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2014年6月19日 (木)

岩盤はどっちか?

連合が事務局長名で「「日本再興戦略」の改訂(素案)における雇用・労働分野に関する提起に対する談話」を出しています。

http://www.jtuc-rengo.or.jp/news/danwa/2014/20140617_1402998067.html

例の「新たな労働時間制度」について、連合は少なくとも公式見解としては、残業代がゼロになるからけしからんなどという、ヘアヌード週刊誌的感覚では語っていませんね。

「労働時間の長さと賃金のリンクを切り離した新たな労働時間制度」の創設では、「一定の年収要件(例えば、少なくとも年収1,000万円以上)を満たし、職務の範囲が明確で高度な職業能力を有する労働者」を対象に労働時間規制の適用を除外することが企図されている。これはかつて世論の大きな反対を受けて断念した「ホワイトカラー・イグゼンプション」と酷似するものである。労働時間の上限規制を設けることなく成果で評価する制度が導入されれば、労働者は長時間働くことを余儀なくされ、過労死の増大等を招くことは明らかである。また、過重労働による労災支給決定件数の約3分の1を管理的職業従事者、専門的・技術的職業従事者、事務従事者が占めるなど、現状でさえホワイトカラー労働者の過重労働対策が不十分であるにもかかわらず、更に新たな適用除外制度を設けることは容認できない。毎年100名を超える方が過労死で亡くなっている現実を直視すれば、いま政府がなすべきことは“残業代ゼロ”ではなく“過労死ゼロ”であるべきである。

もちろん、現場レベルに行けばそれこそいろんな感情があるわけですが、すくなくとも公式見解としては、

労働時間の上限規制を設けることなく成果で評価する制度が導入されれば、労働者は長時間働くことを余儀なくされ、過労死の増大等を招くことは明らかである。

と言っているわけで、労働時間の上限規制を設けた上で「成果で評価する制度」を導入することには、少なくとも公式見解としては反対していないことがわかります。

軽薄な一部評論家たちが、何かというと労働組合や厚労省が岩盤規制、岩盤規制といいたがりますが、本当の岩盤がどこにあるかは、わかる人にはわかるということでしょう。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2014/06/post-cc71.html

もっとも、労働者保護に主眼を置く厚労省の幹部ですら、「産業界が望まないものを導入することはできない。労働時間の上限規制の導入は非現実的だ」と言いきる。

結局、産業界は残業代部分の規制緩和に熱心な割には、職務や労働時間を限定しない"使い勝手の良い"正社員の存在を放出する気はないのだ。残業代がゼロとなり得る要件を軽視してはいけないが、抜本的な労働時間規制の改革に踏み切る機運がないことの方がはるかに大きな問題だ。・・・

結局、「雇用の岩盤」なるものは、労働組合でも厚労省でもなく、無限定正社員を手放せない産業界自身の中にありました、というオチのようで・・・。

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