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榎一江・小野塚知二編『労務管理の生成と終焉』

9784818823303榎一江・小野塚知二編『労務管理の生成と終焉』(日本経済評論社)を、共著者の一人である関口定一さんからお送りいただきました。ありがとうございます。

http://www.nikkeihyo.co.jp/books/view/2330

いつ、いかにして労務管理は誕生したか。その生成・定着条件、産業の社会的・歴史的現象を比較・解明し、労働の請負化や在宅化・企業外化等の現状と新たな展開を再検討する。

序 章 労務管理の生成とはいかなるできごとであったか    小野塚知二 
1.本書の課題 
2.作業仮説としての職業の世界
3.労務管理の諸相 
4.第Ⅰ相:「まったき職業の世界」における技術と物に関する知識と管理
5.第Ⅱ相:能率(時間と無駄)に関する知識と管理 
6.第Ⅲ相と第Ⅳ相
7.労務管理の現在

第1章 日本労務管理史研究の射程      木下順
1.課題と構成
2.終焉論の諸相 
3.人材ガラパゴス 
4.リーダーシップ 
5米日労務管理史の構想

第2章 フランス金属工業における熟練資格と労働者管理 熟練工システムの動揺と再編成     清水克洋
1.はじめに 
2.中間・下級管理職の登場、不熟練工の専門工化と熟練工教育の新しい課題
3.公的職業能力証明の創設と金属工業経営者による徒弟修業修了・熟練認定
4.戦間期フランス大企業における職業教育と労働者管理
5.おわりに

第3章 管理問題発見の主体と主観 20世紀初頭ヴィッカーズ社バロウ造船所組織調査に即して 小野塚知二
1.はじめに 
2.ヴィッカーズ社工場組織調査の発端と概要 
3.バロウ造船所調査報告書 
4.問題発見の主体と主観 
5.むすび 

第4章 工場徒弟制から「人事管理」へ 生成期ゼネラル・エレクトリック社の組織・管理問題と人材育成を中心に 関口定一
1.はじめに
2.スケネクタディ事業所の事業展開・規模拡大・技術革新と組織・管理上の課題
3.基幹的熟練工・製図工の内部養成--工場徒弟制の役割 
4.GEの工場徒弟制が提起する問題 
5.工場徒弟制・「社立学校協会」・「人事管理」

第5章 フランスにおける「カードル(cadre)」層の形成過程  松田紀子
1.はじめに--「カードル」が想起させるもの 
2.「カードル」の先行形態から自己認識へ
3.他者からの認識と自己認識の強化 
4.むすび215

第6章 日本製糸業における労務管理の生成とジェンダー       榎一江
1.はじめに 223
2.日本製糸業における管理問題の生成 
3.生糸生産の変容と製糸教婦 
4.農商務省による作業監督者の把握 
5.職業婦人としての製糸教婦
6.おわりに 

第7章 会社徒弟制のトランスナショナル・ヒストリー ゼネラル・エレクトリック社リン事業所からトヨタ自動車へ:1903~70年 木下順
1.はじめに 
2.GE社リン事業所における会社徒弟制
3.戦前期日本における会社徒弟制 
4.トヨタ自動車における会社徒弟制
5.アメリカと日本の国民形成 
6.むすびにかえて--徒弟制の政治 

第8章 戦前期日本電機企業の技術形成と人事労務管理       市原博
1.はじめに 
2.創生期の製品開発と技術者・職工
3.技術者の職能的専門化と統制の強化
4.「現場型技術者」・熟練職工の役割とインセンティブ
5.技術者の人材形成とキャリア 
6.おわりに 

第9章 日本の労働者にとっての会社 「身分」と「保障」を中心に  禹宗杬
1.課題と方法 
2.経営における身分
3.身分制の変化
4.おわりに 

終 章「職業の世界」の変容と労務管理の終焉  榎一江
1.はじめに 
2.日本における労務管理の展開 
3.労務管理の終焉?
4.労務管理の終焉に至るいくつかの兆候
5.おわりに

あとがき

これ、さりげなさそうなタイトルですが、なかなかインパクトのある本です。

序章の小野塚論文が、労務管理の諸相として、4つの「相」(フェイズ)ってのを提示するんですが、これが超マクロ的で結構いかれます。第2章以下は、基本的にそれを各国の個別ケースを舐めさすりながら確認していくということになるんですが、それら一つ一つが、とても興味深いと言うだけでなく、同じゼネラルエレクトリックの徒弟制を関口さんと木下さんが違う角度から眺めていく視線とか、フランスも清水さんの現場熟練工と松田さんのカードルとか、実に面白い対比が見られます。

でも、でもですね、多分この本の中で一番の怪論文は、木下順さんの第1章でしょう。いや、途中までは、最近の限定正社員ばなしというのは、その昔、まだ「共同生活体」とか言い出し始める前の津田真澂さんの『年功的労使関係論』で言っていた話じゃないか,という風に、いや実にその通りです!という感じなんですが、

途中からちきりんこと伊賀泰代女史の『採用基準』とか出てきて、「人材ガラパゴス」とか、中村修二も出てきて、果ては山本七平も出てきて、最後は「強制された自発性」という話に落ち着くんですが、いやそこに至るまでが、正直論文というよりはまさに気まぐれエッセイという感じになっています。いいたいことはすごく伝わってくるんですが、なかなか・・・。

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