『日韓比較労働法』(全2巻)
西谷敏+和田肇+朴洪圭 編著『日韓比較労働法』(全2巻) (旬報社)を編者の和田先生よりお送りいただきました。 ありがとうございます。
これは、第1巻 労働法の基本概念と第2巻 雇用終了と労働基本権からなり、目次は以下の通りです。日韓の労働法研究者が結集して書かれた大著です。
第1巻 労働法の基本概念
第1部 労働者の概念
1 韓国における勤労基準法上の労働者概念―請負契約における労使協力的関係の構築を中心に
權 ○(=火へんに赤) (釜山大学法学専門大学院教授)
2 日本における個人請負労働者と「労働基準法上の労働者」をめぐる問題
脇田 滋(龍谷大学教授)
3 韓国における集団的労使関係法上の労働者概念
崔弘曄 (朝鮮大学教授)
4 日本における労働組合法上の労働者概念
野田 進 (九州大学教授)
第2部 使用者の概念
1 韓国における個別的労働関係法上の使用者概念
沈載珍 (大邱大学教授)
2 日本における個別的労働関係法上の使用者
山川和義(三重短期大学准教授)
3 韓国における集団的労働関係法上の使用者
李炳雲 (順天大学教授)
4 日本法における集団的労働法上の「使用者」
米津孝司 (中央大学教授)
第3部 非正規雇用と雇用平等
1 韓国における非正規雇用の政策―期間制労働と派遣労働の使用を中心に
趙淋永(嶺南大学教授)
2 韓国における非正規労働者の差別是正制度の争点
鄭永薫 (憲法裁判所責任研究官)
3 日本における非正規雇用と均等待遇原則・試論
緒方桂子(広島大学大学院法務研究科教授)
4 韓国における同一価値労働同一賃金
金善洙 (弁護士)
5 日本における同一価値労働同一賃金原則実施システムの提案
浅倉むつ子 (早稲田大学教授)
第2巻 雇用終了と労働基本権
第1部 雇用の終了
1 韓国の解雇法制の理解と課題
李達烋 (慶北大学校法学専門大学院教授)
2 日本における解雇法理の現状と課題
根本 到(大阪市立大学教授)
3 韓国における辞職強要の規制
金熙聲(江原大学校法学専門大学院教授)
4 日本における雇用終了と労働者の自己決定
西谷 敏 (大阪市立大学名誉教授)
第2部 複数労働組合と団体交渉
1 韓国における団体交渉窓口の単一化と交渉代表労働組合等の公正代表義務の制度化
宋剛直 (東亜大学法学専門大学教授)
2 韓国の改正労働関係法における「交渉窓口単一化」をめぐる諸問題
趙翔均 (全南大学法学専門大学院教授)
3 韓国における交渉代表労働組合の公正代表義務
文武基 (慶北大学法学専門大学院教授)
4 日本における団体交渉権の性格と交渉代表制
西谷 敏 (大阪市立大学名誉教授)
5 日本における「公正代表義務」論
根本 到 (大阪市立大学教授)
第3部 公務員の労働基本権
1 韓国における公務員の労働基本権
李羲成 (圓光大学法学専門大学院?授)
2 韓国における公務員の勤労条件決定システムの争点
盧尚憲 (ソウル市立大学教授)
3 日本における国家公務員労使関係システム―その形成過程と法的問題点
和田 肇 (名古屋大学教授)
4 日本における公務員の勤務条件決定システムの最近の動向
奥田香子 (近畿大学教授)
タイトルは「比較労働法」ですが、正面から両国の労働法を比較した論文というよりも、日本と韓国のそれぞれの論点を提示し合った本になっていて、その意味では日韓比較のための素材というべきかもしれません。
ただ、実は近年日本では、韓国労働法の動向について一時に比べると紹介の熱意が薄れたというか、きちんと紹介されなくなっている感じがしていまして、その意味では干天の慈雨というかたいへん興味深く読める論文が並んでいました。
とりわけ、最近の私の関心からすると、第2巻の特に労働組合法制に関わるところがたいへん面白かったです。
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