)

決着点と出発点

どうもマスコミも含めて、世の中の圧倒的大部分は、月曜日の産業競争力会議の「決着」がものごとの決着点だと思い込んであれこれ論じているようです。

そういう前提からすれば、厚生労働省は、年収1000万円で残業代ゼロという「決着点」を望ましいと本気で考えてそういう「決着」に持ち込んだという理解になるのでしょう。

今朝の朝日新聞の7面の「成長戦略を問う」というインタビュー記事で、

・・・企業は人件費を減らしたい、厚生労働省は小手先の見直しで済ませたい、といった思惑ばかりが見える。どんな雇用社会を作るのか、理念がない。悲しいことだ。

と述べているのも、そういう前提に立っているからだと思われます。

しかし、そもそも、産業競争力会議などという三者構成でも何でもない官邸直属の会議体で、労働法、労働政策の根幹に関わることが決定されること自体が承服しがたいという労働政策の根本理念からすれば、そんなところでは何も決着させないというのが最も望ましいとはいいながら、政治的状況等からしてそういうわけにはいかず、なにがしか形だけでも整えなければならないとすれば、できるだけ「決着」の名に値しないようないかにも間に合わせ的なレベルで当面の「決着」をさせることが、最も合理的な行動となります。

労働法制の根幹に関わるような本格的な制度改革の議論は、産業競争力会議なんかではなく、三者構成の労働政策審議会でやらなくてはいけない、という信念からすれば、そこで本来の議論がされるまでに「小手先」を超えるような「決着」をさせないことが何より重要です。

産業競争力会議などという場で労働政策の根本方針が決定されることに何の疑いも感じない感性の持ち主だけが、まさにそんなところでは「小手先の見直し」にとどめようとした行動を、そもそも根っこから「小手先の見直し」しかするつもりがないと批判することになるのですが、残念ながら現在の日本では、そもそも労働政策は三者構成が大原則という感覚があまりにも希薄になってしまっているので、それがそのまままかり通ってしまうことになるわけです。

実のところ、同日に労働政策審議会で議論が開始されているので、あとは労使双方がどこでどれだけ妥協し、どこでどれだけ妥協しないか、という駆け引きの世界に入っていくわけです。

今週月曜日の産業競争力会議での「決着」は、もともとそこで最終決着させないためのとりあえずの「決着点」なのですから、政策過程全体の中では決着点どころかむしろそこから本当の三者構成の議論が始まる出発点なのです。

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