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2014年4月 1日 (火)

若者雇用と労働教育@『DIO』292号

Dio連合総研の『DIO』292号は、満を持して(?)「若者雇用と労働教育」の特集です。

http://rengo-soken.or.jp/dio/pdf/dio292.pdf

日本型就職・雇用モデルの崩壊と教育の課題 児美川 孝一郎
ブラック企業の実態とその対策 今野 晴貴
高校から広げる労働教育 成田 恭子
「 ワークルール教育推進法」がめざすもの 小島 周一

おなじみの児美川さん、今野さんに加え、日教組の成田さん、労働弁護団の小島さんという最強の布陣です。この中では、一番興味深かったのは成田さんの文章です。

でも、ここではあえてこれら特集記事じゃないコラムの文章を一推ししておきます。

それは、冒頭近くの1ページコラム「「ブラック企業」対策に必要な教育とは」です。筆者はつい最近まで連合総研にいた(今は東海学園大学経営学部の)南雲智映さん。

彼は以前、ブラック企業問題について、「学生に対する労働教育、特に法的に認められている雇用・労働条件に関する権利等の教育内容を充実させることが必要だと主張」していたのですが、どうもそれだけではだめなんじゃないかと思うようになったようなのです。このあたりはとても面白いので、ちょっと長めですが引用しておきます。

・・・しかし、年始に研究仲間と集まって議論したときに、一定レベル以上の大学の学生の目には、若いうちに使い捨てにされる可能性が高くても、ハードワークに耐えて勝ち残れば高額の報酬が得られたり、業界のスタープレイヤーとして活躍できたりする可能性が少しでもある企業であれば、十分魅力的に映っているのではないかという話になった。実際、若者が「安定した大企業への就職は失敗したけれど、そのような企業だったら就職できるし、相当がんばれば成功者になれる」と安易に考え、一見地味に映る堅実な中小企業よりもそのような企業を選びたくなる気持ちはなんとなくわかる。かつて自分たちの世代もそうだったように、子どもの頃から「夢をもちなさい」、「苦しくてもチャレンジしなさい」、「最後まであきらめるな」という教育を受けてきた。少年向けのマンガも、ハードな努力・修行の後には奇跡的な勝利・成功という筋書きだった。そのような子ども時代をすごした人生経験の少ない若者が、「ブラック企業」ではないかという思いをどこかに持ちながらも、自発的にそのような企業に就職してしまう状況があるのではないかということである。

そこで問題になるのが労働教育、(広義の)キャリア教育のあり方である。常識的な対応として、法律で守られた労働者の権利を教えること、一見地味に映る堅実な仕事の価値を伝えることが最低限必要だろう。ここからは議論が分かれるだろうが、子どもの頃からずっと刷り込まれてきた価値観をいったんリセットする教育について、是非を議論する余地があると思う。「ブラック企業」の犠牲者を減らすという観点からは、「大きな夢でなく堅実な幸せを」「ほどほどでいい」「身の丈をわきまえよ」という教えは、時と場合によっては、もっと見直されていいのではないか。もっとも、私自身も年齢を重ねてから、その良さを理解できるようになったのだが…。

うーむ、この感覚、確かによくわかります。少年ジャンプ的価値観というか、そういうのが刷り込まれてきているのは確かなんですよね。

それをリセットする、常見陽平流に言えば、みんながガンダムになれるわけじゃない、ジムはジムなりのそこそこの、ほどほどの人生ってものがあるんだということを教える(言葉の正確な意味での)キャリア教育が必要なんじゃないか、って話です。

 

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