『OECD成人スキル白書』
明石書店さんから『OECD成人スキル白書』をお送りいただきました。昨年話題になった国際成人力調査(PIAAC)のデータを用いて編まれた初めてのスキル白書です。
http://www.akashi.co.jp/book/b177926.html
20世紀最後の数十年間に始まった技術革新の結果、様々な情報の処理・活用に関するスキルや高度な認知スキル、対人スキルに対する需要が高まってきている。「国際成人力調査(Programme for the International Assessment of Adult Competencies, PIAAC)」の1つの成果である「成人スキル調査(Survey of Adult Skills)」は、一部のキー・スキルの社会での有用性や仕事や家庭での使用状況を知る手がかりを提供する目的で実施された。この種のものとしては初めてとなる成人スキル調査は、様々な情報の処理・活用に関するスキルと考えられるいくつかのスキル、すなわち、読解力、数的思考力、ITを活用した問題解決能力の習熟度を直接評価するものである。
『OECDスキル・アウトルック』の初年度版となる本書は、初回の成人スキル調査に参加した国と地域の調査結果を収録しており、調査データは、次回以降の『OECDスキル・アウトルック』に収録される内容の多くの裏付けとなる。次回以降の『OECDスキル・アウトルック』では、スキル政策の主要な問題に関連して、国レベルや地方レベル、地域レベルでの教育や雇用、税、イノベーション、経済発展の各分野におけるOECDの分析を掲載する予定である。関連報告書『成人スキル調査:読者ガイド(The Survey of Adult Skills: Reader's Companion)』では、成人スキル調査の設計と算定方法、及び若年齢層の学生や成人を対象とする他の国際調査との関係について取り上げている。
600ページ以上に上る大冊ですので、手に持つだけでずっしりときますが、中身もそれ以上にずっしりときます。
教育関係者にとっては興味深いところがいっぱいでしょうが、ここでは第4章の「職場でのスキルの使用状況」を。
個々でもいろんなトピックがありますが、「仕事におけるスキルの使用と労働契約の種類」の項目では、
・・・調査結果を分析すると、常用雇用契約に関連づけられる仕事と比べて、臨時・派遣雇用契約に一般に関連づけられる仕事では、さまざまな情報の処理・活用に関するスキルと生産性に関係するその他の汎用的スキルが集約的に使用されていないことを改めて確認できる。・・・同じ職業の就業者間で比較しても、スキルの使用の際は依然として顕著である。
と述べています。また、「就業者のスキルと職務要件のミスマッチ」に関しては、
・・・学歴過剰で読解力においてスキル過剰な就業者は、同じ習熟度レベルで十分にマッチしている就業者ほどスキルを使用していないことが確認できる。学歴過剰で読解力においてスキル不足の就業者については逆のことが言える。・・・
いろいろと考えさせます。
(参考)
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/oecd-70cb.html(OECDの『技能アウトルック』が「成人力」ですか)
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/oecd-398c.html(OECD『成人スキルの国際比較』)
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