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2014年3月24日 (月)

川村遼平『NOと言えない若者がブラック企業に負けず働く方法』

Fbc8f8803b4c3ddd539d05c9771f7662川村遼平さんの新著『NOと言えない若者がブラック企業に負けず働く方法』 (晶文社)をお送りいただきました。ありがとうございます。

http://www.shobunsha.co.jp/?p=3065

若者のための労働相談のNPO 法人POSSE の事務局長として、数多くの事例とむきあってきた著者が、ブラック企業の見分け方、トラブルに対する対処法、知っておくべき法的な知識、周囲との連携のとり方など、具体的な処方箋をまとめる実践的マニュアル。

実践的な本ですが、その実践的という意味は、法律の中身がどうこうと言うよりも、「NOと言えない若者」がそれをどういう風にして現実化していくことができるのか、という意味での「実践的」です。

そして、そういう意味での「実践的」であることが、突き詰めていくと、以前本ブログでも何回か取り上げたイェーリンクの「権利のための闘争」のメッセージに繋がっていくところが面白いところです。

1 会社にNO と言えない若者はどうしたらいいのか
2 日本の会社で「我慢」が通用しないわけ
3 「就活」に踊らされない心構え
4 働いてはいけない企業を見抜く
5 危険な会社に見切りをつける
6 相談窓口の上手な頼り方
7 「ブラック企業」から脱出する
8 会社との交渉のポイントは「あきらめないこと」
9 若者こそ知っておきたい労働法の基礎知識
10 20 年後の社会に向けて今からできること
巻末鼎談〝困ってる若者〟がブラック企業に負けず〝幸福〟になる方法(大野更紗、古市憲寿、川村遼平)

本書で一番なるほどと思ったのは、実はタイトル。「NOと言えない若者」というのが、実によく現在の若者たちの姿を描き出していると思うのです。権利主張に罪悪感を感じ、人と争うことをできるだけ避けたがり、平穏無事を望む心性は、そこにつけ込もうとする人間にとっては、いくらでも搾取し放題の沃野みたいなものでしょう。

このタイトルで思い出すのは、未だ盛んな某高齢の政治家がその昔書いた『NOと言える日本』ですが、なんで世代を下るに従って、NOと言えてた日本人がNOと言えなくなってきたんだろうかと不思議になります。

いや、その某政治家はたぶん特殊で、日本人は昔から一人ではNOというのは苦手だったのでしょう。ただ、昔は労働組合をはじめとして「弱者が群れて強がる」仕組みが社会のあちこちに結構あって、そのおかげで、一人では怖くてNOと言えないような人でも、衆を頼んでNOと言えてたのでしょうね。

その仕組みが空洞化して、群れて強がってるのはもっぱら大久保あたりで金切り声を上げてるネトウヨ諸氏ばかりとなり、肝心の自分の働く場での権利主張などというのはとてもとてもという状態に立ち至ったということでしょうか。

(参考)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-6887.html(気分は正社員?または権利のための闘争)

今のアルバイト学生たちの(あまりにも)素直な意識構造に触れ得た、という意味で、わたくしにとっても大変意義のあるゲスト講義でした。願わくば聴かれた学生たちにとってもなにがしか脳裡に残る講義であったことを。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/post-17cc.html(法学部生でも大部分は読まないでしょうが・・・)

いやまあ、厚労省と文科省の思想の乖離もありますが、それよりなにより、労働法の知識は何とか教え込んだとして、それを実際に自分の「権利のための闘争」の武器として使うという心の構え方がそもそもきわめて希薄なところにこそ、実のところは最大の問題があるのでしょう。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-5673.html(法を知らない、じゃなくて、権利主張を知らない)

も少しいうと、本来自分の人権が侵害されていることへの抗議をあくまでも主張していくことに中にこそあるはずの「権利の知識」が、憲法典の第何条にこういう権利が規定されているのにおまえはそんなことも知らないのかこの馬鹿め、というお勉強型知識として上から教えられることへの反発が、世に一般的なあ(とりわけ若者に一般的な)人権論への冷笑的スタンスの一つの背景でしょう(も一つは、それが「自分の人権」じゃなくもっぱら「他人の人権」として教えられるから)。

これは実は、労働法教育にもいえて、下手すると大学の労働法の講義を大量の水で薄めたようなお勉強型知識になってしまう。こういう目に遭ったらどういう風にすればいいのかという、「権利のための闘争」の技術教育じゃなくては、労働法なんてそもそも意味が無いんだけど。

法を知らない、というのは、プラクティカルにいうと、自分の権利の主張の仕方を知らない、ということなんだけど、それを法物神中心に考えると、なんとか法の第何条を知らない馬鹿、みたいな話になってしまうんでしょう。

 

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