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労基法違反はとっくに刑事事件である件について

特定社労士しのづかさんの  「労働問題の視点」に、こんなコメントが付いていましたが、

http://sr-partners.net/archives/51944058.html#comments

労働問題については、どうしても会社と労働者間の私人間の問題という意識が強く、特に労働基準法違反に当たらない労使紛争の部分については国(監督官)はノータッチの姿勢であります。また、対等な契約関係と言いながら、実体は昔ながらの主従関係、滅私奉公の関係が労使間を支配しており、純粋な法律問題のようにはいかないところに難しい点があるかと思います。

しかし、少なくとも労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準等に違反するいわゆる法違反の部分については、現在の労働基準監督官の権能を強化するべきであります。

 経済特区等での介護等に従事する外国人労働者を受け入れや、残業代ゼロ法案などの法規制の解放と引き換えに、違反者(企業役員、事業主)には単なる指導を飛び越えて、身柄拘束(逮捕)を実行すべきであります。
 つまり、労基法等を改正し、「労働基準監督官」から「労働警察官」、労基署の方面部門も「労働警察署」とし、地方公安委員会、警察署と連携して労働法違反事件は刑事事件と等しいものとの認識を世間一般に植えつけることが大事であると思います。
 経済界からは大きな反対意見が出るでしょうが、、我が国においては労働問題の抜本的解決は私人間の問題としているうちは無理ではないかと思います。

弁護士、社労士はじめ、労働法を知っている方にとっては当然のことですが、労働基準法はとっくに刑事法規であり、労働基準監督官は労基法違反の罪について司法警察官の職務を行う権限を有しています(労基102条)。もちろん滅多に使いませんが逮捕権限もあります。(ダンダリンでは使ってましたな)

労基法及びその附属法規に関する限り、労働基準監督官はまさに労働警察官なんですね。

だからこそ、

そう、だからこそ、労基法等の刑事法規違反ではない民事上の労使紛争に、労働警察官たる労働基準監督官が介入できないという理路になっているということが、なかなか理解されないのが悩ましいところです。

刑罰法規違反ではないのに、世の中的にけしからんからという理由で、警察官が民事に介入するわけにはいかないのとまったく同じことなのです。

「うちの亭主、給料を全然うちに入れずに、呑む打つ買うばかりで困ってます」と言われたからといって、警察官がその亭主を逮捕して給料を無理矢理女房に渡させるというわけにはいかないのと同じです。

不当に解雇されたとか、パワハラを受けたというのは、基本的に民事なので、労働基準監督官が司法警察官の職務を行うことはできないということがなかなか伝わらないわけです。

でも、これがこのブログのコメント欄だけの問題であれば、わざわざこうして論ずるまでもないかも知れません。

問題は、一国の政策立案の中枢で提示されているハイレベルの文書、日本の労働法政策の行く末を左右しかねないハイレベルの政策文書の中において、どうもこういう最も基本的な理路がきちんと理解されていないのではないかと思われるふしがあるからです。

労働基準法で明確に刑事罰が規定されている違法行為であるがゆえに、労働基準監督官はそれを摘発できるのであり、どんなに世の中的にけしからんことであっても、労働基準法上違法でないことを摘発することはできないという、労働法を論ずるのであればイロハのイとしてわきまえておかねばならないことが、どうもきちんと理解されないままに書かれているのはないかとおぼしきふしがあるからです。

先週末にWEB労政時報の「HRwatcher」に寄稿した「「働き過ぎ防止」を謳いながら、それができない仕組み 」では、そこのところを述べたのですが、さてどこまで伝わったことでしょうか。

http://www.rosei.jp/readers-taiken/hr/article.php?entry_no=228

 政府の産業競争力会議は、最近の4月22日と5月28日にいわゆる働き方改革に関して、長谷川閑史雇用・人材分科会長のペーパーを提示して議論をしています。予定では今月にも取りまとめを行うということですが、現時点ではあくまでも分科会長名で提出されたペーパーという位置づけです。
 
 4月22日に開かれたのは第4回経済財政諮問会議・産業競争力会議合同会議であり、ここに出された長谷川ペーパーは「個人と企業の成長のための新たな働き方~多様で柔軟性ある労働時間制度・透明性ある雇用関係の実現に向けて~」というA4で7枚の普通の文章です。これに対して、5月28日に開かれたのは第4回産業競争力会議課題別会合であり、ここに出された長谷川ペーパーは「個人と企業の持続的成長のための働き方改革」という表紙を入れて7枚のパワポ資料です。
※「個人と企業の成長のための新たな働き方」⇒公表資料(PDF)はこちら
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/skkkaigi/goudou/dai4/siryou2.pdf
※「個人と企業の持続的成長のための働き方改革」⇒公表資料(PDF)はこちら
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/kadaibetu/dai4/siryou5.pdf
 
 一方は普通の叙述文なのに、もう一方はパワポ資料なので、おのずから両者には精粗の差があります。とはいえ、書かれている内容にはかなりの違いが見られ、その精粗の差を補いながらペーパーの真意を読み解いていく必要があります。
 
 両ペーパーとも、冒頭に持ち出してきているのは「『働き過ぎ』防止の総合対策」「改革の大前提:『働き過ぎ防止』・『ブラック企業撲滅」」という、労働者保護の観点からすれば極めてまっとうなテーマです。4月ペーパーでは「まずは、長時間労働を強要するような企業が淘汰(とうた)されるよう、問題のある企業を峻別(しゅんべつ)して、労働基準監督署による監督指導を徹底する」と述べていますし、5月ペーパーでは最近の流行語まで投入して、「政府(厚生労働省)は、企業による長時間労働の強要等が行われることのないよう、労働基準監督署等による監督指導を徹底する等、例えば『ブラック企業撲滅プラン』(仮称)を年内に取りまとめ、政策とスケジュールを明示し、早期に対応をする」と書かれています。
 
 言うまでもなく、労働基準監督官とは労働基準法その他の労働条件法令を施行するために司法警察官の職務を行う国家権力の一機関です。従ってその行使し得る権限はあくまでも法律によって与えられた違法な行為の摘発であって、違法ではないのに「世の中的にけしからんから」などという理由で権限を行使することは許されません。もちろん、かつての週休2日制などの時短指導のように、法律上の監督指導とは区別されたいわゆる政策目的の行政指導をすることはあり得ますが、それは違法行為の摘発ではないのですから、従うか否かは使用者の任意です。これは法律学のイロハです。
 
 ところが官邸に設置され、経済産業省出身の精鋭官僚たちが事務局を務めているはずの産業競争力会議が提示したペーパーであるにもかかわらず、これら長谷川ペーパーは一体企業のどういう行為を「監督指導」したり「淘汰」したり、果ては「撲滅」したりしようとしているのか、よく理解できないところがあります。
 
 日本の労働基準法は一応1日8時間、週40時間という「上限」を定めていますが、実際は36協定によって法律上は無制限の時間外・休日労働が可能となっています。少なくとも、ある一定時間を超えて働かせたらその長時間労働それ自体が違法になるというような仕組みは存在しません。かつて男女均等法制定以前は、女性については時間外労働に関して1日2時間、週6時間、1年150時間という上限があり、深夜・休日労働も原則禁止でしたから、労働基準監督官が夜中に繊維工場に夜襲をかけてそこで働いている女性がいれば、残業代を払っていようがいまいが、それだけで直ちに摘発できました。しかし今はそういう規制は年少者だけです。
 
 では、長時間労働だけでは違法にはならない日本で、監督官たちは何を監督指導できるのかといえば、(36協定がある限り)「残業代をちゃんと払っているか否か」という点でしかありません。本来は労働時間規制ではなく賃金規制に過ぎない残業代が、労働時間に関わるほとんど唯一の摘発可能事項になってしまっていることにこそ、現代日本の労働法制のゆがみがあるのですが、それはとりあえずさておいて、現時点では監督官がブラック企業に対して使える武器は残業代規制だけなのです。ところが、長谷川ペーパーはその規制の緩和・撤廃を訴えています。では、残業代規制をなくした代わりに、監督官たちがブラック企業を監督指導できる根拠となる新たな規制がどこかに盛り込まれているのか、が最重要の論点になります。
 
 結論から言えば、両長谷川ペーパーのどこをどう読んでも、監督官がその規制に違反したことを捉えて摘発することができるような労働時間に関わる新たな法規制は出てきません。言葉の上では長谷川ペーパーにも「労働時間上限」という言葉はあります。しかし、それは少なくともそれを根拠として監督官が「監督指導」することができる法的な労働時間の上限ではありません。4月ペーパーでは、Aタイプに「労働時間上限要件型」(上記ファイル3ページ)などという麗々しい名称が付いているにもかかわらず、「対象者の労働条件の総枠決定は、法律に基づき、労使合意によって行う。一定の労働時間上限、年休取得下限等の量的規制を労使合意で選択する」と書かれていて、結局現在の36協定における「上限」と同様、法的には上限は設けないという趣旨のようです。5月ペーパーでも「対象者に対する産業医の定期的な問診・診断など十分な健康確保措置」(上記ファイル4ページ、以下も同様)とありますが、現行労働安全衛生法で月100時間を超える時間外労働をさせる場合は産業医の面接指導を義務づけているのですから、そのレベルの時間外労働をやって産業医の面接指導を受けることは当然の前提ということなのでしょう。さらに、「量的上限規制を守れない恒常的長時間労働者、一定の成果がでない者は一般の労働管理時間制度に戻す」と言っているということは、もし法律上の上限であれば「守れない」その段階で法違反ですから、戻すも戻さないも摘発対象のはずですが、そういうことはまったく想定していないようです。
 
 つまり、「新しい労働時間制度」の説明のどこをどう読んでも労働時間の法的上限設定は出てこず、かつこれまで唯一摘発の手段であった残業代規制をなくすというのですから、「監督指導を徹底」とか「ブラック企業撲滅」などという空疎な言葉だけで発破をかけられた労働基準監督官たちは、何をどう摘発し、是正させたらいいのか、まったく意味不明の状況に追いやられてしまうことになります。まさか産業競争力会議の委員や事務局諸氏が、労働基準監督官に合法的な行為を「監督指導」したり、果ては「撲滅」したりさせようとしているのではないと信じたいところですが。

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コメント

>不当に解雇されたとか、パワハラを受けたというのは、基本的に民事なので、労働基準監督官が司法警察官の職務を行うことはできないということがなかなか伝わらないわけです。
>労働基準法で明確に刑事罰が規定されている違法行為であるがゆえに、労働基準監督官はそれを摘発できるのであり

あれ?解雇の予告や、申告をした労働者への不利益取り扱いについての違反には刑事罰が無かったでしたか?勉強になりました。
己の不明を深く恥じ入るばかりです。

また、引用されている文章

>労基法等を改正し、「労働基準監督官」から「労働警察官」、労基署の方面部門も「労働警察署」とし、地方公安委員会、警察署と連携して労働法違反事件は刑事事件と等しいものとの認識を世間一般に植えつけることが大事であると思います。

これは非常に新鮮な発想でした。
つまり刑事犯罪が横行するのは行政機関の名称のせいであると。
私はてっきり摘発しないから犯罪が横行するのだと思っていました。なんと愚かしい考え方をしていたのでしょう!
監督官を警察官と呼べば違反も沈静化するとは、目からうろこです。
やはり日本は民度が高いですから、経営者が違反を犯すとなれば「きっと規則を知らないからだろう」と考えるのが妥当ですよね。
容赦ない取り締まりをする警察や国税と異なり、経営者と相対するときは性善説に立つことが大事ですよね。
労基法違反が疑われても労働者は経営者と良く話し合って、労基法違反であることを知ってもらうなどの自助努力が求められているのかもしれませんね。

投稿: aiueo | 2014年6月18日 (水) 23時06分

もちろん、労働法学習者には初歩的なことですが、労働基準法で規定されている解雇の予告義務と、民事上(労働契約法上)の解雇の正当性云々とは全く次元が別の問題です。

そこがよくわからないまま、解雇は不当だといいたくて監督署に行って、解雇予告手当の不支給という労基法違反事案の申告として処理されてしまって、あとからトラブルになるという話もよくありますね。

いや、労基法違反であれば監督官が処理できるけれど、民事ではできないんだよということがちゃんと伝わらないまま、解雇で監督署に駆け込んだという程度の認識でやっちゃうと、そうなる危険性があるわけです。

まさに、勉強が必要なところです。

投稿: hamachan | 2014年6月18日 (水) 23時20分

また、パワハラについても私の認識は大きくずれていたようです。

厚生労働省の「みんなでなくそう!職場のパワーハラスメント」パンフレットでの例示によれば、
職場のパワーハラスメントとは、以下のような行為とされています。
1.暴行・傷害
2.脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言
3.隔離・仲間外し・無視
4.業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害
5.業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
6.私的なことに過度に立ち入ること

上記のような行為が基本的に民事というのは初耳でした。
やはり労働法学習者には初歩的なことと思いますが、
厚労省パンフレットに記載されているようなパワハラが職場であっても民事で何とかすべきということですね。
初学者として大変勉強になります。

>もちろん、労働法学習者には初歩的なことですが、労働基準法で規定されている解雇の予告義務と、民事上(労働契約法上)の解雇の正当性云々とは全く次元が別の問題です。

私は
・労働基準監督官が摘発する対象になるか
・労働基準監督官が司法警察官の職務を行うことができる対象か
について述べたつもりで民事上の解雇の正当性は問題にしていなかったつもりなのですが。
そもそも、「民事だから介入できない」という議論の文脈で問題になっておりませんので。
と思ったのですが、やはり初学者の勘違いである以上、(論理構造は良くわからないものの)上記の事例は監督官不介入の民事ということですね。
そうすると当該罰則は一体何のためにそんざいするのかという疑問も出てきますが、精進して解決していく所存です。

今後も啓蒙記事のご連載を心待ちにしております。

投稿: aiueo | 2014年6月18日 (水) 23時35分

暴行障害等々は、いうまでもなく刑法に定める罪であって、同じ司法警察官でも、労働基準監督官には取締権限はありませんよ。警察署に持って行くべき事件を労働基準監督署に持ち込んでも、動きようがありません。

なんにせよ初学者の方は労働基準法の条文をよく読まれてから書き込みをされた方が宜しいのではないかと存じます。

http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxselect.cgi?IDX_OPT=2&H_NAME=&H_NAME_YOMI=%82%eb&H_NO_GENGO=H&H_NO_YEAR=&H_NO_TYPE=2&H_NO_NO=&H_FILE_NAME=S22HO049&H_RYAKU=1&H_CTG=1&H_YOMI_GUN=1&H_CTG_GUN=1

第百二条  労働基準監督官は、この法律違反の罪について、刑事訴訟法 に規定する司法警察官の職務を行う。

投稿: hamachan | 2014年6月19日 (木) 22時51分

>「うちの亭主、給料を全然うちに入れずに、呑む打つ買うばかりで困ってます」と言われたからといって、警察官がその亭主を逮捕して給料を無理矢理女房に渡させるというわけにはいかない

hamachan 先生の秀逸な例えにならえば、亭主が法律違反をしていれば警察官は亭主を逮捕できるが、給料を女房に渡すことはできない、ということですね。給料を稼いでくる亭主が逮捕されてしまって、女房は生活に困る、ということになるだけ。

ブラック企業で働く労働者というのは、無職であるよりは、ブラック企業で働く、という選択をしているわけでして。ブラック企業の経営者を逮捕して、その企業を危機に陥れるのは、労働者の望むところではないでしょう。労働者の望んでいることは、労働時間の短縮であるとか、残業代の支払いであったりするわけですが、そうしたことを実現するのは民事の領域であって、警察官の職務ではないということですね。

ブラック企業をバシバシ取り締まれば、ブラック企業の経営者が「恐れ入りました」と改心して、ホワイトな経営者に生まれ変わる、というストーリーでも思い描いているのでしょうかね。時代劇の見過ぎではないかと思います。現実には「じゃあ辞める」となるだけじゃないかと思いますけど。

経営者も辞める自由はあるわけですし、内心辞めたいと思っている経営者は多いと思いますけどね。お年を召している方が多いですし。でも取引先や従業員のことを考えると辞められない。むしろ逮捕して欲しいとすら思っているかもしれませんね。それを理由にして辞められますから。

投稿: IG | 2014年6月21日 (土) 07時24分

ははあ、刑事犯を犯しても亭主を取り締まったら女房が困るから警察官は逮捕しないんだということですね。
そうすると警官の仕事は一体何なのかという事になると思いますが(これが私が最初から提示している疑問ですが)、
また、労働者は経営者の処罰を望まないはずという事情が勝手に仮定されることや、刑事犯に対して司法警察職員としての職務を行うに当たり勝手に斟酌することがどこまで許されるのかということに対する疑問が尽きませんが、
それは労働法の条文知識を得るなど勉強を進めれば氷解するということですね。ご指摘ありがとうございました。

投稿: aiueo | 2014年6月21日 (土) 11時54分

加えて、提示いただいた例につきまして、私が矛盾を感じる部分を書いておきます。
初学者の方が同じことを感じた場合、「自分は労働法の学習が足りないんだ」と自覚することができると思いますので。

>労働時間の短縮であるとか、残業代の支払い

・割増賃金不払いは刑事罰が定められている刑事犯
・だが、民事不介入なので監督官は取り締まれない

投稿: aiueo | 2014年6月21日 (土) 12時09分

労働法の初歩をわかっている人からすると、なんでこんな全然わかっていない人のコメントを公開するのか、と苦情が出されるかもしれませんが、ある意味で、これだけ物事が全然わかっていないまま、わかったつもりであれこれ言えるのが、日本の労働法制をめぐる実情であるという、まことに良い実例になるからです。

むしろ、いちいち解説を付け加えるより、以下のどこがどう間違っているかをお答えいただくというのが、労働法の学習上、効果があるのかもしれません。

・割増賃金不払いは刑事罰が定められている刑事犯

・だが、民事不介入なので監督官は取り締まれない


この方がどこをどう勘違いしているか、よくわかります。

刑事犯を犯しても亭主を取り締まったら女房が困るから警察官は逮捕しないんだということですね。

こちらは多分、労働基準法102条の


第百二条  労働基準監督官は、この法律違反の罪について、刑事訴訟法 に規定する司法警察官の職務を行う。

という条文の意味がよく理解できていないということなのでしょう。「この法律違反」という言葉の意味が。
刑法はここでいう「この法律」に含まれませんから、労働基準法違反の罪では逮捕権限がある労働基準監督官には、刑法違反の罪で逮捕する権限はないということは、初学者にはこれほどまでに理解しにくいことであるということです。

これは、yamachanさんはじめ、監督署の窓口で訴えに対応する監督官の皆さんが、ここまで説明しないとなかなかわかってもらえないんだよ、という意味で、大変示唆的であろうと思います。そういう意味も込めて、こうして公開しておきます。

なお、明日から1週間、日本EU労働シンポジウムにパネリストとして出席するために訪欧しますので、しばらく更新はなくなりますので、その旨ご了承ください。


投稿: hamachan | 2014年6月21日 (土) 13時57分

>刑法はここでいう「この法律」に含まれませんから、労働基準法違反の罪では逮捕権限がある労働基準監督官には、刑法違反の罪で逮捕する権限はないということは、初学者にはこれほどまでに理解しにくいことであるということです。

私は労働基準法に定められた刑事上の罰則について、労働基準法上に定められた特別刑法という意味でずっと「刑法」と書いていたのですが、労働法ではそうではないという事でしょうか?そうしますと私の刑法の理解も間違っていたということになります。
合わせて初学者の勘違いかつ勘違いが正しにくいということで、投稿させていただきます。自身もどこが間違っているのか理解できていません。

私の勘違いを簡潔に書いておきます。

・労働基準監督官には、刑法違反の罪で逮捕する権限はある(労働法上の特別刑法違反の罪)

投稿: aiueo | 2014年6月21日 (土) 14時25分

刑法典に定める暴行傷害等の罪は労働基準監督官の権限ではないというだけのことです。
監督官の権限は、労働基準法及びその付属法令などの労働基準分野の特別刑法に限られます。刑法典その他の労働基準関係以外の刑事法令には及びません。それをただ「刑法」と呼ぶ人は、ここにコメントをしている人以外には見当たりません。

非常に多くの人が勘違いしていますが、職業安定法や労働者派遣法ですら、労働法ではありますが労働基準関係法令ではないので、労働基準監督官には権限がありません。
といって、ハローワークの職員には司法警察官の権限がないので、その違反で逮捕とか言う場合は本物の警察署の警察官が出てくることになります。

オレ流の用語法を用いられるのは自由ですが、それが他の人々、とりわけそういう用語法を使わない専門家などの多くの人々に何も言わなくても通じると思うのは、いささか早計というものでしょう。

投稿: hamachan | 2014年6月21日 (土) 14時45分

「刑法」で当ページを検索したところ、私は労働基準法内の特別刑法を単に刑法と呼んでいませんでした。
監督官が対処すべき「刑事犯」かどうかということを問題にしていました。
これが間違いとなると監督官が対処すべき特別刑法違反は刑事犯ではない(刑事犯とは一般刑法違反の犯罪のみを指す)と理解するのが正しい、ということになります。

合わせて、初学者の勘違いということで投稿させていただきます。

なぜパワハラの事例で労働法が定める罰則に該当するかどうかを話した場合に「(一般)刑法が禁止する行為なので管轄外」というお答えを戴いたのかも理解に苦しんでおります。私は暴行や威迫などにより辞めさせないタイプの労働法違反は強制労働の禁止に触れるものだと思っておりましたが、間違っていたようです。
一般刑法が禁止する行為と特別刑法が禁止する行為は包含関係にあることは通常であるので、(特別刑法違反の)刑事犯(間違った用語法?)だから管轄外としてしまってはそのような包含関係にある罰則についての管轄の規定が意味がなくなってしまうのですから、アプリオリに民事不介入という判定が下されるのは理解できませんでした。

合わせて、初学者の勘違いということで投稿させていただきます。

投稿: aiueo | 2014年6月21日 (土) 15時25分

民事不介入というのは、民事であって、刑法典の犯罪を取り締まる警察も権限がありません。

同じ刑事犯でも、労働基準監督官の権限は労働基準関係法令だけです。

どうも、上に並んでいるコメントを読むと、話があっちに行ったりこっちに行ったりで、そもそもなんの話をされたいのかよくわかりかねますね。

弁護士や労働法学者が何人も集まって議論するような、ぎりぎりの法解釈(一般的には民事であり、暴行傷害等を伴えば刑法典上の刑事犯になり得るパワハラを、一般的に労働基準法第5条の強制労働として労働基準監督官が取り締まることが可能か、など)を論じているのなら、それはそれで結構ですが(というか、ぜひ労働法学会で議論してください)、とてもそうとは思えない初歩的なこと(割増賃金不払いは刑事罰が定められている刑事犯・だが、民事不介入なので監督官は取り締まれない)を平然と書かれているので、一体どのレベルにあわせた議論をすれば良いのか、まことに判断に苦しむところです。

この苦しみから解放していただけるような目の覚めるような明晰な議論を展開していただけるのであれば、更なる書き込みは大いに歓迎いたしますが、どうもますます理解に苦しませていただく一方のようで、なかなかつらいところです。

投稿: hamachan | 2014年6月21日 (土) 16時13分

aiueoくん頭悪そう

投稿:   | 2019年2月23日 (土) 14時14分

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