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2014年6月14日 (土)

医療派遣禁止の謎

yamachanこと「焦げすーも(黒い雷神)」さんの素朴な疑問に、今から8年前に連合で、6年前に日本経団連でそれぞれ講演したときのメモから一定の答えを。

https://twitter.com/yamachan_run/status/477767232483647491

謎:医療関係業務は派遣法で原則禁止されているが、派遣会社は現にたくさんあるよな。 そもそも、専門的な業務とされる政令26業務(今は28)に親和的なはずなのに、なぜネガティブリストに入ったのだろうかね。

https://twitter.com/yamachan_run/status/477768002754994176

医師会などからの圧力かなあ?厚労関係の資料には、"派遣業解禁するとチーム医療が崩れる"という理屈が書かれていたが、どう考えても筋悪いものだよなあ。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/rengohakenukeoi.html(連合「労働者派遣・請負問題検討会」第1回講演メモ 2006.11.30 「労働者派遣法の制定・改正の経緯について」 )

もう一つ1999年改正の施行の際に適用除外業務に飛び込んできたのが医療関係業務である。もともと、医療関係業務は原始ネガティブリストには含まれておらず、1994年の高年齢者派遣特例で部分的ネガティブリスト方式が導入された際にも、医療関係業務は適用除外とはされなかった。当時の解説書にも堂々と医師、看護婦等の業務が例示されている。育児・介護休業取得者の代替要員派遣でも当然のように対象業務であった。また、1999年改正に至る審議会の議論や国会審議においても、医療関係業務を適用対象から外すといった議論がされた跡は窺えない。ところが、法施行時になって、政令で定める「その業務の実施の適正を確保する上で労働者派遣が不適切な業務」に、なぜか医療関係業務が追加されたのである。

改正後の解説書によると、その理由は、医療はチームで行われ、また人の身体生命に関わるとのことであるが、言うまでもなく多くの業務はチームによって行われているし、人の身体生命に関わる業務も医療に限られるわけではない。そもそも、医療職はすぐれて専門技術的な性格を有しており、ポジティブリストで対象業務になっても不思議でなかったはずである。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/hakensaikou.html(日本経団連・労働者派遣制度見直し検討WG講演 2008/03/18 「労働者派遣システム再考」 )

医療関係業務の扱いはさらに奇怪である。1985年労働者派遣法においては、医療関係業務はポジティブリストには入っていなかったが、さりとてネガティブリストにも入っていなかった。従って、1994年の高齢者派遣特例や、1996年の育児・介護休業取得者への代替要員派遣のいずれにおいても、医療関係業務への派遣はなんの制約もなく行われていた。ところが、1999年のネガティブリストへの改正時に、審議会や国会の審議ではなんら議論された形跡はないにもかかわらず、政令改正時に突如として禁止業務にされてしまったのである。解説書では、医療はチームで行われること、人の命に関わることが理由とされているが、言うまでもなく、医療以外の多くの業務もチームで行われているし、人の命に関わる業務の医療に限られるわけではない。

ところが、この扱いが医療業界の都合で漸次修正されてきている。2003年には紹介予定派遣に限って認めることとされた。これは事前面接による人物特定を行えばチーム医療に支障が出ないからという理屈付けである。そもそも事前面接の禁止の是非論を別にすれば、もし違法な事前面接を潜脱するために雇い入れる予定もないのに紹介予定派遣を行うという趣旨であるのなら、これは偽装行為を法令で認めるものといわざるを得ないであろう。その後2006年には、産前産後休業、育児休業、介護休業中の代替要員派遣と、過疎地域への医師派遣が解禁され、さらに2007年には、緊急医師確保対策として、医師不足地域への医師派遣が解禁された。このようなご都合主義によるつぎはぎ的な対応には、労働法としての一貫性は全く感じられない。そもそも、労働者派遣法を所管するのは厚生労働省の中では職業安定局であり、医政局ではないという基本的な事項が、必ずしもきちんと理解されていないようでもある。

ここに問題意識を持つということは、法感覚がまともであるということの証明でもあります。
派遣法の専門的業務だから特に認めるんだという理屈を素直に受け取れば、事務用機器操作だのファイリングなどより百万倍も専門的な業務として認められてしかるべき医療関係業務が、よりによって派遣してはいけない禁止業務に放り込まれているという、物事を素直に考える人であればあるほど全然理解できない状況を、特に何も疑うことなくスルーしている人が圧倒的多数であるのが日本の現実です。

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