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« シュトゥルムタール『ヨーロッパ労働運動の悲劇』を直ちに再刊せよ? | トップページ | ワレサ 連帯の男 »

2014年5月 3日 (土)

『日本の雇用と中高年』

41mvhocvl近く、拙著『日本の雇用と中高年』(ちくま新書)が刊行されます。奥付けの発行日は5月10日ですが、5月7日には書店に並ぶことになるはずです。

労働問題の責任ある唯一の答えは「長く生き、長く働く」を目指すことしかない。けれど社会環境が激変しつつあるなか、雇用と働き方をめぐる問題が噴出している。ひとたびレールを外れると、年齢が足枷になって再挑戦もままならない。損か得か……などといった不毛な議論では、この状況の大転換を見失ってしまう。感情論では雇用は増えないし、不公平も解決できないのだ。では、矛盾だらけの建前と本音のどこが問題か。どのような制度設計が可能なのか。第一人者が労働問題の本質を平易に解き明かす。

目次は次の通りです。日本型雇用のアキレス腱である中高年問題を軸に、やや欲張りなくらいに、いろんなトピックを盛り込んでおります。

序章 若者と中高年、どっちが損か?の不毛

・若者雇用問題がなかった日本

・「雇用問題は中高年」だった日本

・「中高年雇用」問題の有為転変

・表層の損得論を捨ててシステム改革を論じよう

 

第1章 中高年問題の文脈

1 欧米の文脈、日本の文脈

・1997年神戸雇用会議-欧米は若者、日本は高齢者に主な関心

・欧米の文脈-早期引退促進政策はもうとれない!

・日本の文脈-中高年失業が焦点に

・日米欧共通の文脈-長く生き、長く働く

2 ジョブ型を目指した時代の中高年対策

・1960年代の日本はジョブ型労働社会を目指していた

・職業能力と職種を中心とする近代的労働市場の形成

・職種別中高年雇用率制度の完成

・企業単位高年齢者雇用率制度へ

・年齢差別禁止法への試み

3 年齢に基づく雇用システム

・年齢に基づく雇用システムの形成

・年齢に基づく雇用システムの法的強制

・年齢に基づく雇用システムの再編強化

・職務給を唱道していた経営側

・職能給に舵を切り替えた経営側

・労働側の逡巡と横断賃率論

・あべこべの日本的レイオフ制度

4 中高年受難時代の雇用維持政策

・石油危機による雇用維持政策への転換

・産業構造転換への内部労働市場型対応

・現場で進む中高年リストラ

・合理化の指針

・整理解雇法理の確立

・年齢基準の容認

 

第2章 日本型雇用と高齢者政策

1 日本型雇用法理の確立

・生産性向上運動と配置転換の確立

・配置転換(職種変更)法理の確立

・配置転換(勤務地変更)法理の確立

・出向・転籍の出現と拡大

・出向・転籍の法理

・配置転換に順応する労働者

2 日本型雇用システム評価の逆転

・「近代化」論の時代

・OECD対日労働報告書

・内部労働市場論の流行

・日本型雇用のアキレス腱

・日本人論の文脈

3 60歳定年延長の時代

・定年制の歴史

・定年延長政策の始動

・賃金制度改革とその判例的遺蹟

・60歳定年の法制化

4 65歳継続雇用の時代

・なぜ継続雇用なのか

・継続雇用努力義務の法制化

・継続雇用政策と年齢差別禁止政策の絡み合い

・継続雇用制度の例外つき義務化

・継続雇用制度の例外なき義務化

・解雇と定年の複雑な関係

 

第3章 年齢差別禁止政策

1 「中高年問題」の復活と年齢差別禁止政策の登場

・90年代リストラの標的は再び中高年

・中高年雇用政策の復活

・年齢差別問題の提起

・経企庁の年齢差別禁止研究会

・労働省研究会の逡巡

・求人年齢制限緩和の働きかけ

・中高年と職業訓練校

2 年齢差別禁止政策の進展

・2001年雇用対策法改正による努力義務

・年齢にかかわりなく働ける社会の模索

・総合規制改革会議の要求

・2004年改正による年齢制限の理由明示義務

・民主党の年齢差別禁止法案

3 若者(若い中高年)雇用問題としての年齢差別

・年長フリーター問題の政策課題化

・「再チャレンジ」という問題設定

・政治主導による年齢制限禁止

・2007年雇用対策法改正による年齢制限禁止

4 「年齢の壁」を超えて

・経済財政諮問会議労働市場改革専門調査会

・70歳現役社会の実現に向けて

・継続雇用政策の陰で

・40歳定年制論

・諸外国の年齢差別法制

・人権擁護法案における年齢の欠落

 

第4章 管理職、成果主義、残業代

1 日本型システムの中の管理職

・「ミドル」という言葉

・そもそも「管理職」とは?

・社内身分としての管理職

・機能と身分の間

・ジョブ型労働法制との矛盾-労働時間法制

・労働組合法制と管理職

2 中高年を狙い撃ちした成果主義

・「知的熟練」の幻想

・日本型雇用システム改革論の復活

・成果主義の登場と迷走

・人事査定の判例法理

3 中高年残業代対策としてのホワイトカラー・エグゼンプション

・労働時間規制と残業代規制

・日本的「管理職」との妥協

・ホワイトカラーの労働時間問題と企画業務型裁量労働制

・ホワイトカラー・エグゼンプションをめぐる空騒ぎ

 

第5章 ジョブ型労働社会へ

1 中高年救済策としての「ジョブ型正社員」

・「追い出し部屋」の論理

・職務の定めのない雇用契約

・「ジョブ型正社員」は解雇自由の陰謀か?

・「ジョブ型正社員」とは実は中高年救済策である

・途中からノンエリートという第三の道

・継続雇用の矛盾を解消するジョブ型正社員

2 中高年女性の居場所

・OL型女性労働モデルの確立

・社内結婚

・女子結婚退職制

・男女別定年制

・男女雇用機会均等法とコース別雇用管理

・基幹的パートタイマーから「ジョブ型正社員」へ

3 中高年問題と社会保障

・教育費と住宅費は年功賃金でまかなう社会

・問題意識の消滅

・児童手当の迷走

・福祉と労働の幸福な分業体制

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コメント

http://www.foreignpolicy.com/articles/2014/10/24/yoda_has_left_the_building_andrew_marshall_pentagon_futurist

93歳まで国防省の要職についていられる
(多分自発的に辞めたのでしょう)
のも
定年退職制度がない
年齢差別を禁止しているお国柄
ならではですね…

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