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2014年5月22日 (木)

『日本の雇用と中高年』に本格的な書評

26184472_1そうこうするうちに、いくつかのブログで拙著『日本の雇用と中高年』(ちくま新書)への本格的な書評がアップされてきています。

14日にはBIBIさんの「迷跡日録」で、「ページを繰る手が暫時停ま」ったと書かれています。

http://blog.livedoor.jp/akiotsuchida/archives/52280720.html

いいペースで中程まで読み進めていったところ、第二章末の"解雇と定年の複雑な関係"でページを繰る手が暫時停まりました。タブーと言うとおおげさかもしれませんが、多くのサラリーマンが感じていながら表立っては話題にはしない、能力不足を理由とする解雇はまず行われない事実について、唐突に言及されています。著者曰く「日本型雇用システムの本質に関わるところ」。それって、社会政策も超えて社会保障の機能まで有すると?

いや、そこまで反応されなくても・・・。

いつもながら明快な分析で、歴史を踏まえた現状のクリアな認識を得られたような気はするのですが、その現状、種々の要因が複雑に絡み合い、あちら立てればこちら立たず、なんとも難しい。著者の具体的な提言はあるわけですが。

その難しさを伝えるところが難しいわけですが・・・。

そして昨日21日にはおなじみ「山下ゆ」さんの新書ランキング

http://blog.livedoor.jp/yamasitayu/archives/52070874.html

著者の濱口桂一郎は、去年『若者と労働』(中公新書ラクレ)という新書を出しましたが、それと対になるテーマの本です。

日本の雇用が、仕事に人を割り振る「ジョブ型」ではなく、人に仕事を割り振る「メンバーシップ型」であり、それが時代の変化とともに歪みを生じさせている、という現状認識は『若者と労働』、あるいはその前の『新しい労働社会』(岩波新書)と共通。

『若者と労働』では、そうした現実に対して「ジョブ型正社員」という解決策のビジョンと大学改革の必要性を示したわけですが、この本では政策レベルの議論を丁寧にしつつ、最後に労働政策だけではなく福祉制度の変革を訴える内容になっています。

以後の要約も的確で、私の言いたいことを見事に伝えていただいています。

しかし、一番感動したのは、ここに着目していただいたことです。

前半の日本の雇用の歴史の部分についてはやや煩雑に感じる人もいるかもしれませんが、このややこしさを丁寧に示すことで、「魔法の薬はない」という現在の状況がより実感できるような構成になっていると思います。

また、触れられませんでしたけど第5章2の「中高年女性の居場所」の部分も、世間並みに結婚しない女性がいかにひどい状況に置かれていいたかということを知るためにも、ぜひ読むべきところだと思います。

 

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