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2014年6月14日 (土)

骨太方針素案

昨日の経済財政諮問会議で、「経済財政運営と改革の基本方針2014」(仮称)(素案)いわゆる骨太方針の素案は示されました。

http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2014/0613/shiryo_01_1.pdf

内容は多岐にわたりますが、労働政策に関わるところをいくつかぬきだしておきましょう。

総論で大事なのは「日本の未来像に関わる制度・システムの改革」です。

・・・デフレ脱却・経済再生の先に、もう一つ超えなければならない高いハードルがある。現在の日本は、「人口急減・超高齢化」へ確実に向かっている。この流れを変えなければ、持続的・安定的な成長軌道に乗っていくことはできない。

そのために、

・・・年齢、性別に関わらず、意欲、個性や能力に応じて様々な形で活躍できる社会、制度、仕組みを構築する

それゆえ、重点課題の冒頭に来るのは「女性の活躍を始めとする人材力の充実・発揮」です。

(1)女性の活躍、男女の働き方改革
女性が輝く社会を目指す。そのため、男女の働き方に関する様々な制度・慣行や人々の意識、ワーク・ライフ・バランスを抜本的に変革し、男女が意欲や能力に応じて労働参加と出産・育児・介護の双方の実現を促す仕組みを関係者で議論し構築していく。
女性の活躍を推進するため、女性の活躍を支える社会基盤となる取組を進めるとともに16、役員・管理職等への女性の登用促進の目標達成に向けた情報開示の促進や公共調達の活用等の取組、仕事と子育て、介護の両立を進める企業への支援、女性のライフステージに対応した支援などを進める。さらに税制・社会保障制度等について、女性の働き方に中立なものにしていくよう検討を進める。
ジョブ型正社員、短時間正社員など多様な正社員の普及やテレワークの推進に取り組むとともに、働く者が時間をコストとして捉える意識改革への取組や働いた成果が適正に評価されるような仕組みへの改善を支援する17。
また、国家公務員についても、国が率先して女性職員の採用・登用の拡大に取り組むこととし、職員のワーク・ライフ・バランスも一体的に推進する。

この注17には

17 その他、長時間労働の是正のための監督指導の強化や制度見直しなど「働き過ぎ」の防止を強化、健康管理の強化等。

とあります。ある以上は、それがきちんとできる体制作りが必要であることはもちろんです。

次に「複線的なキャリア形成の実現など若者等の活躍促進」では、

労働需給が改善している現況を好機ととらえて、以下の取組を強力に進める。
若者等の活躍を促進するため、現状を踏まえた総合的な若者対策について法的整備の検討も含め強力に推進するとともに、就職・採用活動時期変更の円滑な実施に向けて必要な取組を進める。22
一旦失敗するとやり直すことが容易でない現状を改善し、複層的、複線的に多様な再チャレンジの機会を確保し、一人ひとりが活躍していくことができる環境を労使など関係者で議論し整備していく。非正規雇用労働者の教育訓練機会の確保、処遇改善、不本意非正規の正規雇用化などを進める。また、起業等に繰り返し挑戦できるよう支援を充実する。また、刑務所出所者等に対する就職支援の推進等を行う。

おや、ここに例の公明党から要求されていた若者雇用法が顔を出していますね。

やはりあの報道は、厚労省ではなく内閣府あたりから流れたものだったようですね。

新しい技術や産業に適応しつつ生涯を通じて能力発揮できるよう、人材育成や職業訓練の抜本的拡充23、産業側・企業側ニーズに合致した質の高い職業訓練の実施、学び直し機会の拡充、ライフステージに応じたキャリア転換の支援など、自らの専門性を高める能力開発を行うことができる環境整備を進める。また、親の経済力や養育環境とは独立した形で、すべての子どもの様々な能力を伸ばす多様な機会が確保された社会とするため、子どもの貧困対策に関する大綱を策定し、官民が連携して子どもの貧困対策を推進することなどにより、格差の再生産を回避していく。
さらに、労働市場のインフラ整備を進める24とともに、医療・福祉、建設業、運輸業、造船業等の人材不足が懸念される分野における人材確保・育成対策を総合的に推進する。あわせて、雇用保険制度、求職者支援制度による重層的なセーフティネットの構築を進めるとともに、中小企業・小規模事業者への支援を図りつつ最低賃金の引上げに努める。

さりげに大事なことが雑多に詰め込んだかたちで書かれていますね。

一点だけちょっと離れたところに、労働法に若干関わる話が、

(2)観光・交流等による都市・地域再生、地方分権、集約・活性化

・・・地域経済において観光分野は成長可能性が高い分野であり、需要面と供給面の双方向から取組を進める44。「休み方」の改革について検討を進め、有給休暇を活用した秋の連休の大型化等を促進する。

なんだかいきなり有休を使って秋の連休という話が飛び込んできてますけど、

さっそく派遣労働で働くありすさんが

https://twitter.com/alicewonder113/status/477477370052362241

ひえー時給の派遣はまた給料が減る

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コメント

また捕捉されました\(^o^)/

一応補完なのですが、私の派遣元は有休制度をもうけているので、有休取得を促進すること自体は、自分だけのことを考えれば大きな問題ではないのですが、こういう取り組みで事業所全体が休みになると、その期間は、派遣の方はたぶん、有休を使えるWORKDAYではなくなるのだろうなぁ、と予想します。

後は当然、大手派遣会社でなくて有休制度のない非正規の人たちなどにも影響が大きいです。

いやもちろん、年次有給休暇は労働基準法上の強行規定ですから、

「うちには有休なんてない」

「非正規に有休なんてあるわけない」


というのは違法なんですが、現実には結構まかり通っていますからね。

ありすさんの指摘もあり、一応念のため。

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