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2014年3月26日 (水)

脇田滋・矢野昌浩・木下秀雄編『常態化する失業と労働・社会保障 』

06460脇田滋・矢野昌浩・木下秀雄編『常態化する失業と労働・社会保障 危機下における法規制の課題』(日本評論社)をお送りいただきました。ありがとうございます。この脇田グループによる共同研究は、2008年の『若者の雇用・社会保障』以来ですが、今回は雇用保険を中心とした労働市場のセーフティネットを焦点にしています。

http://www.nippyo.co.jp/book/6460.html

第1部 失業の常態化をめぐる問題の所在
1 日本における失業・半失業と問題状況/脇田 滋
2 雇用・社会保障をめぐる国際的議論/矢野昌浩

第2部 失業の常態化と雇用保障をめぐる諸論点
1 雇用の変化と社会保険/上田真理
2 失業の構造化と「失業」概念の見直し/瀧澤仁唱
3 構造的失業と生活保護 稼働能力活用要件に関する検討を中心に/田中明彦
4 若年者の雇用保障 求職者支援、職業訓練を中心に/濱畑芳和
5 現代の大学生と失業の常態化/山本 忠
6 失業と障害者/瀧澤仁唱

第3部 雇用保険法の運用と課題
1 雇用保険法上の諸給付/脇田 滋
2 適用対象/矢野昌浩
3 事業主の届出義務懈怠と給付の保障/川崎航史郎
4 雇用保険の給付水準/木下秀雄
5 離職理由と給付制限――「自己都合」退職とは/上田真理

第4部 失業の常態化と法・政策の課題/脇田 滋

おわりにかえて/木下秀雄

今回の本のテーマは、今まで労働法学と社会保障法学のはざまにあって、あんまりまともに検討されてこなかった分野であり、リーマンショックでいわゆる派遣切りが問題になってから多くの人が注目するようになった分野です。わたくしが過去数年間かなり気を入れて研究してきた領域でもあります。

本書でも繰り返し引用されている1950年のいわゆる「臨時内職的家庭の婦女子」通達に着目したのは、私が知る限り私が最初だったと思います。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/shitsugyohoken.html(失業と生活保障の法政策)

http://www.jil.go.jp/institute/rodo/2010/documents/007.pdf(労働市場のセーフティネット)

本書の議論の広がりは上記目次に見るとおりですが、興味深い指摘のような気がするもののよくわからなかったのが、山本忠さんの「現代の大学生と失業の常態化」の中で、求職者支援法構想に大学生を位置づける云々というところでした(p180)。「個別事情を配慮した学生への自立支援」というのが何を意味するのかよくわからないのですが、ブラックバイトなどという話とつなげると、もう少し膨らませそうな気もします。

本書全体の話題と外れますが、最後の脇田さんの「失業の常態化と法・政策の課題」で、せっかく、

・・・EU諸国には、無限定社員はなく、ジョブ型正社員(限定正社員)が支配的である。しかし、彼らにも手厚い解雇規制が立法や全国協約で確立している。「無限定正社員」にしか解雇制限が及ばないとする現在の安倍政権下での議論は世界の労働法の常識に反している。

とまっとうなことを言っているのに、それを「解雇が容易な限定正社員の導入」などという形で批判してしまっては、そもそも世界の労働法の常識に反する常態をそのまま維持することにしかならないのではないでしょうか。


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