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岡山県労委のセブンイレブン事件命令

すでに話題になっているようですが、岡山県労働委員会がセブンイレブン事件において、フランチャイジーを労組法上の労働者と認め、不当労働行為を認定した命令を発したようです。

報道では:

http://www.47news.jp/CN/201403/CN2014032001001822.html(セブン側の不当労働行為を認定 コンビニ店主は「労働者」)

コンビニ最大手のセブン―イレブン・ジャパンが団体交渉を拒否したとして、フランチャイズ加盟店主らでつくる労働組合が救済を申し立てていた問題で、岡山県労働委員会は20日、「加盟店主は労働組合法上の労働者」と判断し、団交拒否はセブン側の不当労働行為と認定した。

岡山県労委によると、コンビニ店主が労働者に当たるかの判断は全国の労働委員会でも初めてで、判断には異例の4年間をかけた。

岡労委のサイトに早速アップされています。

http://www.pref.okayama.jp/page/369678.html

1 命令書交付日   平成26年3月20日(木曜日)
2 当事者
 (1) 申 立 人     コンビニ加盟店ユニオン
 (2) 被申立人     株式会社セブンーイレブン・ジャパン
3 命令要旨
 (1) 被申立人は、申立人からの団体交渉申入れに応じなければならない。
 (2) 被申立人は、申立人に対し、不当労働行為を繰り返さない旨の文書を手交しなければならない。
4 事件の概要及び当委員会の判断要旨
  本件は、平成21年10月22日、同年11月5日及び同月30日に、申立人が申し入れた団体交渉に、被申立人が応じなかったことが労働組合法第7条第2号の不当労働行為に当たるとして、平成22年3月24日に申立人が当委員会に救済申立てをしたものである。

この事件では、被申立人とフランチャイズ契約を締結しているセブンーイレブン加盟店主が労働組合法上の労働者に該当するかという点と、本件団体交渉申入れに被申立人が応じなかったことが、正当な理由のない団体交渉拒否に該当するかという点が争われた。

当委員会は、加盟店主は事業者であるとはいえ、被申立人が運用・統括するセブンーイレブン・チェーンに密接不可分に組み込まれていることなどから、加盟店主の独立性は希薄であり、労働組合法上の労働者であると判断し、被申立人の団体交渉拒否には正当な理由がなく、不当労働行為に該当すると認定し、上記3のとおり、全部救済することとした。

命令書自体もこちらで読めます。

http://www.pref.okayama.jp/uploaded/attachment/182426.pdf

これはかなり膨大な命令書です。労働者性について論じている部分だけでも10枚以上に及びます。

命令は、「フランチャイズ契約は、加盟店とフランチャイザーがそれぞれ独立した事業者として、各自の責任において締結するものであり、加盟店がフランチャイザーの社員として雇用されるものではなく、加盟店は自己の資本を投下して事業を行う「独立した事業者」である。」ことを認めつつも、「労働組合法上の労働者には、労働契約法や労働基準法上の契約によって労務を供給する者のみならず、事業者であっても相手方との個別の交渉においては交渉力に格差が生じ、契約自由の原則を貫徹しては不当な結果が生じるため、労働組合を組織し集団的な交渉による保護が図られるべき者が幅広く含まれると解するのが相当である」とし、

① 事業組織への組入れ

② 契約内容の一方的・定型的決定(団体交渉法制による保護を保障すべき交渉力格差)

③ 報酬の労務対価性

④ 業務の依頼に応ずべき関係

⑤ 広い意味での指揮監督下の労務提供、一定の時間的場所的拘束

⑥ 顕著な事業者性

といった要素を一つ一つ細かく検討していき、「加盟店主は、会社とは別の立場にある事業者であるとはいえ、その独立性は希薄であり、労働組合法上の労働者に当たる。」と判断しています。

さらに、このケースにおいて団体交渉を認めるべき理由として、次のように述べているのは、労働委員会委員の方々の肉声が聞こえてくるようです。

本件フランチャイズ契約における加盟店主と会社との関係は、契約期間が15年と長期であるにもかかわらず、一旦、契約を締結すると、加盟店主としては一方的に会社から契約内容の変更を押しつけられることはあっても、契約内容や条件について一対一で交渉できる余地はなく、契約を解除する自由しかない立場に置かれている。

また、加盟店主としては、会社と一対一で交渉できる余地がないばかりか、会社が複数の加盟店主との交渉も一切受け付けない態度を示しているため、会社が一手に握っている各加盟店の情報、データすら知ることができない状態である。

本件フランチャイズ契約が、多くの加盟店主とその家族の生活に直結するものであることに照らすと、加盟店主に労働組合法上の労働者性を認め、本件フランチャイズ契約の内容、条件等に関する事項について、会社との交渉の場を開くことが肝要と考える次第である。

これは、一県労委の命令に過ぎませんが、評釈してみる値打ちのある命令かもしれませんね。

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労働法上、画期的な労働委員会命令が発せられた。もっとも詳細に報じている山陽新聞と毎日新聞を合体して取りあえず概略を書くと、全国のフランチャイズコンビニ店長約200人で組織する「コンビニ加盟店ユニオン」(池原匠美委員長)が、コンビニ最大手のセブン―イレブン・ジャパン(東京)に求めた団体交渉に対し、同社が拒否したのは不当として救済を申し立てていた問題で、岡山県労働委員会は3月20日、「店主は独立性が希薄で、労働組合法上の労働者に当たる」と指摘。同社の不当労働行為を認定し、団体交渉に応じるよう命...... [続きを読む]

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