『月刊連合』で古賀会長がOECD事務総長と対談してる件
世の中には、OECDの膨大なデータの集積の中から、都合の良さそうなものだけ、それも、最新のデータでは自分の論を反証することになってしまうために、わざわざ昔々の古ぼけたデータを引きずり出してきて、「ほら見ろ、日本は世界で一番解雇しにくいんだぞ」などと、OECDの労働担当部局の担当者が聞いたらびっくりして飛び上がってしまうようなことを、平気でどや顔で言ってのけてしまうようなインチキ評論家がいたりするし、そういうインチキ評論家ばっかりうれしそうに持ち上げて使い続ける愚昧なマスコミもいるしで、誤解されているきらいがありますが、・・・
あぁつかれた。も少し続けるぞ。
そういう劣化言論になまじ影響されてか、OECDといえば新自由主義の先兵で、けしからん許しがたい断固粉砕という三拍子の反応しか出てこないこれまた古ぼけたおサヨクな人々もいたりして、そのOECDの発行した報告書を何冊も翻訳したり監訳したりしている身としては、こういう馬鹿の壁と阿呆の壁のぶつかり合いほどたわけなたことはないわいな、と思っていたところでありますが、・・・
ここまでが前座ね。
そのOECDのグリア事務総長と連合の古賀会長との対談が、『月刊連合』6月号に載っています。
たったこれだけが本題です。
http://www.jtuc-rengo.or.jp/shuppan/teiki/gekkanrengo/backnumber/new.html
OECDの事務総長が肉声で喋っている言葉をちゃんと聞いていれば、インチキ評論家に騙される可能性もそれだけ少なくなりなすよ、というのが本日の教訓第1号です。第2号はまだ考えてませんが。
・・・日本は敗戦を経て飛躍的な成長を遂げ、世界有数の経済大国になりました。しかし、今、その経済的繁栄から取り残される人々が増えている。OECDの調査によれば、格差は大きければ大きいほど、労働市場からの阻害が起こりやすく、世代間の社会移動性も縮小し、教育や健康面での二極化も発生しやすくなることがわかっています。つまり、不平等の方向に振れると、それがますます強化される傾向があるのです。増大する不平等は、社会の一体性を阻害し、政策・制度への信頼を損ない、市場経済や民主主義国家の根底を揺るがすものともなりかねません。結果として、人材を最大限活用できず、経済成長の足かせとなる。今、日本が直面する最大の問題は、労働市場における二極化です。この流れを食い止めるには包括的な戦略が必要です。・・・
・・・日本のものづくりを中心とした生産モデルは、今後さらに洗練され、高度化されたものに転換していかなければなりません。日本の労働者にとっては、ここにチャンスがある。まず、そうした時代に即した教育制度や専門的な職業訓練を導入する。若い人たちにとって重要な分野、これから必要とされる仕事の内容に即した教育にフォーカスを合わせていく。少子高齢化が進み、総人口も減少しつつある日本では、若い人も女性も高齢者も、全ての人が労働参加すること、生産性を最大限に高める形で労働参加してもらうことが決定的に重要になります。・・・
« 「教育再生会議:職業教育学校の創設提言」の源流 | トップページ | 本田由紀『社会を結びなおす』 »
日本は労働規制が緩いのですね。
さらには所轄の官庁が規制の空文化すら涼しい顔で知らんぷりを決め込めばさぞや辛い状況だろうと思います。
しかしながら日本は民主主義ですから、たとえ所轄官庁の関係者がそのような疑問に対して馬耳東風モードでも、詰まる所国民一人ひとりの責任であろうかと思います。粘り強く説得を試みるのが重要ですね。
投稿: aiueo | 2014年6月 9日 (月) 21時09分