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2014年3月

『労働法の争点』

L11323ジュリスト増刊「新・法律学の争点シリーズ7」 『労働法の争点』がようやく届きました。

前回の争点(第3版)がちょうど10年前の2004年でしたから、両者を読み比べるとこの10年で労働法の世界がいかに様変わりしたかがよくわかります。

全部で125の項目を、125人の研究者が執筆していて、目次はなかなか壮観ですが、残念ながらコピペできるデータが無いので、書店で現物を見てくださいね。

私は、「85 従業員代表制の法政策」を執筆しています。

ちなみに、JILPTからは、内藤忍が「14 パワー・ハラスメント」、山本陽大が「39 解雇の救済方法」、池添弘邦が「55 裁量労働のみなし制」を担当しています。

今回のバージョンの一つの特徴は、私の項目もそうですが、「・・・の法政策」というタイトルの項目がとても増えたということでしょうか。今数えたら8つあり、そう謳っていないものでも、内容的に法政策の解説になっているものもかなりあります。

あと、やっぱり一番物議を醸す、というか、異論が噴出しそうなのは、やっぱり大内伸哉さんの掉尾を飾る「125 労働における法と経済学」でしょうね。どの辺がそうかは、やはり書店で現物を見てくださいね。

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大学アメフト選手の労働者性(米)

 東京新聞にこういう記事が出ていたので、

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2014032902000159.html(大学運動選手は「従業員」 米で労組認める決定)

【ワシントン=斉場保伸】米政府の独立行政機関である全米労働関係委員会は二十六日、イリノイ州の名門ノースウエスタン大学アメリカンフットボールチームの選手らに対し「従業員であり、労働組合結成を認める」との決定を出した。複数のメディアが伝えた。学生スポーツの選手を「従業員」として位置付ける判断として注目を集めている。

選手らは一週間に五十時間アメリカンフットボールに「従事」した事例などを掲げ、組合を結成することでより手厚い健康保険や脳振とうの検査、奨学金の充実を求め、大学側と交渉ができるよう訴えていた。

 これを受けた委員会は選手らが試合に出場することなどで数百万ドル(数億円)を稼ぎ出し、大学から奨学金を受けていたことから、「従業員」である十分な証拠があると認定したという。ウォールストリート・ジャーナル紙によると、大学側は反発し、不服を申し立てる方針という。

さっそく、NLRBのサイトを見てみたら、

http://www.nlrb.gov/news-outreach/news-story/nlrb-director-region-13-issues-decision-northwestern-university-athletes(NLRB Director for Region 13 issues Decision in Northwestern University Athletes Case)

載ってました。

March 26, 2014

Regional Director, Peter Sung Ohr, has issued a Decision in 13-RC-121359 finding the Grant-in-aid scholarship football players are employees under the NLRA and has directed an election to take place.

The parties have until April 9, 2014 to file with the Board in Washington, D.C. a Request for Review of the Decision.

命令書はこちらで読めます。24ページほどのものです。

http://mynlrb.nlrb.gov/link/document.aspx/09031d4581667b6f

「ISSUES」と「DECISION」をコピペしておきますと、

I. ISSUES
The Petitioner contends that football players (“players”) receiving grant-in-aid scholarships (“scholarship”) from the Employer are “employees” within the meaning of the Act, and therefore are entitled to choose whether or not to be represented for the purposes of collective-bargaining. The Employer, on the other hand, asserts that its football players receiving grant-in-aid scholarships are not “employees” under the Act. It further asserts that these players are more akin to graduate students in Brown University, 342 NLRB 483 (2004), whom the Board found not to be “employees” under the Act.

In the alternative, the Employer contends that its players are temporary employees who are not eligible for collective bargaining.

Finally, the Employer contends that the petitioned-for-unit is arbitrary and not appropriate for bargaining.

II. DECISION
For the reasons discussed in detail below, I find that players receiving scholarships from the Employer are “employees” under Section 2(3) of the Act. Accordingly, IT IS HEREBY ORDERED that an election be conducted under the direction of the Regional Director for Region 13 in the following appropriate bargaining unit:

Eligible to vote are all football players receiving football grant-in-aid scholarship and not having exhausted their playing eligibility employed by the Employer located at 1501 Central Street, Evanston, Illinois, but excluding office clerical employees and guards, professional employees and supervisors as defined in the Act.

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「労働市場政策における職業能力評価制度のあり方に関する研究会」報告書

昨日、厚生労働省の「労働市場政策における職業能力評価制度のあり方に関する研究会」報告書が公表されました。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000042212.html

報告書は、日本再興戦略(平成25年6月閣議決定)等でも、「多様な正社員」へのキャリアアップ支援等といった労働市場政策の観点から「職業能力の見える化」を促進することが重要な課題に位置づけられていること等を踏まえ、国内外の労働市場における能力評価制度の活用の実態・課題などを分析の上、能力評価のあり方に関し、以下の3点を柱として今後の施策の方向性について提言しています。  

新たな業界検定の整備

2  技能検定制度の見直しを含む職業能力評価の仕組み全体の見直し・体系化

3  職業能力評価と教育訓練、マッチングなどの労働市場政策上の統合的運用

厚生労働省は、この報告書を踏まえ、職業能力評価制度のあり方について、さらに幅広い観点から検討を進め、「職業能力の見える化」を推進していきます。

雇用維持型から労働移動促進型へ、といったキャッチフレーズは、それを下支えする労働市場インフラ、とりわけ企業を超えた職業能力評価システムが確立していなければ、単なる下方移動の促進にしかなりません。

その辺の理解のないまま流動化を叫ぶ人々も多いですが、さすがに日本再興戦略はそこをきちんと理解した上で、「職業能力の見える化」を求めており、この報告書はそれを受けて、今後の政策の方向性を示そうとしています。

とはいえ、そもそも今まで内部労働市場にどっぷりつかって企業を超えた能力評価の必要性に対してきわめて冷淡であった一般社会感覚を考えると、一歩進めるのもなかなかとっかかりがないところでもあり、業界検定の整備というあたりから入っていこうとしているようです。

<現状・課題>

○ 少子高齢化や経済のグローバル化の中での 「人材力強化」 の必要性

○ 産業や労働市場の構造変化などに伴う個人の円滑 なキャリアアップや転職支援、 非正規雇用労働者などの「多様な働き方」を実現するための支援の必要性

→「日本再興戦略」 などを踏まえ、 非正規雇用労働者 、キャリア形成上の課題を抱える層のキャリアラダー(はしご) として、 業界検定といった能力評価の仕組みを整備するなど、職業能力の「見える化」を促進 すること が喫緊の課題。

<今後の施策の方向性>

業界共通の「ものさし」としての職業能力評価制度の整備について、以下を提言。

1  新たな業界検定の整備

○ ジョブ型労働市場で、非正規雇用労働者が集積し、キャリアアップの必要性・効果が高く、雇用吸収が見込まれる業種・職種(対人サービス分野など)が重点

○ 人材ニーズを直接把握する業界(団体)が、採用・人事の基準としての位置づけ・活用を目指し、現場で求められる実践力などの職業能力を直接把握・分析の上、検定などの評価手法を開発・運用。それに対し、国が弾力性を備えた基準などによって質を保証することで、実践性を備えた、新たな業界検定の仕組みを整備

2       職業能力評価の仕組み全体の見直し・体系化

○  技能検定制度についても、労働市場での活用を念頭に、試験の実施方式や

内容の改訂、ものづくり人材養成の裾野(3級など)を拡大するなど、課題・ニーズに応じた充実・見直しが必要

○  これら職業能力評価の仕組みが、全体として安心・信頼性を持って活用されるよう、国が共通の基準を整備し、公的支援の対象にも位置づけることで普及を促進

3      職業能力評価と教育訓練、マッチングなどの労働市場政策上の統合的運用

○  職業能力評価と教育訓練プログラムを、共通の人材像に基づき一体的に運用

○ その成果をジョブ・カードなどに反映し、キャリア形成支援に活用

○ ハローワークなどの職業紹介機関でも、職業能力評価をマッチングの鍵として積極的に活用するなど、労働市場政策上の統合的な運用の仕組みを整備

→これらの取組を通じ、「産業界が求める職業能力」と「各人が有する職業能力」を客観的に比較することが可能な「ものさし」を整備することにより、マッチング機能の最大化を目指す。

<参考>

厚生労働省では、日本再興戦略を踏まえ、「多元的で安心できる働き方」の導入促進の観点から、平成26年度から、業界検定の導入ニーズの高い業種・職種に焦点を当て、業界検定などのツール策定、モデル活用などに取り組む「業界検定スタートアップ支援事業」に着手することにしています。

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山下和馬『ロスジェネ社員のいじめられ日記』

Img_7d68ff0d7961e75e4c867b1ec19018b山下和馬『ロスジェネ社員のいじめられ日記』(文藝春秋)をお送りいただきました。ありがとうございます。

これ、ジャンルはノンフィクションとなっていますが、いや確かにまさしく事実を描いたノンフィクションなんですが、主役は8コマ漫画で、それに本人が解説をつけたものなんですね。

http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163900322

就職氷河期にもめげず、某大手金融機関へ入社するもそこは、理不尽とパワハラあふれる愉快な職場だった!
ときに涙目になりながら、ノルマ地獄&暗愚上司と戦うがーー。

リアル「半沢直樹」ワールドに放り込まれた若造社員の命運や、いかに?

30代の元大手金融マンが、自らの体験を綴った話題沸騰ブログ「日系パワハラ」待望の書籍化!

ここに描かれたブラック感あふれる職場の姿は、ある部分は(程度の差はあれ)結構いろんな職場に共通するものですが、ある部分は「そこまでひどいの?」と絶句するようなところもあります。

この本の元になったブログはこれですが、

http://nikkeiph.com/

そこには、

この物語は作者の実体験に基づいたフィクションであり、実在の人物及び団体とは一切関係ありません、ということにしてください。

という注意書きが書かれています。「ということにしてください」ということですね。

ここに描かれた某金融会社の職場環境は確かに耐えがたい真性ブラックですが、でもこれなんか、ブラックじゃない企業でもある時期よく行われていたんじゃないでしょうか。

http://nikkeiph.com/resultism/

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この漫画は本書85ページに載っています。

ブラック上司のえげつないブラックぶりは、是非本書を手にとって読まれることをお薦めします。

「うっそー」と思うか、「あるある」と感じるかで、あなたの会社のブラック度が測れるかもしれませんよ。

 

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ブラック企業問題と日本的雇用システム

『立命館経済学』という紀要の第62巻第5/6号に、伊藤大一さんの「ブラック企業問題と日本的雇用システム」という論文が載っています。

http://ritsumeikeizai.koj.jp/koj_pdfs/62508.pdf

目次
はじめに
1 「少数精鋭主義」としての終身雇用(長期雇用慣行)
2 「少数精鋭主義」を先鋭化させる年功賃金
3 「少数精鋭主義」からブラック企業への転化
おわりに

ブラック企業が生成してくるメカニズムをわかりやすく説明していて有用です。

このようにブラック企業問題は,日本的雇用システムを母体とし,90年不況の後に形成された新たな条件の中から生み出された問題なのである。つまり,日本的雇用システムのもつ「影」の部分を最も「黒く」染め上げた問題がブラック企業問題なのである。そのために,個別企業の労働条件の過酷さを告発し,批判を加えるのみでは解消の難しい根深い問題でもある。

経済学者にも雇用システムを理解していない人がいることを指摘している注もあります。

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労働法・社会法理論のレジティマシー @『法律時報』4月号

06496法律雑誌がなぜか労働法ブームで、『法律時報』4月号も「労働法・社会法理論のレジティマシー」という特集を組んでいます。

http://www.nippyo.co.jp/magazine/magazine1.html

■特集
労働法・社会法理論の
レジティマシー

労働法・社会法理論のレジティマシー ――議論の整理のために……矢野昌浩 
労働法における学説と判例……山下 昇 
労働法の立法学……奥田香子 
労働法学における外国法研究の意義と課題――グローバル時代の外国法研究……有田謙司
移行経済(体制転換)と労働法――ロシアに即して……武井 寛 
標準的労働関係モデルと労働法の未来……和田 肇 
ワークフェアの社会法学的検討……上田真理 
社会保障制度改革の動向と課題――人権基底的アプローチの観点からの一考察……高田清恵

このうち、奥田香子さんの「労働法の立法学」は、なんだか私の某誌の連載と同じタイトルですが、元をたどれば、2007年の日本学術会議の立法学シンポジウムでご一緒して以来のテーマです。

この文章の注2に、ナカニシヤから出版予定の『立法学のフロンティア 第三巻』所収論文が出てきますが、これ、本当はとっくに出ているはずが、まだ出ていないんですよね。「2012年2月に初稿、同年末に加筆修正稿を提出」とあります。私も執筆していますが、書いてからどんどん政治情勢も変わっていって、特に昨年は大きな動きもあったので、もし出すならまただいぶ加筆する必要がありそうです。


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黒田兼一・小越洋之助編『公務員改革と自治体職員』

黒田兼一・小越洋之助編『公務員改革と自治体職員 NPMの源流・イギリスと日本』(自治体研究社)をお送りいただきました。ありがとうございます。

編者のお二人も、執筆されている方々も、労務管理の研究者で必ずしも公務労働の専門家ではないですが、日本とイギリスにおける公務労働をめぐる状況を詳細に調査分析されています。

第2部の日本の現状報告も、特に非正規職員を取り上げた第3章を中心に迫力がありますが、ここでは 第3部のイギリス編を紹介しておきます。

そこで強調されているのは、そもそもイギリスには地方公務員という概念すらないということ民間企業と同様、特定のポストが空いたらそれを埋めるために採用されるので、公務員になるというのではなく、あくまでも仕事に就く(ポストに就く)。仕事基準で採用し、仕事基準で募集し、仕事基準で採用するのであるから、賃金も仕事基準となります。内部昇進や定期人事異動はなく、上位のポストに就きたければ、空きポストが出たらその時点で応募し、選考を受けることになるわけです。

ワークライフバランスについての章では、私の本も使っていただいております。

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荻上チキSession22「アルバイト・パートタイマーの現在とこれから」

昨夜10時50分頃から、TBSラジオの「荻上チキSession22」に電話出演しました。テーマは「アルバイト・パートタイマーの現在とこれから」でした。

http://www.tbsradio.jp/ss954/2014/03/20140326.html

スタジオゲストは常見陽平さんと佐々木亮さん。電話出演が片岡剛士さんとわたくしです。

リンク先でポッドキャストが聞けるので、関心のある方はどうぞ。

佐々木さんのりりしげな顔と常見さんのひょうきんな顔もうつっています。

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労働法なう。@『ジュリスト』

L20140529304『ジュリスト』4月号は、「厳しい? 厳しくない?解雇規制」という特集ですが、

http://www.yuhikaku.co.jp/jurist/detail/019075

◇解雇ルールのあり方をめぐって――本特集のねらい●岩村正彦……12

◇日本の解雇規制は厳しいのか――解雇規制緩和要求の妥当性●緒方桂子……14

◇解雇の規制改革●小嶌典明……21

◇経済学の視点からとらえた解雇規制の評価●川口大司……27

◇解雇規制・規制改革がなぜ必要なのか――経済成長を促す人材の移動・活用システムとは●峰 隆之……33

◇解雇規制・規制改革の問題点――雇用安定の原則を崩すことがもたらす影響●水口洋介……39

まあ、ジュリストですからそうなるんでしょうけど、議論がいささか定型的というか定番的というか、もう少し斬新な広がりがあって良いのじゃないか、という印象を持ちました。

あと、本号から「労働法なう。」なる新連載が始まり、第1回目はまじめな水町さんのまじめな有期契約の論ですが、

[連載/労働法なう。]〔新連載・第1回〕

◇いんとろ――連載にあたって●森戸英幸……56

◇2018年問題!?●水町勇一郎……58

今後の掲載予定のタイトルを見て、思わずのけぞるのがいくつかありましたよ。

6月号では、

半沢課長、1.25倍返しなるか? 管理職 森戸英幸

9月号でも

やめろと言われても 退職強要 森戸英幸

そして、これは待ち遠しい(?)来年3月号は

大学教授の辞めさせ方 限定正社員 大内伸哉

いや、確かに大学教授というのはもっとも典型的なジョブ限定正社員のはずです。

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脇田滋・矢野昌浩・木下秀雄編『常態化する失業と労働・社会保障 』

06460脇田滋・矢野昌浩・木下秀雄編『常態化する失業と労働・社会保障 危機下における法規制の課題』(日本評論社)をお送りいただきました。ありがとうございます。この脇田グループによる共同研究は、2008年の『若者の雇用・社会保障』以来ですが、今回は雇用保険を中心とした労働市場のセーフティネットを焦点にしています。

http://www.nippyo.co.jp/book/6460.html

第1部 失業の常態化をめぐる問題の所在
1 日本における失業・半失業と問題状況/脇田 滋
2 雇用・社会保障をめぐる国際的議論/矢野昌浩

第2部 失業の常態化と雇用保障をめぐる諸論点
1 雇用の変化と社会保険/上田真理
2 失業の構造化と「失業」概念の見直し/瀧澤仁唱
3 構造的失業と生活保護 稼働能力活用要件に関する検討を中心に/田中明彦
4 若年者の雇用保障 求職者支援、職業訓練を中心に/濱畑芳和
5 現代の大学生と失業の常態化/山本 忠
6 失業と障害者/瀧澤仁唱

第3部 雇用保険法の運用と課題
1 雇用保険法上の諸給付/脇田 滋
2 適用対象/矢野昌浩
3 事業主の届出義務懈怠と給付の保障/川崎航史郎
4 雇用保険の給付水準/木下秀雄
5 離職理由と給付制限――「自己都合」退職とは/上田真理

第4部 失業の常態化と法・政策の課題/脇田 滋

おわりにかえて/木下秀雄

今回の本のテーマは、今まで労働法学と社会保障法学のはざまにあって、あんまりまともに検討されてこなかった分野であり、リーマンショックでいわゆる派遣切りが問題になってから多くの人が注目するようになった分野です。わたくしが過去数年間かなり気を入れて研究してきた領域でもあります。

本書でも繰り返し引用されている1950年のいわゆる「臨時内職的家庭の婦女子」通達に着目したのは、私が知る限り私が最初だったと思います。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/shitsugyohoken.html(失業と生活保障の法政策)

http://www.jil.go.jp/institute/rodo/2010/documents/007.pdf(労働市場のセーフティネット)

本書の議論の広がりは上記目次に見るとおりですが、興味深い指摘のような気がするもののよくわからなかったのが、山本忠さんの「現代の大学生と失業の常態化」の中で、求職者支援法構想に大学生を位置づける云々というところでした(p180)。「個別事情を配慮した学生への自立支援」というのが何を意味するのかよくわからないのですが、ブラックバイトなどという話とつなげると、もう少し膨らませそうな気もします。

本書全体の話題と外れますが、最後の脇田さんの「失業の常態化と法・政策の課題」で、せっかく、

・・・EU諸国には、無限定社員はなく、ジョブ型正社員(限定正社員)が支配的である。しかし、彼らにも手厚い解雇規制が立法や全国協約で確立している。「無限定正社員」にしか解雇制限が及ばないとする現在の安倍政権下での議論は世界の労働法の常識に反している。

とまっとうなことを言っているのに、それを「解雇が容易な限定正社員の導入」などという形で批判してしまっては、そもそも世界の労働法の常識に反する常態をそのまま維持することにしかならないのではないでしょうか。


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欧州委員会が派遣労働指令の実施状況報告

EUの派遣労働指令については、成立前からせっせと紹介し続けてきたところですが、2008年に成立したあとはしばらくご無沙汰気味でした。

今回、EUの行政府である欧州委員会が派遣労働指令の実施状況報告書(本体と附属作業文書)を公表したので、お知らせします。

http://ec.europa.eu/social/main.jsp?langId=en&catId=89&newsId=2031&furtherNews=yes(Commission reviews application of EU rules on temporary agency work)

Thanks to the Directive, there is now in all Member States a framework providing for the effective protection of temporary agency workers, better quality agency work and recognition of agency work's positive contribution to the functioning of modern labour markets through its flexible use by employers.

指令のおかげで、今や全加盟国に派遣労働者への効果的な保護、より質の高い派遣労働及びその柔軟な活用による近代的労働市場の機能への派遣労働の積極的な貢献の認識を提供する枠組みがある。

しかしなお問題があるのは、

certain derogations from the principle of equal treatment allowed by the Directive may have been used in such a way as to prevent the application of the Directive from improving in practice the protection of agency workers

指令によって認められた均等待遇原則からの一定の適用除外が、実際には派遣労働者の保護を妨げるように用いられている点と、

the review of restrictions and prohibitions on the use of temporary agency work – although Member States have reviewed them as required by the Directive, and a few restrictive measures have been removed, in most cases Member States have maintained the status quo. In a number of Member States, the further removal of some restrictions and prohibitions is still being considered.

派遣労働の利用への制限や禁止の見直しについて、加盟国は指令の要請で見直しを行い、若干の制限措置は撤廃されたが、多くの場合加盟国は現状を維持している。多くの加盟国でさらなる制限や禁止の撤廃が検討されている。

ということで、

If necessary, the Commission will also launch infringement proceedings against Member States

必要があれば、欧州委員会は加盟国に対する違反是正手続をも開始するつもりである。

とのことです。

報告書とその付属文書はこちら:

http://ec.europa.eu/social/BlobServlet?docId=11459&langId=en

http://ec.europa.eu/social/BlobServlet?docId=11460&langId=en

日本における派遣労働に関する議論にも、いろいろと役立つ情報が載っているように思われます。

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川村遼平『NOと言えない若者がブラック企業に負けず働く方法』

Fbc8f8803b4c3ddd539d05c9771f7662川村遼平さんの新著『NOと言えない若者がブラック企業に負けず働く方法』 (晶文社)をお送りいただきました。ありがとうございます。

http://www.shobunsha.co.jp/?p=3065

若者のための労働相談のNPO 法人POSSE の事務局長として、数多くの事例とむきあってきた著者が、ブラック企業の見分け方、トラブルに対する対処法、知っておくべき法的な知識、周囲との連携のとり方など、具体的な処方箋をまとめる実践的マニュアル。

実践的な本ですが、その実践的という意味は、法律の中身がどうこうと言うよりも、「NOと言えない若者」がそれをどういう風にして現実化していくことができるのか、という意味での「実践的」です。

そして、そういう意味での「実践的」であることが、突き詰めていくと、以前本ブログでも何回か取り上げたイェーリンクの「権利のための闘争」のメッセージに繋がっていくところが面白いところです。

1 会社にNO と言えない若者はどうしたらいいのか
2 日本の会社で「我慢」が通用しないわけ
3 「就活」に踊らされない心構え
4 働いてはいけない企業を見抜く
5 危険な会社に見切りをつける
6 相談窓口の上手な頼り方
7 「ブラック企業」から脱出する
8 会社との交渉のポイントは「あきらめないこと」
9 若者こそ知っておきたい労働法の基礎知識
10 20 年後の社会に向けて今からできること
巻末鼎談〝困ってる若者〟がブラック企業に負けず〝幸福〟になる方法(大野更紗、古市憲寿、川村遼平)

本書で一番なるほどと思ったのは、実はタイトル。「NOと言えない若者」というのが、実によく現在の若者たちの姿を描き出していると思うのです。権利主張に罪悪感を感じ、人と争うことをできるだけ避けたがり、平穏無事を望む心性は、そこにつけ込もうとする人間にとっては、いくらでも搾取し放題の沃野みたいなものでしょう。

このタイトルで思い出すのは、未だ盛んな某高齢の政治家がその昔書いた『NOと言える日本』ですが、なんで世代を下るに従って、NOと言えてた日本人がNOと言えなくなってきたんだろうかと不思議になります。

いや、その某政治家はたぶん特殊で、日本人は昔から一人ではNOというのは苦手だったのでしょう。ただ、昔は労働組合をはじめとして「弱者が群れて強がる」仕組みが社会のあちこちに結構あって、そのおかげで、一人では怖くてNOと言えないような人でも、衆を頼んでNOと言えてたのでしょうね。

その仕組みが空洞化して、群れて強がってるのはもっぱら大久保あたりで金切り声を上げてるネトウヨ諸氏ばかりとなり、肝心の自分の働く場での権利主張などというのはとてもとてもという状態に立ち至ったということでしょうか。

(参考)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-6887.html(気分は正社員?または権利のための闘争)

今のアルバイト学生たちの(あまりにも)素直な意識構造に触れ得た、という意味で、わたくしにとっても大変意義のあるゲスト講義でした。願わくば聴かれた学生たちにとってもなにがしか脳裡に残る講義であったことを。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/post-17cc.html(法学部生でも大部分は読まないでしょうが・・・)

いやまあ、厚労省と文科省の思想の乖離もありますが、それよりなにより、労働法の知識は何とか教え込んだとして、それを実際に自分の「権利のための闘争」の武器として使うという心の構え方がそもそもきわめて希薄なところにこそ、実のところは最大の問題があるのでしょう。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-5673.html(法を知らない、じゃなくて、権利主張を知らない)

も少しいうと、本来自分の人権が侵害されていることへの抗議をあくまでも主張していくことに中にこそあるはずの「権利の知識」が、憲法典の第何条にこういう権利が規定されているのにおまえはそんなことも知らないのかこの馬鹿め、というお勉強型知識として上から教えられることへの反発が、世に一般的なあ(とりわけ若者に一般的な)人権論への冷笑的スタンスの一つの背景でしょう(も一つは、それが「自分の人権」じゃなくもっぱら「他人の人権」として教えられるから)。

これは実は、労働法教育にもいえて、下手すると大学の労働法の講義を大量の水で薄めたようなお勉強型知識になってしまう。こういう目に遭ったらどういう風にすればいいのかという、「権利のための闘争」の技術教育じゃなくては、労働法なんてそもそも意味が無いんだけど。

法を知らない、というのは、プラクティカルにいうと、自分の権利の主張の仕方を知らない、ということなんだけど、それを法物神中心に考えると、なんとか法の第何条を知らない馬鹿、みたいな話になってしまうんでしょう。

 

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すき家に係るエントリ再掲

なぜかここ数日読みに来る方が増えているすき家のゼンショーに係る本ブログのエントリをまとめておきます。いろんな意味で大変興味深い人物であることだけは間違いないですし。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2008/04/post_db8e.html(アルバイトは労働者に非ず)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/post-0c44.html(自営業者には残業代を払う必要はないはずなんですが)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/post-6e9f.html(「アルバイトは労働者に非ず」は全共闘の発想?)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/post-47c9.html(世界革命を目指す独裁者)

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『週刊現代』でユニクロにコメント

1120_o本日発売の『週刊現代』4月5日号に、「ユニクロの1万6000人「正社員化」それって、いいことなの?」という記事が載っていて、そこにわたくしのコメントも載っています。

・・・ユニクロの正社員化は、ある意味、国の政策を真正面から受け止めて実行しようとしていると思います。

さらに言うと、ユニクロはこれまで『ブラック企業』というレッテルを貼られてきました。今回、正社員の働き方を多様化する正攻法で、それを払拭しようとしているのではないでしょうか

なお、そのすぐ後では労働弁護士の佐々木亮さんがかなり辛口のコメントをしています。


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日経「エコノ探偵団」に登場

本日の日本経済新聞の「エコノ探偵団」に登場しています。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO68619030Q4A320C1W14001/?df=3

本日のテーマは「企業、個人の働きどう評価?」というもので、成果主義批判の高橋伸夫さん、ゲーム理論の松井彰彦さん、さらにプロクター・アンド・ギャンブル社やエス・アイ社の方の話を紹介した上で、最後のところで私がでてきます。

章司が事務所に戻ろうとすると、「そもそも欧米では多くの正社員で労働時間に“制約”があるのが一般的で、評価の対象にはならないのです」と声がした。振り向くと、労働政策研究・研修機構の統括研究員、浜口桂一郎さん。欧米では、専門職や管理職を除き、雇用契約に労働時間、職務、報酬が明示され、その範囲内で働く。成果主義など「どの程度できたか」を測るのは一部の層のみという。

日本も法律上は裁量労働者を除いて労働時間は限定されているが、多くの総合職で実態は異なる。・・・・・・

浜口さんは「日本企業は、職務や勤務地、労働時間の制限無く企業の命令に従って働ける人だけを総合職として雇ってきました。でもそれでは立ちゆかなくなります」と続けた。日本は労働人口が減る中、時間や場所の制約がある労働者も活用する必要がある。「男女ともに、日本の一般職のような働き方で、もっと長期的にスキルを上げられるよう専門的内容を手がけられる正社員が増えたらいいと思います」と浜口さん。・・・・・・

記事の筆者は井上円佳記者です。

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岡山県労委のセブンイレブン事件命令

すでに話題になっているようですが、岡山県労働委員会がセブンイレブン事件において、フランチャイジーを労組法上の労働者と認め、不当労働行為を認定した命令を発したようです。

報道では:

http://www.47news.jp/CN/201403/CN2014032001001822.html(セブン側の不当労働行為を認定 コンビニ店主は「労働者」)

コンビニ最大手のセブン―イレブン・ジャパンが団体交渉を拒否したとして、フランチャイズ加盟店主らでつくる労働組合が救済を申し立てていた問題で、岡山県労働委員会は20日、「加盟店主は労働組合法上の労働者」と判断し、団交拒否はセブン側の不当労働行為と認定した。

岡山県労委によると、コンビニ店主が労働者に当たるかの判断は全国の労働委員会でも初めてで、判断には異例の4年間をかけた。

岡労委のサイトに早速アップされています。

http://www.pref.okayama.jp/page/369678.html

1 命令書交付日   平成26年3月20日(木曜日)
2 当事者
 (1) 申 立 人     コンビニ加盟店ユニオン
 (2) 被申立人     株式会社セブンーイレブン・ジャパン
3 命令要旨
 (1) 被申立人は、申立人からの団体交渉申入れに応じなければならない。
 (2) 被申立人は、申立人に対し、不当労働行為を繰り返さない旨の文書を手交しなければならない。
4 事件の概要及び当委員会の判断要旨
  本件は、平成21年10月22日、同年11月5日及び同月30日に、申立人が申し入れた団体交渉に、被申立人が応じなかったことが労働組合法第7条第2号の不当労働行為に当たるとして、平成22年3月24日に申立人が当委員会に救済申立てをしたものである。

この事件では、被申立人とフランチャイズ契約を締結しているセブンーイレブン加盟店主が労働組合法上の労働者に該当するかという点と、本件団体交渉申入れに被申立人が応じなかったことが、正当な理由のない団体交渉拒否に該当するかという点が争われた。

当委員会は、加盟店主は事業者であるとはいえ、被申立人が運用・統括するセブンーイレブン・チェーンに密接不可分に組み込まれていることなどから、加盟店主の独立性は希薄であり、労働組合法上の労働者であると判断し、被申立人の団体交渉拒否には正当な理由がなく、不当労働行為に該当すると認定し、上記3のとおり、全部救済することとした。

命令書自体もこちらで読めます。

http://www.pref.okayama.jp/uploaded/attachment/182426.pdf

これはかなり膨大な命令書です。労働者性について論じている部分だけでも10枚以上に及びます。

命令は、「フランチャイズ契約は、加盟店とフランチャイザーがそれぞれ独立した事業者として、各自の責任において締結するものであり、加盟店がフランチャイザーの社員として雇用されるものではなく、加盟店は自己の資本を投下して事業を行う「独立した事業者」である。」ことを認めつつも、「労働組合法上の労働者には、労働契約法や労働基準法上の契約によって労務を供給する者のみならず、事業者であっても相手方との個別の交渉においては交渉力に格差が生じ、契約自由の原則を貫徹しては不当な結果が生じるため、労働組合を組織し集団的な交渉による保護が図られるべき者が幅広く含まれると解するのが相当である」とし、

① 事業組織への組入れ

② 契約内容の一方的・定型的決定(団体交渉法制による保護を保障すべき交渉力格差)

③ 報酬の労務対価性

④ 業務の依頼に応ずべき関係

⑤ 広い意味での指揮監督下の労務提供、一定の時間的場所的拘束

⑥ 顕著な事業者性

といった要素を一つ一つ細かく検討していき、「加盟店主は、会社とは別の立場にある事業者であるとはいえ、その独立性は希薄であり、労働組合法上の労働者に当たる。」と判断しています。

さらに、このケースにおいて団体交渉を認めるべき理由として、次のように述べているのは、労働委員会委員の方々の肉声が聞こえてくるようです。

本件フランチャイズ契約における加盟店主と会社との関係は、契約期間が15年と長期であるにもかかわらず、一旦、契約を締結すると、加盟店主としては一方的に会社から契約内容の変更を押しつけられることはあっても、契約内容や条件について一対一で交渉できる余地はなく、契約を解除する自由しかない立場に置かれている。

また、加盟店主としては、会社と一対一で交渉できる余地がないばかりか、会社が複数の加盟店主との交渉も一切受け付けない態度を示しているため、会社が一手に握っている各加盟店の情報、データすら知ることができない状態である。

本件フランチャイズ契約が、多くの加盟店主とその家族の生活に直結するものであることに照らすと、加盟店主に労働組合法上の労働者性を認め、本件フランチャイズ契約の内容、条件等に関する事項について、会社との交渉の場を開くことが肝要と考える次第である。

これは、一県労委の命令に過ぎませんが、評釈してみる値打ちのある命令かもしれませんね。

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本日の日経新聞「時事解析」に拙著引用

112483本日の日本経済新聞第31面(経済教室のある面)の「時事解析」というコーナーで、拙著が取り上げられております。

水野裕司編集委員による「成長促す雇用改革」という連載の4回目です。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/20140320125459324.pdf

・・・長時間化の背景にあるのは「職務限定のないメンバーシップ契約という日本型雇用システムの本質」だと、労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎統括研究員は著書「日本の雇用と労働法」で説く。「『自分の仕事』と『他人の仕事』が明確に区別されていない」ため、「なんでもやる」ことになるというわけだ。


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過労死防止へ骨格案 自民提示

昨日、自民党の雇用問題調査会のワーキングチームがいわゆる過労死防止法案の骨格を了承したというニュースが流れています。一番詳しいのは産経なので、それを引用しますと、

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140320/crm14032010230007-n1.htm

 自民党雇用問題調査会のワーキングチームは19日、東京都内で会合を開き、過労死や過労自殺を防止する法律の骨格案を提示し、大筋で了承された。国が対策実施の責務を負うと明確にし、過労死を防ぐための大綱を作ることが柱。チームは今後、最終的な内容を詰めて法案を作成する。

 今回の法律は長時間労働などに対する規制策や罰則を定めるのではなく、国の責任で社会から過労死をなくすことを理念として明らかにすることが狙いだ。

 過労死を防ぐ法律は超党派の国会議員連盟(議連)が議員立法での成立を目指しており、昨年末に議連の野党議員が先行して「過労死等防止基本法案」を国会に提出している。自民党は議連とも調整し今国会での成立を目指す。

 骨格案では国による対策として(1)過労死の実態の調査研究(2)国民への啓発(3)過労死の恐れのある人や家族が相談できる体制の整備(4)民間団体の活動への支援-を列挙。地方自治体や事業主に対し、対策に協力することを努力義務とした。

 国には大綱策定のほか、過労死や過労自殺の報告書を毎年国会に提出するよう義務付けた。対策を進めるための協議会を厚生労働省に設置し遺族も加わる。「過労死を間近で見てきた人の意見は貴重」として遺族側が求めていた。ワーキングチームの事務局長を務める馳浩衆院議員は「労災認定される過労死事案は氷山の一角だ。まずは調査研究を行い、必要な措置を検討していく」と話した。

 チームは2月にいったん原案を示したが、過労死の実態調査や研究を主な目的とする内容にとどまった。遺族らから「実効性を高めるため、国の責任をはっきりさせてほしい」との声が出たため原案を修正した。

理念法ではありますが、物理的労働時間規制に向けた一つの足がかりにもなりそうです。

ちなみに、昨年末野党議員から提出された法案は:

http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g18501028.htm過労死等防止基本法案

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大岡頼光『教育を家族だけに任せない』

166021 大岡頼光『教育を家族だけに任せない 大学進学保障を保育の無償化から』(勁草書房)をお送りいただきました。ありがとうございます。

http://www.keisoshobo.co.jp/book/b166021.html

家族が教育費を負担するのが当然とする「家族主義」のままでは、すべての子ども・若者の能力を伸ばしきることができず、日本の将来はない。家族主義から抜け出し徹底して教育費を社会が負担するスウェーデンの経験の分析を踏まえ、長期的視点から全教育段階の公的負担や運営方法を戦略的に変えれば、家族主義は変えうると主張する。

このブログでも何回か取り上げてきたOECDの

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/02/oecd-af93.html(学費は高いわ援助はないわ・・・日本の高等教育@OECD)

の根っこにある子供の教育費は親が負担するというイデオロギーからいかに脱却するかを説いています。

序章 人生の初めから家族だけに任せない文化を創る
 1 介護保険導入後も減らない介護殺人
 2 大学授業料の親負担主義廃止と「脱家族化」
 3 介護と学歴
 4 少子高齢化社会を支える子ども・若者の進路保障
 5 社会構想のために
 6 本書の構成

第Ⅰ部 高等教育での親負担主義の問題点─スウェーデンとの比較

第一章 教育費負担の現状
 1 大学卒業までの教育費
 2 親の収入による進学格差
 3 高等教育費負担の国際比較
 4 生活給の崩壊

第二章 制度が文化を創る─スウェーデンの大学での親負担主義の廃止
 1 問題設定
 2 親負担主義廃止と中間層の支持
 3 親負担主義廃止の議論と背景
 4 平等と親負担主義廃止の対立
 5 日本への示唆

第三章 高等教育費の公的負担の根拠
 1 教育費の「脱家族化」と進路保障
 2 不況期の教育予算増の背景
 3 逆進性
 4 スウェーデンの給付奨学金
 5 高等教育よりもまず就学前教育を充実

第Ⅱ部 就学前教育を無償化し信頼を創る

第四章 子どもの貧困解消─普遍主義か選別主義か
 1 保育と大学─普遍主義への転換時期の違い
 2 普遍主義が望ましい理由と問題点
 3 スウェーデンの保育の歴史と普遍主義
 4 普遍主義の長所と問題点からみた保育と大学
 5 対称的な日本の待機児童
 6 普遍主義と政府への信頼の関係

第五章 就学前教育で政治への信頼を創れるか
 1 職員と親の協働と信頼
 2 ウェーデンにおける親協同組合保育所の意義
 3 親協同組合保育所を運営できる時間はあるか
 4 自治体立の保育所での親の協働、親の評議会
 5 保育・就学前教育の平等化の方向とその条件
 6 日本の問題点と改革の方向性

第六章 保育・就学前教育の無償化
 1 「幼児教育の無償化」三~五歳限定案の根拠
 2 日本の特異な問題状況
 3 〇~二歳児の保育の無償化を優先すべき
 4 三~五歳児だけでは教育格差は減りにくい
 5 〇歳児保育の平等化効果

終章 家族主義を変える
 1 保育・就学前教育
 2 学力形成と進路選択
 3 小中学校
 4 高校
 5 大学

あとがき

Chuko 面識のないわたくしにお送りいただいたのは、拙著『若者と労働』のこの一節が本書の議論に関わっているからだと思います。

 この問題に対しては、最近になって急速に関心が高まってきましたが、逆に言うと、それまではなぜこの問題に対してほとんど関心が持たれなかったのか、社会問題にならなかったのか、ということの方が、諸外国の目から見れば不思議なことのはずです。なぜだったのでしょうか。
 それは、日本人にとっては、生徒や学生の親が、子供の授業料をちゃんと支払える程度の賃金をもらっていることが、あまりにも当たり前の前提になっていたからでしょう。そもそも、生活給とは妻や子供たちが人並みの生活を送ることができるような賃金水準を労働者に保障するという意味がありますから、子供が高校や大学に進学することが普通になっていけば、その授業料まで含めて生活給ということになります。
 おそらくこのことが、高校教育にせよ、大学教育にせよ、将来の職業人としての自立に向けた一種の投資というよりは、必ずしも元を取らなくてもよい消費財のように感じさせる理由となっていたのではないでしょうか。つまり、公的な教育費負担が乏しく、それを親の生活給でまかなう仕組みが社会的に確立していたことが、子供の教育の職業的意義を希薄化させた一つの原因というわけです。
 そうすると、そのことが逆に公的な教育費負担をやらない理由となります。もしその教育内容によって学校で身につけた職業能力が職業人となってから役に立つからのであるならば、その費用は公共的な性格を持ちますから、公的にまかなうことが説明しやすくなりますが、それに対して教育内容が私的な消費財に過ぎないのであれば、そんなものを公的に負担するいわれはないということになりましょう。つまりここでは、日本型雇用システムにおける生活給と、公的な教育費負担の貧弱さと、教育の職業的意義の欠乏の間に、お互いがお互いを支えあう関係が成立していたわけです。

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『POSSE』22号

Hyoshi22『POSSE』22号が届きました。特集は「追い出し部屋と世代間対立」です。

http://www.npoposse.jp/magazine/no22.html

◆巻頭インタビュー
 「日本は空白を満たせる社会?」平野啓一郎(作家)

◆特集「追い出し部屋と世代間対立」

「日本型雇用が生み出した「追い出し部屋」」八代尚宏(国際基督教大学客員教授)×海老原嗣生(雇用ジャーナリスト)×常見陽平(人材コンサルタント・作家)

「成果主義とロックアウト型解雇でサービスの質が低下するIBM」杉野憲作(JMIU日本アイビーエム支部書記長)

「中高年が残りにくいコナミの「ザ・追い出し部屋」」本誌編集部

「リストラ・「追い出し部屋」と日本型雇用の変容」木下武男(昭和女子大学特任教授)

「ポストロスジェネ世代は逆襲しない――世代間格差を超えて自分たちの新しい道を模索」小沼克之(元「就活ぶっ壊せデモ」実行委員会委員長)

「追い出し部屋とブラック企業問題はどう違うのか?」今野晴貴(NPO法人POSSE代表)

「15分でわかる追い出し部屋と世代間対立――世代間対立論・追い出し部屋・解雇規制

◆ミニ特集 2013年ブラック企業対策をふりかえる

「社会的費用を問う原発問題とブラック企業」大島堅一(立命館大学教授)×今野晴貴(NPO法人POSSE代表)

「連携で手に入れた前にすすむチカラ――被災地仙台で立ち上がったブラック企業対策」鈴木絢子(弁護士)×青木耕太郎(仙台POSSE事務局)

「国とメディアを動かしたブラック企業プロジェク ――今後の「ブラック企業対策」の論点とは何か」今野晴貴(NPO法人POSSE代表)

◆ミニ特集 非正規労働のいま

「外部労働市場と派遣法の流れ」濱口桂一郎(JILPT統括研究員)×今野晴貴(NPO法人POSSE)

「ブラックバイトとは?」上西充子(法政大学教授)×大内裕和(中京大学教授)×本田由紀(東京大学教授)×今野晴貴(NPO法人POSSE)

「ドイツで支持を集める経済学者が語る『「資本論」の新しい読み方』」ミヒャエル・ハインリッヒ(ベルリン技術経済大学教授)

「歴史から考える日本の賃金とは?」金子良事(法政大学大原社会問題研究所兼任研究員)×木下武男(昭和女子大学特任教授)

「業界も綺麗にクリーニング! クリーニング業界の問題と展望」鈴木和幸(株式会社セルクル代表取締役)

「命を危険にさらす水際作戦の横行 ――生活保護記者会見の事例を通して」遠藤めぐみ(京都POSSE事務局)

「生活困窮者自立促進支援 モデル事業委託先調査」

「『東京難民』と若年過労死――若者のいまをめぐって」福澤徹三(作家)×川村遼平(NPO法人POSSE事務局長)

「日本の文化は労働を変えられるか」宮沢章夫(劇作家)×坂倉昇平(本誌編集長)

◆連載

「社労士にできること、やれること 第1回」 篠塚祐二(パートナーズ特定社労士事務所所長・社会保険労務士)

「さまよえるキャリア教育 第1回 ブラック企業は不安だが無防備な大学生の現状」 上西充子(法政大学教授)

「世界の社会運動から No.6 ドイツ/アンチ・ドイツ共産主義とは何か?」ティム・グラースマン

「西洋解雇規制事情〔第弐回〕 亜米利加(アメリカ)編」中窪裕也(一橋大学教授)

「労働と思想22 ジャック・デリダ――職業(プロフェッション)としての言語行為」宮﨑裕助(新潟大学准教授)

「労働相談ダイアリー File18 法律上、あなたは「労働者」ですか?」川村遼平(NPO法人POSSE事務局長)

「被災地はこれからも 第8回 佐藤滋ゼミ(東北学院大学経済学部共生社会経済学科)と仙台POSSEの連携」伊達千尋(仙台POSSE事務局)

「ブラック企業のリアル vol.7 不動産会社」「ともに挑む、ユニオン 団交file.3 契約書の書き換えを強要して雇い止めにする会社」北出茂(地域労組おおさか青年部書記長)

「NO CULTURE, NO WORK? #6 リストラ 解雇で中高年は「再生」する?」本誌編集部

「My POSSEノート page7 学習会」大田ふみ

「はたらくっきんぐ! 第6回 ひとりぐらし」藤代薫(女子栄養大学在籍)

私も今野さんと対談していますが、今号で一番話題性があるのは、なんと言ってもあの「新自由主義者」八代尚宏さんと、リクルート出身のお二人、海老原嗣生さん、常見陽平さんの3人の鼎談でしょう。

そして、その中身が、POSSEの人々と響き合っていることでしょう。実は認識は相当に共有されているのです。

・・・-追い出し部屋やブラック企業について、日本型の矛盾という話がありましたが、解決策として議論される解雇規制緩和など、規制改革会議で議論されているような規制や法律については、どのようにお考えですか。

海老原:岩盤だと思っているんだけれども、意味が違うんですよね。岩盤は企業内にできているんです。つまり人事管理の問題です。・・・

八代:労働法制改革論議の最大の問題点は、規制が強すぎるというのでは、濱口さんが言っているように誤解がある。規制がなさすぎることに実は問題がある。・・・

海老原さんや八代さんが判っていることを、自分は八代さんと同じことを言っているつもりのある種の人々が何にも判っていない、という喜劇的な状況がここに現出しているわけです。

ブラックバイトをめぐる上西、大内、本田、今野の討論も面白いです。話を広げたがる上西さんや本田さんに対し、問題点を限定したがっている今野さんの対比がおかしい。ていうか、私もマスコミに喋るときには、そこに絞らないと拡散すると思っています。

あと、意外な顔合わせが金子良事さんと木下武男さんの賃金論。

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メンバーシップ型の思想的一源泉

『労基旬報』3月25日号に寄稿した「メンバーシップ型の思想的一源泉」です。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/roukijunpo140325.html

 戦後労働法学である時期まで熱心に議論されたテーマに雇傭契約と労働契約の異同論があります。もともと戦前末弘厳太郞が、労働契約を「一定企業に於ける労働者の地位の取得」に向けられた、「従って単純なる債務的契約にあらずして一種の身分契約」であるとして、「労務及び報酬に関する債権債務を発生せしめることが直接の目的」である雇傭契約と区別したのが始まりです。法社会学的関心の高かった末弘にとって、これは現実の日本社会で行われているフォーク・レイバー・ローに即した理論であったことは間違いありません。同じく法社会学的関心の高かった磯田進が、終戦直後の時期に「日本の労働関係の特質-法社会学的研究」(『東洋文化』第1号)において、日本の労働関係の「理念としての資本主義的労働関係とは著しくちがった性格」、すなわち「無定量性、ないし不確定性」を、その身分的性格として(批判的に)摘出したことと表裏一体のものといえましょう。

 ところが戦後労働法学、とりわけいわゆるプロレーバー法学においては、市民法的な雇傭契約と峻別されたこの労働契約の特性としてその従属性が強調され、それが労働者の権利を守るための解釈論の中核概念になっていきます。それは生存権確保という観点からの市民法原理への修正と見なされ、たとえば賃金二分説(ストライキ時の賃金カットは労務提供に対応する部分のみで、地位設定に対応する部分には及ばない)のような形で労働者寄りの解釈論に用いられました。しかしこれはまた、配転・転勤に関する包括的合意説(労働契約は具体的労働の給付を約するのではなく、労働力の使用を包括的に使用者に委ねるもの)として、労働の種類、態様、場所等を使用者の一方的な決定に委ねることを正当化する理論でもありました。

 もちろん、ある時期までの労働法学の関心はもっぱら集団的労使関係に向けられており、それゆえ組合運動にとって有利に使える解釈論が選好されたことは理解できます。また、職場で労働組合が強い限り、労働契約の身分的性格が(磯田進が懸念したような)弊害を生む危険性は抑えられていたのかも知れません。しかし、組合の力が弱まっていくと、そこから姿を現してきたのは、(プロレーバー労働法学が敵と考えていた)理念としての資本主義的労働関係というよりは、「無定量性、ないし不確定性」で特徴付けられる身分的性格に満ちたフォーク・レイバー・ローであったようです。

 一方解釈理論として精緻化の一途をたどった労働法学では、雇傭契約も労働契約も使用者の指揮命令の下で働く従属労働であることに何の変わりもないという、それ自体としてはまことに正しい議論によって同一説が一般化し、峻別説は凋落していきました。しかし、そこで雇傭契約=労働契約と見なされた労働関係は、内容的には既に身分的性格が強いものになっていたようです。近年、他の労務供給契約類型との関係で再び峻別説が復活してきていますが、もともと末弘の議論の背景にあった法社会学的な関心とはあまり接点がないように見えます。

 こうした議論の流れは、しかし私には極めて顛倒したものであったように思われます。そもそも、欧州でも雇用契約の源流は主従契約であったり、奉公契約であったりと、身分的性格の強いものでした。現実の労働関係が「理念としての資本主義的労働関係」(両当事者が互いに人格的に独立であり、身分関係から完全に解放されているという意味での契約関係)に近づいていくのは、むしろ労働運動や国家の立法によって使用者の権力が抑制されることによってであったというのが、近年の歴史的研究が語るところです。いわば、マクロ的な労働者の「身分」化がミクロ的な労働者の脱身分化、契約化を推進したのです。

 実際日本でも、戦後労働組合法や労働基準法が制定されることで、契約当事者、取引当事者としての労使対等が初めて確立したわけです。労働基準法が適用されない家事使用人が雇傭契約であるのに労働契約ではないのは、まさにその「無定量性、ないし不確定性」を認めざるを得ないからでしょう。市民法的雇傭契約から脱市民法的労働契約へ、というような教科書的な筋書きとはまったく逆に、主従関係的な尻尾をいっぱいくっつけた雇傭契約から、市民同士のより対等な関係に近づいた労働契約に展開していったというべきです。ところが、企業レベルに確立した集団的労使関係の基盤を確保するために個別契約関係の従属性や身分性(=「社員」性)を強調する戦略をとったことが、その労働契約を「理念としての資本主義的労働関係」から遠ざけ、家事使用人ではないのに「無定量性、ないし不確定性」で特徴付けられる「メンバーシップ型」の労働契約が一般化する土壌となったのではないでしょうか。

 ここには何重もの顛倒が重なり合い、絡み合っています。しかし、戦前期から終戦直後期には関心が高かった労働関係への法社会学的関心がその後急速に失われ、労働の法社会学的研究と言えるような業績がほとんどないまま半世紀以上過ぎてきたこの日本で、改めて日本の労働関係の「理念としての資本主義的労働関係とは著しくちがった性格」、すなわち「無定量性、ないし不確定性」が問題意識にのぼせられるようになってきていることだけは間違いありません。

(参考)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/post-b8cd.html(磯田進「日本の労働関係の特質-法社会学的研究」@『東洋文化』)

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『藁科満治オーラルヒストリー』

チーム梅崎(梅崎修+島西智輝+南雲智映)による労働オーラルヒストリーのシリーズも巻を重ね、今回は労働戦線統一の立役者の一人電機労連の藁科満治さんです。

当然のことながら、労働戦線統一に関わる話が半分以上を占めているのですが、それとともに興味深いのは、その前の、電機労連が職種別賃金を提起していた頃のお話しです。経営側が職務給への転換を主張していた頃、総評の主流派はもっぱら職務給反対だったのですが、むしろ西欧型の横断型職種別賃金を提起する人々もいて、労働界では電機労連がその中心だったのですね。

藁科氏自身も、1970年代初頭に、『個別賃金決定方式』という本を出したりして、このあたりはもう少し突っ込んで調べてみたいところではありますね。

あと、労戦統一関係では、労働界の人だけではなく、いろんな研究者とか、いろんな人が関わっているということもわかります。森田実さんという方がいて、今はほとんどもっぱら政治評論家という感じですが、70年代のクリティカルな時期には非常に重要な役割を果たしているようですね。うむ、梅崎さん、今度は趣を変えて、こういう労働界周辺の方々のオーラルヒストリーとかいかがでしょう。森田実さんとか、学生運動時代の武勇伝から始まって、結構面白い話がいっぱい出てきそうです。

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『日本の雇用と労働法』第5刷

1124832011年刊行の『日本の雇用と労働法』(日経文庫)が第5刷目を出すに至りました。この間、この小著を愛読いただいた皆様に心より御礼申し上げます。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/nikkeibookreview.html(濱口桂一郎『日本の雇用と労働法』(日経文庫)書評 )


雇用システムと労働法制の両方をその密接な関係を確認しながら簡潔に解説するという本書の目的が、多くの読者に理解いただいたことの現れであろうと思っております。

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三菱電機の休息時間

電機連合が要求していた休息時間がどうなったのか、まだ電機連合の発表はないようですが、三菱電機がこういう交渉結果のプレス発表をしていて、

http://www.nikkan.co.jp/newrls/pdf/20140312-08.pdf

その中の「労働協約関連」に、

①育児と仕事を両立する組合員への支援制度の充実
・育児短時間勤務の期間延長(小学校卒業まで)

②勤務間における休息時間の確保
・深夜就業の実態に着目した健康配慮措置の実施

③ハラスメントへの対応
・パワーハラスメント相談窓口の設置

と書かれています。具体的な時間が入っていないのですが、とにかくインターバル規制が協約に盛り込まれたようです。

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だんだん非正規化が日本版ワークシェアリングだったんだとおもえてきた。

ありすさんのつぶやきで、

https://twitter.com/alicewonder113/status/443731679329648640

だんだん非正規化が日本版ワークシェアリングだったんだとおもえてきた。

というのがあって、いやまさにワークシェアリングで騒いでいたときに、その旨を指摘していたんですが・・・。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/shaminken.html(ワークシェアリングをどう考えるべきか)(社会民主主義研究会2002年3月23日)

ここまでは、あくまでも「ワーク」をいかに「シェア」するかという観点からの話でしたが、第4の類型、オランダ・モデルといわれるものは、狭義の「ワーク」を超えて、生活全体の時間のあり方をいかにシェアするかという問題意識から考えるべきものだと思います。これは「多様就業対応型」などと呼ばれ、「短時間勤務を導入するなど勤務の仕方を多様化し、女性や高齢者をはじめとして、より多くの労働者に雇用機会を与える」ものだとされています。実はこの言い方の中に、大きな問題が含まれているのですが、それは後に述べることにしましょう。

・・・ところが、ここが大変注意を要するところなのですが、この類型はややもすれば、要するにパートタイマーを増やして、労働力を安上がりにして、雇用を増やすことだという風に理解されてしまいがちです。近年日本ではアングロサクソン流の市場原理主義が世論を支配しており、その枠組みの中に迂闊にこのモデルを持ち込むと、社会連帯を極大化したモデルのはずが、全く逆の連帯ゼロの市場によるワークシェアリングの一変形にされてしまいかねません。

実際、ワークシェアリングに批判的な経済産業省も、「企業の業務実態やその変化に応じて、パートタイム労働者等をさらに活用することにより、一定の雇用維持・創出効果が期待される」と「多様就業活用型」を評価しており、あまつさえ、「このため、労働者派遣や有期雇用、裁量労働制の一層の規制改革を行い、制度的にも多様な就業をサポートすることが重要」と、労働市場の規制緩和の一環として利用しようという意図を示しています。

しかし、こういう風に理解された「多様就業活用型」のワークシェアリングなるものは、上で述べた「仲間の間で分かち合う」というそもそもの考え方とは異なるものというべきでしょう。むしろ市場によるワークシェアリング、生産性の低い連中はよけいな規制をしなければ外部労働市場でちゃんと仕事が見つかるんだ、パートはどうもねえ、有期は嫌だな、派遣はだめよと、文句ばかり言うから失業が減らないんだ、四の五の言わずに市場が提供する仕事に就けばよいのだ、という発想に基づくものでしょう。そこには「連帯」の思想は見あたらないように思われます。

現在、日本でワークシェアリングというと、短期的には先の企業内のワークシェアリング、中長期的にはこの多様就業型をやっていくんだということになっていますが、この多様就業型の社会的インプリケーションについては、まったく同床異夢のようです。ある人人にとっては、労働者の枠を超え、生活者全体の中で、労働時間、家庭責任を果たす時間、社会的活動の時間、個人の時間を改めて配分し直すという、社会システムの組み替えの一環として位置づけられているのに対して、他の人々にとっては、労働者保護のための規制によって硬直化している労働市場を規制緩和し、市場原理を貫徹させるための戦略の一環として位置づけられているように見えます。

http://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2009/03/032-041.pdf(ワークシェアリングとはそもそも何をすることか?)(『ビジネス・レーバー・トレンド』2009年3月号)

二〇〇二年当時話題になったのが「多様就業型」のワークシェアリングであるが、これを「仲間」の観点から説明すれば、狭義の「ワーク」を超えて、生活者全体の時間のあり方を、男性と女性、若者と高齢者など様々な社会成員の間で「シェア」しようとするものだといえる。今風の言い方をすれば、「ワーク・ライフ・シェアリング」となろうか。具体的には短時間勤務など就業形態を多様化することによって、より多くの人々に家庭生活や個人生活と両立できる雇用機会を与えるものである。オランダがこれで成功したと喧伝され、「オランダ型」とも呼ばれた。

ただし、二〇〇二年に日本でこのタイプを称揚した人々が、本当にオランダ型の社会を理想としたのかは疑問である。なぜなら、オランダモデルの中核に位置するのは、フルタイムもパートタイムも厳格に同一賃金、均等待遇で、しかもフル・パート相互の転換を自由にするという仕組みである。それにより、男性も女性も等しく家庭責任を果たし、地域社会に参加し、個人の生活を楽しむ時間を分かち合うことができる。ところが、その仕組みがなければ、要するにパートタイマーを増やして、労働力を安上がりにして、雇用を増やすことだと理解されかねない。実際、当時の経済産業省はそういう発想でこのタイプを称揚したように思われる

・・・しかしながら現実の労働市場においては、低賃金不安定雇用のフルタイム有期雇用や派遣労働の形で、まさしく非オランダ型の就業形態多様化が進んでいった。そして今、派遣切りや有期切りという形で、非正規労働者の雇用問題が注目を集める中で、再びワークシェアリングが論じられ始めたわけである。

ワークシェリングが話題になる都度、こういうことを言ってきた割に、全然伝わってない感が・・・。

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『Vistas Adecco』36号の記事がアップされました

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『Vistas Adecco』36号に載った「キーワードで読み解く2014年の雇用と労働」がアデコ社のサイトにアップされました。

http://www.adecco.co.jp/vistas/adeccos_eye/36/

主としてわたくしと経済学者の安藤至大さんが解説をしています。

キーワードは、「解雇特区」「限定正社員」「新卒採用」「派遣法」「高齢者雇用」「女性雇用」「障害者雇用」の7つ。

それぞれについて、わたくしの発言と安藤さんの発言を互い違いに並べる形です。厳密さよりもできるだけわかりやすい説明を心がけました。

解雇特区 解雇ではなく雇用形態そのものを見直す方向に

地域を限定して解雇ルールを緩和する国家戦略特区、通称「解雇特区」。昨年秋より検討が進められてきたが、現在は見送りとなっている。労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎氏は、この発想には難しい側面があったと分析する。

 

「本来、『特区』とは、政府が何らかの規制をその地域内だけ外そうというもの。けれど日本にはそもそも解雇規制は存在せず、存在しない規制を外す、という議論は難しいものがあったのです」

 

日本大学大学院の安藤至大氏も「日本は解雇できない国ではない」とした上で、「できる解雇」と「できない解雇」があると解説する。

 

前者は①懲戒解雇(労働者が労使の信頼関係を損ねた場合など)②普通解雇(労働者が休暇中に事故にあい業務遂行が困難になった場合など)③整理解雇(事業が衰退し労働者が従事する仕事がなくなった場合など)の3つ。これらの理由があれば「証拠を提示して手続きを踏めば、規定上の解雇は可能です」(安藤氏)。一方、「できない解雇」とは、労働者が契約通りの労働力を提供しているにも関わらず、組合に入ったなどの理由で解雇する場合だ。不当解雇や恣意的解雇とみなされ、無効になる可能性が高い。「日本の解雇ルールはシンプル。労働者が労働力を提供していれば、解雇できません。ただシンプルゆえに解釈が難しく、規定外の『解雇』を『できる解雇』として展開するケースがあり、それが労使の争いの元になっています」(安藤氏)

 

濱口氏は、前述の「労働力が提供できているか」の判断が難しいのは、ひとえに日本型の雇用慣行が背景にあると指摘する。「欧米は個々の従業員の仕事の範囲や契約条件が明確。その仕事がなくなった、もしくは労働者のスキル不足が明らかな場合であれば解雇ができます。しかし日本の場合、契約書に各人の仕事の範囲は明記されていないことが多い。そのため1つの仕事がなくなった場合でも、他の仕事を与える努力はしたのかと判断されがちなのです」(濱口氏)

 

安藤氏は、解雇特区とは、この雇用契約の“満了条件”をこれまでにないものにするのが狙いだったと言う。「たとえば赤字が3期続いた場合、解雇が可能となるなどの条件を、雇用契約時に結ぶことができるのが、『特区』が持つ意味合いでした」。濱口氏も、「欧米並みの整理解雇を実現できるようにするには、解雇規制をどうこうではなく、雇用契約を見直していくしかありません」と話す。解雇特区を発端に浮彫りとなった日本の雇用契約のあり方。次ページの「限定正社員」問題とも絡み合いながら2014年も、正社員の雇用契約をめぐる議論に形を変え、進むことが予想される。

 

 

限定正社員 賛否両論の限定正社員 導入するメリットとは

 

2014年、雇用をめぐる話題として最大のキーワードが「限定正社員」だ。もっとも、これは新しい雇用形態ではない。「これまでにもあった転勤のない『地域限定社員』や、職種が限定された『職種別採用』も限定正社員の一種」であり、一部企業では定着した雇用形態だ。それがなぜ、急速に議論の対象になっているのか?「それは、解雇の問題と絡んでくるからです」と安藤氏は言う。

 

この仕組みは、地域や職種などを限定した上で雇用契約を結ぶことだが、雇用保証の範囲も限定的にならざるを得ない面がある。たとえば「地域限定社員が勤務する支店がその地域から撤退する場合は、契約は終了となる(解雇する)」などと雇用契約に書き込めるかどうかが議論されている。そして、この議論が「限定正社員=解雇されやすい社員」との印象を与え、一部からの反発につながっている。しかし限定正社員は本当に解雇しやすい形態なのだろうか?

 

「確かに『就業当初から業績が伸び悩み赤字が続くケースでは整理解雇できる』といった雇用契約を締結した場合は、正社員よりは不安定な形態になる可能性もあります。しかし会社側の一方的な都合で解雇できるかと言えば、全くそうではありません」(安藤氏)

 

前出の濱口氏は、むしろ柔軟な働き方が可能になるなど労働者側のメリットが大きい仕組みだと指摘する。「育児中の女性社員はもちろん、男性も今後は介護など職場以外の生活面で責任を負う局面は増えるはず。そういった時に転勤がない地域限定の働き方は、むしろ従業員のワークライフバランスを担保する上でも有効です」(濱口氏)

 

安藤氏は、そもそも「日本の正社員の“無限定”な働き方は時代の変化や諸外国の常識とは異なる」と言う。

「『どこにでも転勤します、どんな仕事でもやります』という無限定な働き方では、働く側も専門性を高めにくいですし、往々にしてワークライフバランスがとりにくくなってしまいます」(安藤氏)

会社側にとっても、その時々の事業の盛衰に伴い、柔軟に組織を変革できる人員配置にしておくことは、競争力を高める上でも重要なことだ。「職種や業務内容、責任範囲に限定がない働き方が当たり前だったことにより、日本人は、自分の職を得る“就職”という意識が低く、会社に“就社”する思想が強い。そのため、生涯のキャリアプランを描きにくく、会社に万一のことがあった場合など、変化に対応しにくい。雇用契約満了の基準が明確になることと、上記のような働き方と、どちらがより柔軟で、働く側も組織も向上できるのか、照らし合わせて議論する必要があります」(濱口氏)

ライフスタイルに合った、かつ専門性を高める働き方を選ぶか、会社に働き方を委ねるか。長きにわたって横たわってきた、無限定な働き方を考えなおすスタート地点に2014年がなりそうだ。

新卒採用 数々の疑問が呈されるも制度が変わるまでの道のりは険しい?

新卒一括採用は、日本独特の雇用慣行だ。学校を卒業した若者を、長期間の雇用を前提として、会社の中で教育していく。その間は転勤、配置転換など不特定な就業条件が生じる――濱口氏、安藤氏は、日本の新卒採用は世界に類がない、特別な雇用形態だと言う。「欧米の企業に新卒で採用されるのは、一部のエリートと呼ばれる人たち。多くの新卒者は、どこかの会社のポストに空きが出たら、その業務を遂行できる条件に合った人が応募し採用される。“座る椅子”、“その仕事”自体と契約するのが世界標準です」(安藤氏)

 

つまり欧米の会社員のほとんどが「限定正社員」にあたるのだ。一方で日本の新卒社員は、どんな役割にも対応できることを求められると濱口氏は指摘。「日本の企業は社員を、その時の経営状況や環境に応じて異動させ、活用してきました」(濱口氏)。そして、このやり方は高度経済成長期など、景気が上向いている時期には強みを発揮した。「企業の多くは、産業や景気の変動に合わせて人財の配置転換を行えたため、社会の変化に対応できた側面があります。新卒採用を毎年続ければ、安定した年齢別組織構造が維持できる、研修機会の提供が一律で効率が良い、人財管理がしやすいなどメリットも大きかったのです」(濱口氏)

 

しかしグローバル化と言われて久しい昨今では、この一括採用の弊害も指摘される。一つは新卒採用時に希望の仕事に就けなかった「学卒未就業者」が増加していることだ。初職でフリーターになると、社員同様の能力開発の機会を失い、結果としてフリーターのまま高齢化しがちだ。また年金保険料を支払えない人も多く、その分、国の社会保障費の財源は減っていく。さらに一括採用を堅持しようとすれば人財の流動化が停滞し、ダイバーシティ(社員の多様化)が進まず、それゆえ、現場でイノベーション(革新)が起こりにくく、グローバル化に対応できないなどの問題が指摘される。

 

現状の新卒一括採用とそれがもたらす影響を、一部解決できる施策として、「限定正社員の存在が期待されます。現場に入り技能を鍛えスキルなどを高めた上で、長期的な契約での就業形態へとステップアップしていく。新卒時に希望通りの就職がかなわなかった人が再チャレンジできる仕組みの一つとして、限定正社員は活用できる可能性があります」(安藤氏)

 

企業にイノベーションを起こすには、新卒採用の仕組みを見直し、欧米型の中途採用社会に変えることも検討していく必要があると主張する識者もいる。だが、濱口氏も安藤氏も「すぐ変えるのは難しい」と口を揃える。

 

「最初から戦力となる人財を採用するためには、教育機関の在り方を『実学志向』に変えていく必要がある。しかし現実的にそれは難しく、かつ企業としても採用の目的はさまざまなため、すべてが即戦力の人財を採用する、ということにならない」(濱口氏)

 

とはいえ、企業側も新卒者に過去のような手厚い研修を施す経営的な余裕はあまりない。イノベーションを起こす多様な人財も必要だ。加えて大卒の3割が3年以内に退職してしまうなど、採用のミスマッチの問題もある。昨今、新卒採用についてはインターンシップ制の導入など、新しい施策を取り入れる企業も増えている。2013年からは採用活動のスケジュールが変更になるなど、見直しの動きは続いている。新卒採用をめぐっては2014年も引き続き、模索が続く年になりそうだ。

 

派遣法 規制強化から緩和の方向で議論中 職の得やすさも追求する動きに

 

日雇い派遣の原則禁止など、いったんは規制強化の方向で改正がはかられた昨今の労働者派遣法。しかし2013年から再び規制緩和の動きが見られるようになっている。同年夏の、厚生労働省の有識者会議が出した報告書が議論の下地となっている。そのポイントはいくつかある。

 

一つは、「専門26種」という区分の撤廃。「派遣業務の契約は、原則として3年以内で、通訳や秘書など専門26業務に限ってはその制約がないというルールだったのが、『専門26業務』という区分そのものをなくそうという動きです。また働ける期限を見直す議論も起きています」(安藤氏)

 

二つ目は、「上限3年」のルールを見直すこと。有期雇用(契約)の派遣労働者の場合、3年を超える派遣では派遣先企業内で労使双方が同意すれば、同じ職場で派遣労働者を受け入れることができる。ただし3年ごとに人を交代させる必要がある。

 

また派遣労働者のキャリアアップを推進することが織り込まれた。さらに派遣事業を国の認可制にする案も盛り込まれるなど、派遣会社にとっては比較的厳しい内容の改正案となっている。

 

こうした動きについて濱口氏は、「かねて懸念していた『労働者をおきざりにした改正』ではなく、派遣労働者が仕事を得やすい環境にシフトするような方向での議論になっているのは望ましいことでしょう」と評価する。

 

安藤氏も、派遣会社が派遣登録者の職業能力開発や支援をする機能がますます求められるようになったことは正しい流れだと認める。さらに濱口氏、安藤氏が異口同音に話すのは日本における派遣会社数の多さ。今回の改正への流れが進むなかで、派遣会社の淘汰が起こると両氏とも指摘する。

 

2014年以降の派遣業界は、派遣社員の能力開発、研修システムの差で、市場に選ばれていく時代になりそうだ。

 

高齢者雇用 進むシニア世代の雇用 今後は賃金にスポットが

 

年金の満額受給年齢が65歳に引き上げられることに伴い、2013年4月に「高年齢者雇用安定法」が改正。本人が希望すれば65歳まで雇用することが義務付けられることとなった。法令では、継続雇用制度の創設か定年の撤廃もしくは引き上げのいずれかの対応が要求されているが、実際に運用が始まった昨年は、定年の引き上げや撤廃に踏み切る企業は少なく、多くは嘱託や契約社員などの雇用形態で再雇用し賃金を引き下げる対応策を採用している。「いったん60歳で定年とし、それまでの3分の1程度の給与で再雇用する場合がほとんど」(濱口氏)だ。

 

また業務内容も「ある大手自動車メーカーでは、再雇用した人財に実業務とは異なるCSR的な活動(緑化活動など)を担当させているように、現役世代の仕事に影響することはほとんどない」(安藤氏)。それでもいまだに「シニア世代が優遇され、若年層にそのしわ寄せが来ている」と批判する声もある。だが濱口氏は、それはナンセンスだと喝破する。

 

「今後ますます、社会全体が高齢化して年金受給額が増えることは明白です。年金は現役世代の保険料で賄う賦課方式が基本ですから、年金を支えるためには、現役世代を増やすしかない。高齢者雇用に反対することは、年金を支える層を減らすことと同義。若者の負担がかえって増すだけです」(濱口氏)

 

もっとも今後「年金支給開始年齢は間違いなく、68歳、70歳と伸びていく」(濱口氏)。となれば、「60歳まで年功制で雇用し、年齢による賃金上昇形態を続けるには限界があります。

 

2014年からは前倒しで年功給の要素を減らし、成果による配分を行うなど、給与体系を変更していく必要が生じるでしょう」(濱口氏)

 

女性雇用 制度の整備などは少しずつ進行 完全な「底上げ」はこれから

 

ここ最近、女性の働き方に関する議論が活発化している。政府は「指導的地位に占める女性の割合を2020年までに30%程度とする」ことを目標に掲げた。また企業も女性社員が出産・育児と仕事を両立できる各種制度を整備。育休や短時間勤務制度(時短)、フレックス制などに加えて、託児所を完備し子連れで通勤できる会社も増えている。「制度としては、以前と比較すれば整備されつつあると思います」(濱口氏)。実際に、女性労働者の60%が第一子出産後に退職するという現象に歯止めがかかっている。

 

だが全体を見れば女性就業率は男性の80%にも及ばず、2013年の調査では8割の企業の女性管理職比率は1割以下という調査もある。

 

それは「女性が働きやすい風土ができていないからだ」と濱口氏は言う。

 

こうしたことから最近では、女性社員が入社して早い時期からリーダーシップを醸成する制度や、妊娠出産・育児などのライフイベントと重なる30代女性のキャリアを停滞させない制度の案も浮上している。

 

しかし「時短勤務を選択する女性社員が多いが、実際は『残業をしない』、というだけで、本質的な短時間勤務になっていない人が多い。また時短勤務でない人はフルタイムどころか残業することを受け入れるしかなく、働き方の選択肢がそれ以外にない状況。そこを改めるのが根本的な解決策です」(濱口氏)

 

また効率を上げて短時間でも成果を出せばきちんと評価されるように、評価や査定の仕組みも重要だ。その前提として「あなたの仕事はこれで、求められる目標はこれ」と欧米のように業務内容とミッションを明確にすることが大事だと、濱口氏は強調する。

 

一方、安藤氏は「時短勤務を選べば働き方が違うのだから昇進などにある程度の差が出ることは、当然のこと。短期的には、こうした状況を本人も周囲も納得して受け入れられるルールを導入すべきでしょう」と指摘する。

 

いずれにしても女性活用の鍵を握るのは、「評価基準の明確化」だ。

 

障がい者雇用 比率を上げることよりも働きがいを持てる職場を得ること

 

2016年から「改正障害者雇用促進法」が施行される。1976年から、身体障がい者の雇用が義務付けられ、達成できない企業は納付金の義務が生じる。これに加え16年4月からは「障がい者に対する差別の禁止」や「合理的配慮の義務化」、18年4月からは、精神障がい者の雇用が義務付けられる。

 

厚労省の調べでは、障がい者雇用率は現時点では低く(図参照)、法定雇用率を満たしていない企業は53%にのぼる。だが安藤氏は障がい者雇用での成功事例はあるとした上で「たとえば数字が読めない人でも計量できる装置を作るなど、どういう状況の人でも事務を遂行できるよう、仕事を作り変えることも必要でしょう」(安藤氏)。もっとも、そういった業務ばかりではないのも現実。「さまざまな人が活躍する企業と連携するなど、これまでにない方法も考える必要があります」(安藤氏)。雇用率を高めるだけなく、誰もがやりがいを持って働ける職場作りとは何か、今後さらなる議論が望まれる。

 

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オバマ大統領ホワイトカラーエグゼンプション見直しへ

アメリカのオバマ大統領が、残業代を支払わなくてもいいホワイトカラーエグゼンプションの見直しを指示したそうです。

http://www.nytimes.com/2014/03/12/us/politics/obama-will-seek-broad-expansion-of-overtime-pay.html?_r=0(Obama Will Seek Broad Expansion of Overtime Pay)

On Thursday, the president will direct the Labor Department to revamp its regulations to require overtime pay for several million additional fast-food managers, loan officers, computer technicians and others whom many businesses currently classify as “executive or professional” employees to avoid paying them overtime, according to White House officials briefed on the announcement.

木曜日、大統領は労働省に対し、数百万人にのぼるファーストフードマネージャー、ローン職員、コンピュータ技術者その他の現在「エグゼキュティブまたはプロフェッショナル」と分類されている人々に時間外手当を支払うよう規則を改正するように指示した。

Mr. Obama’s decision to use his executive authority to change the nation’s overtime rules is likely to be seen as a challenge to Republicans in Congress, who have already blocked most of the president’s economic agenda and have said they intend to fight his proposal to raise the federal minimum wage to $10.10 per hour from $7.25.

これは、連邦最低賃金を時給7.25ドルから10.10ドルに引き上げる提案を邪魔している議会の共和党への挑戦らしい。

アメリカの最低賃金も低いので有名ですが、ホワイトカラーエグゼンプションの限度額も週給455ドルとたいへん低いため、労働者の賃金を引きあげる一手段としてこの限度額を大幅に引き上げるというのが、オバマ大統領の趣旨であるようです。

このニューヨークタイムズ紙の記事では、識者の意見として週給984ドルというのが出ていますが、どうなるか注目です。

ちなみに、日本は残業代のエグゼンプションについてはアメリカよりたいへん厳格ですが、長時間労働規制がほとんど実効性がないという点にこそ問題があるので、単純な議論はできません。

昨日、電機連合の労働組合が要求していた1日11時間の休息時間規制(インターバル規制)が一部合意されたという情報がありましたが、現時点ではどこにも公表されていないようです。

こちらも早く詳しい中身を知りたいところです。

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雇用システム論に基づく労働契約法制のいいパンフレット

昨日の労政審労働条件分科会に、例の国家戦略特区で使われるという雇用指針(案)が示されたようです。

http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12602000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Roudouseisakutantou/0000040259.pdf

ざっと見たところ、雇用システム論を踏まえて日本の労働契約法制全般にわたって、大変簡にして要を得たパンフレットに仕上がっているようです。これは特区だけで使うのはもったいないですね。

最初の総論のところで、次のように内部労働市場型と外部労働市場型の違いを明確にした上で、判例法理がそうした人事管理の違いを踏まえて形成されてきたものであることを明らかにしています。

○ 典型的な日本企業にみられる人事労務管理について、以下のような「内部労働市場型」の特徴が指摘されることが多い。
① 毎年、定期的に新規学校卒業者が職務や勤務地を限定せずに採用され、定年制の下比較的長期間の勤続がみられ、仕事の習熟度や経験年数等を考慮した人事・賃金制度の下で昇格・昇給が行われていること
② 幅広く配置転換や出向が行われること
③ 就業規則により統一的な労働条件の設定がなされること
④ 景気後退期等においては、所定外労働の縮減・停止、新規採用の縮減・停止、休業、配置転換・出向等の方法により雇用調整が行われ、なお雇用を終了せざるを得ない場合、整理解雇に至る前に、労使協議の上で、退職金の割増し等による早期退職希望の募集、退職勧奨が行われること
※ 上記については、一般論であり、個々の企業により実態が異なる。

○ これに対して、日本においても外資系企業や長期雇用システムを前提としない新規開業直後の企業をはじめ「外部労働市場型」の人事労務管理が行われている企業もみられる。こうした企業については以下のような特徴が指摘されることが多い。
① 空きポストの発生時に随時、社内公募や外部からの中途採用が行われ、必ずしも長期間の勤続を前提としていないこと
② 職務記述書により職務が明確にされるとともに、人事異動の範囲が広くないこと。
③ 労働者個々人ごとに労働契約書において職務に応じた賃金等の労働条件の設定が詳細に行われること
④ 特定のポストのために雇用された従業員について、そのポストが喪失した場合に、一定の手続や金銭的な補償、再就職の支援(以下「退職パッケージ」という。)を行った上で、解雇が行われること
※ 上記については、一般論であり、個々の企業により実態が異なる。

○ 日本の雇用ルールをめぐる個別の判断においては、信義誠実の原則や権利濫用の禁止といった一般原則の下、例えば解雇については、客観的に合理的な理由や社会通念上の相当性といった価値判断基準(規範的要件)が用いられる。裁判所は、このような価値判断基準(規範的要件)を用いるに当たって、他の要素とともに、上述のような内部労働市場型の人事労務管理を行う企業(以下単に「内部労働市場型の人事労務管理を行う企業」という。)と上述のような外部労働市場型の人事労務管理を行う企業(以下単に「外部労働市場型の人事労務管理を行う企業」という。)との間の人事労務管理の相違を考慮した上で判断することがある。

具体的には、
① 内部労働市場型の人事労務管理を行う企業については、使用者が行った配置転換や出向が人事権の濫用に当たらないとされるケースが多く、その一方で、解雇に当たっては幅広く配置転換等の回避努力が使用者に求められる傾向にある。
② 外部労働市場型の人事労務管理を行う企業においては、解雇に当たって退職パッケージを提供する場合には、使用者に対して、幅広い配置転換等の解雇回避努力が求められる程度は、内部労働市場型の人事労務管理を行う企業と比べて少ない傾向にある。

○ 上記の内部労働市場型の人事労務管理を行う企業、外部労働市場型の人事労務管理を行う企業のそれぞれの特徴は、あくまで一般的な整理であり、個々の企業の実態により特徴の組み合わせは異なる。また、例えば内部労働市場型の人事労務管理を行う企業であっても、部門やポストによっては外部労働市場型に近い人事労務管理を行う場合もあり、必ずしも二者択一ではない。
併せて、上記の個別判断の傾向はあくまで一般論であり、個々の事案毎に、経済や産業の情勢、使用者の経営状況や労務管理の状況等を考慮して、判断がなされる。裁判例を分析・類型化した本指針についても同様である。

○ なお、この指針は、主としていわゆる正規雇用の労働者をめぐる裁判例の分析・分類や関連する制度を記載しているが、非正規雇用の労働者については、正規雇用の労働者とは異なる人事労務管理が行われることが多いことから、非正規雇用労働者に関する法令(※)が適用される場合や、雇用ルールの個別の判断に当たって正規雇用の労働者とは異なる判断がなされる場合もある。

○ なお、日本においては、行政機関への相談件数をみても一定数の解雇が行われていることが確認できる(※1)。
解雇について紛争に至った場合でも、訴訟で争われる事案は比較的少なく、都道府県労働局に設置される紛争調整委員会によるあっせん、労働審判制度による調停、審判(※2)等により迅速で柔軟な解決が行われている。
また、解雇について訴訟に至った場合には、解雇の有効・無効、すなわち労働契約上の権利を有する地位を確認する判断がなされる判決が下されるが、実際には、判決に至る事案は少なく、多くは和解手続により金銭の支払いと引き替えに労働者が合意解約する等、柔軟な解決が図られている(※3)。
なお、最終的に判決に至った事案では、認容判決と棄却・却下判決の割合は、ほぼ同程度である(※4)。

この総論を踏まえて、以下各論で、各分野ごとに雇用慣行とそれに対応する判例法理を説明していきます。

Ⅱ 各論
1 労働契約の成立
(1)採用の自由・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
(2)採用内定の取消し・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
(3)試用期間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
2 労働契約の展開
(1)労働条件の設定、変更・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
(2)配転・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
(3)出向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
(4)懲戒権・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
(5)懲戒解雇・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
3 労働契約の終了
(1)解雇・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
(2)普通解雇・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
(3)整理解雇・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26
(4)特別な事由による解雇制限等・・・・・・・・・・・・・・・33
(5)退職勧奨・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
(6)雇止め・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
(7)退職願の撤回・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36
(8)退職後の競業避止義務・・・・・・・・・・・・・・・・・・37

ここだけでも、労働法のいいテキストです。

こういうのをちゃんと読んで、日本はどんなに頑張っても解雇することができない国だなどというウソを振りまくおかしな評論家諸氏に惑わされないようにするのが、一番大事なことでしょう。

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労働安全衛生法改正案出し直し

本日、労働安全衛生法の改正案が国会に提出されました。

2011年12月に国会に出されたものの、2012年夏に審議入りしながらも政治状況で中断、その後衆議院解散で廃案になっていたものに、いくつもの追加修正をして出し直したものです。

政策的に見て重要なメンタルヘルス関係規定と受動喫煙関係規定について、前回提出法案がどう修正されたかを見ておきましょう。

http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/179-12.pdf(2011年法案要綱)

http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/soumu/houritu/dl/186-54.pdf(2014年法案要綱)

メンタルヘルス関係は、大筋は変わっていないとは言いながら、2011年法案にあった

労働者は、一による検査を受けなければならないものとすること。(第六十六条の十第二項関係)

という労働者の受診義務を削除しているのと、何よりも

産業医を選任しなければならない事業場以外の事業場についての一から九までの適用については、当分の間、一のうち「行わなければ」とあるのは「行うよう努めなければ」とするものとすること。(附則第四条関係)

と、中小企業は義務づけではなく努力義務に落としてしまった点が注目されます。

これは、メンタルチェック自体に対するプライバシーなどの危惧や批判がどうしても払拭しきれなかったことを反映しているのでしょう。

もう一つの受動喫煙は、前回の国会提出時から、煙草がお好きな議員の方々から目の敵にされた嫌いもあり、一昨年の時に国会で努力義務への格下げが合意されかかっていたこともあって、結局全面的に努力義務というかなり引っ込めた法案になってしまいました。

第二 受動喫煙の防止

一 事業者は、労働者の受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。以下同じ。)を防止するため、屋内作業場その他の厚生労働省令で定める作業場について、専ら喫煙のために利用されることを目的とする室(当該室からたばこの煙が漏れるおそれがないものとして厚生労働省令で定める基準に合致するものに限る。)を除き、喫煙を禁止することその他の厚生労働省令で定める措置を講じなければならないものとすること。(第六十八条の二関係)

二 飲食物の提供その他の役務の提供の事業であって厚生労働省令で定めるものを行う事業者については、当分の間、一は、適用しないものとすること。この場合において、当該事業者は、一の厚生労働省令で定める作業場について、労働者の受動喫煙の程度を低減させるための措置として厚生労働省令で定める措置を講じなければならないものとすること。(附則第二十七条関係)

第四受動喫煙の防止

一 事業者は、労働者の受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わされることをいう。以下同じ。)を防止するため、当該事業者及び事業場の実情に応じ適切な措置を講ずるよう努めるものとすること。(第六十八条の二関係)

二 国は、労働者の健康の保持増進に関する措置の適切かつ有効な実施を図るため、受動喫煙の防止のための設備の設置の促進その他の必要な援助に努めるものとすること。(第七十一条第一項関係)

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『POSSE』 vol.22 「追い出し部屋と世代間対立」

表紙の画像がアップされたようなので、とりあえずそれだけ。3月18日発売だそうです。

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佐藤博樹・武石恵美子編『ワーク・ライフ・バランス支援の課題』

9784130511384_2佐藤博樹・武石恵美子編『ワーク・ライフ・バランス支援の課題 人材多様化時代における企業の対応』(東京大学出版会)をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

http://www.utp.or.jp/bd/978-4-13-051138-4.html

ワーク・ライフ・バランスへの支援は,これまで子育てを中心に考えられてきた.仕事と介護の両立や女性の活躍の促進という新しい課題に注目し,これからの日本社会に対応する企業の取り組みを,豊富なデータをもとに紹介する.

佐藤・武石編のWLB本というとほとんど定番となりつつある感じですが、今回の本は女性の活躍という今風の政策課題、介護との両立という新たな課題、そして働き方改革という永遠の課題を3つの柱にしています。

序章 ワーク・ライフ・バランス支援の課題:人材多様化時代における企業の対応(佐藤博樹・武石恵美子)
I 女性の活躍の場の拡大
1章 女性の仕事意欲を高める企業の取り組み(武石恵美子)
Topic 1 】女性管理職の現状:2020年30%は実現可能か(高崎美佐・佐藤博樹)
2章 女性の能力発揮を可能とするワーク・ライフ・バランス支援のあり方(矢島洋子)
Topic 2 】短時間勤務制度利用の円滑化:どうすればキャリア形成につながるのか(佐藤博樹・武石恵美子)
3章 男性の育児休業:取得促進のための職場マネジメント(武石恵美子・松原光代)
Topic 3 】有期契約社員の育児休業取得:何が課題なのか(武石恵美子)
II 仕事と介護の両立支援
4章 介護不安を軽減するための職場マネジメント(朝井友紀子・武石恵美子)
5章 仕事と介護の両立に課題を抱える社員の現状(松浦民恵)
6章 企業による仕事と介護の両立支援の課題(佐藤博樹)
Topic 4 】欧州における仕事と介護の両立:企業はどのように取り組んでいるのか(矢島洋子)
III ワーク・ライフ・バランスと働き方改革
7章 仕事と生活の相互関係とワーク・ライフ・バランス(高村 静)
8章 ワーク・ライフ・バランス実現に向けた職場マネジメント(高村 静)
Topic 5 】アメリカにおける管理職の意識啓発研修:研修によって管理職は変わるのか(高畑祐三子・佐藤博樹)
9章 企業のワーク・ライフ・バランス推進と自治体の支援(松原光代)
Topic6 】次世代法と企業による両立支援:“くるみん”は何をもたらしたのか(朝井友紀子・佐藤博樹)

ざっと読んで目にとまったのは、【Topic 2 】の「短時間勤務制度利用の円滑化:どうすればキャリア形成につながるのか」(佐藤博樹・武石恵美子)という文章の、「短時間勤務制度利用の円滑化に向けて(提言)」という一節の次のような下りです。

・・・短時間勤務制度の利用期間が長くなっている背景には、フルタイム勤務に復帰すると、仕事と子育ての両立が難しくなるという職場の状況がある。たとえば、短時間勤務からフルタイム勤務に復帰すると、いつでも残業できることを期待され、あるいは同僚が恒常的に残業している中、自分だけ定時に退社することに抵抗を感じるため、フルタイム勤務に戻れる状況にあっても、あえて短時間勤務を選択し、実際には残業もこなしている者も少なくない。・・・フルタイム勤務の働き方を見直すことによって、短時間勤務からフルタイム勤務への円滑な移行が可能となり、短時間勤務が制度本来の趣旨に沿って活用され、利用期間長期化の回避につながることが期待できる。・・・

フルタイムがフルタイムじゃなくてオーバータイムなので、フルタイムにするためにパートタイムにしているという不思議な話です。


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季刊労働法244号

Tm_mjq0x5vcmq今週末から来週初めくらいに出る予定の『季刊労働法』244号の案内が、労働開発研究会のサイトにアップされていますので、こちらでも紹介。

http://www.roudou-kk.co.jp/quarterly/archives/006044.html

なんといっても、季労が初めて労働法教育を大特集に取り上げたのが特筆すべき点かと。

季刊労働法234号(2011年秋号)で労働法とエンフォースメントをテーマにした特集を掲載しました。その当時からブラック企業という言葉が社会で認知されていましたが、この言葉はさらに人口に膾炙し、議論され続けています。労働法の履行確保ということを考えると、やはり、労働法教育というものが不可欠なのではないでしょうか。ワークルール検定が盛況のようですし、また、労働行政、弁護士会、NPO等による労働法の出前授業など、いわば労働法リテラシーを高めるための動きもいろいろと見えてきております。そうしたなか、今号では、労働法教育、労働法学習の現段階とその課題について、考えてみます。

特集  労働法の教育と学習を考える

労働法の変化と労働法教育  東京大学名誉教授 菅野和夫

ワークルール教育の課題―NPO「職場の権利教育ネットワーク」の立ち上げと展開  放送大学教授・北海道大学名誉教授 道幸哲也

法科大学院教育と労働法の実務―労働弁護士の視点から 弁護士 山添 拓

法科大学院における労働法教育の意義―使用者側(企業側)弁護士の視点から 弁護士 小山博章

使用者側はどう労働法を学習するべきか 弁護士 開本英幸

労働法教育への取り組み「働く文化ネット」からみた現状と課題 NPO法人働く文化ネット 小栗啓豊

中高での労働法教育の現状・実践と課題   北海道立奈井江商業高校教諭 池田考司

学習指導要領と労働法教育 実践例も含めて 日本教職員組合組織・労働局高校センター事務局長 成田恭子

労働法学者、弁護士、NPO、高校教師・・・と、さまざまな次元からの提起がされるようで大変楽しみです。特に、高校の先生は、これまで神奈川の吉田美穂先生が出ずっぱり状態でしたが、北海道の池田先生の実践例は読んでみたいですね。

第2特集は、やはり時宜を考えるとこれでしょう。

2012年派遣法改正から1年以上が過ぎました。「例外の多い日雇い派遣の禁止」「マージン規制は労働者保護に資するのか」「派遣業から紹介業に流れる」などの指摘がありました。労働者派遣の現場はどう変化したのか。第2特集では、すでに次の改正に向け方向性が明らかになりつつあるこの状況で、労働者派遣の有り方を問い直します。

第2特集 労働者派遣法の現段階

「労働者派遣制度の改正について」(建議)の検討―労働者派遣法の見直しはどうあるべきか― 西南学院大学教授 有田謙司

労働側弁護士から見た派遣法の現状と今後の方向性   弁護士 河村 学

平成24年改正派遣法の疑問点と次回改正に向けて 使用者側弁護士の立場から 弁護士 木村恵子

その他の記事は次の通りです。

■連載■
■労働法の立法学 第35回■
「学び直し」その他の雇用保険制度改正   労働政策研究・研修機構統括研究員 濱口桂一郎

■ローヤリング労働事件 第12回(最終回)■
顧問弁護士の活動について 弁護士 木下潮音

■神戸大学労働法研究会 第27回■
有期労働契約の不更新条項と雇止め制限法理―東芝ライテック事件を素材に― 神戸大学大学院法学研究科教授 大内伸哉

■北海道大学労働判例研究会 第32回■
取締役・代表取締役の労働者性 ミレジム事件―東京地裁平成24年12月14日判決労判1067号5頁,サンランドリー事件―東京地裁平成24年12月14日判決労経速2168号20頁  小樽商科大学准教授 南 健悟

■筑波大学労働判例研究会 第39回■
高等学校非常勤講師の雇止めの可否 学校法人加茂暁星学園事件・東京高判平24.2.22労判1049号27頁  特定社会保険労務士 山口 寛志

■アジアの労働法と労働問題 第19回■
ミャンマー労働争議解決法の意義  大阪女学院大学教授 香川孝三

■文献研究労働法学 第11回■
アメリカ労働法文献研究  首都大学東京准教授 天野晋介

■イギリス労働法研究会 第19回■
イギリス全国最低賃金法における「賃金」の範囲をめぐる判例動向  早稲田大学大学院 藤井直子

■労使で読み解く労働判例 第10回■
会社更生手続下における整理解雇の有効性―日本航空(運航乗務員)事件・東京地判平24・3・29,同(客室乗務員)事件・東京地判平24・3・30― 東海大学准教授 渡邊絹子

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勝利の方程式-リベラル右翼政党が成功する

140305_book_amiya網谷龍介・伊藤武・成廣孝編『ヨーロッパのデモクラシー[改訂第2版]』(ナカニシヤ出版)をお送りいただきました。ありがとうございます。

http://www.nakanishiya.co.jp/modules/myalbum/photo.php?lid=1017&cid=14

移民とポピュリズム、政党不信と大連立――
民主主義をめぐるさまざまな困難に立ち向かうヨーロッパ政治のいまを各国別に紹介。
新たにEU加盟を果たしたクロアチアを加えるなど、
最新の政治状況を反映した改訂版。

この本、5年前に出された本の改訂版ですが、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/post-8c25.html(ヨーロッパのデモクラシー)

だいぶ分厚くなり、中身もさらに充実しています。これだけ包括的に欧州各国の政治の構造をクリアに分析した本はほかにないでしょう。

新たに追加されたコラム等の中で、ここではオランダ・ベルギー編に挿入された「勝利の方程式?」という一文を紹介しておきます。

オランダ・ベルギーのみならず、近年ヨーロッパ諸国全般において右翼ポピュリスト政党の台頭がめざましい。その台頭を説明しようとさまざまな議論が出されてきたが、その中の一つに「勝利の方程式(winning formula)」というものがある。それによると、移民排斥のような強硬な新保守主義的な政策と国家の歳出削減のような新自由主義的な政策を上手く掛け合わせたときに、右翼ポピュリスト政党が選挙で得票を伸ばすというのである。これは賛否両論があるものの、最近のオランダ、ベルギーの政治状況を見ると、確かに当てはまるところがある。・・・

(ベルギーの例について)・・・その主張は、移民規制や犯罪撲滅といった新保守主義的な政策のほかに、行政の効率化、失業保険の給付期間短縮など、の新自由主義的な政策が並ぶ。これも「勝利の方程式」に則ったものと言えるが、実際に、デデッケルは新党立ち上げの際、リベラル右翼政党が成功する見込みが選挙市場にあることを某シンクタンクから助言されたといわれる。・・・

いろんな意味で、昨今の日本の状況等も考え合わせると、大変示唆的なコラムです。

もっとも、日本(及びアメリカ)とヨーロッパにおける思想用語の使い方の逆転から、上の文章のある一句が意味不明な人がいるかも知れませんが、

「リベラル右翼政党」とは、文字通り、経済に対する市場原理主義的な(欧州語でいう「リベラル」な)主張と社会に対する右翼的な主張が組み合わさった政治勢力ということです。こういう所にいちいち注釈が必要なんですね。

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ブラック企業経営者を目指す人にとって必読の一冊

9784594070021今野晴貴さんの『ブラック企業』が大ブレークしたおかげで、ときならぬブラック企業ブームが起こっているようで、「ホワイト企業」なんてのも含めて、さまざまな2匹目、3匹目の泥鰌目当て本が続々と出ていますが、この本もその一冊といえばそうですが、なかなか目の付け所が良いな、と思ったのは、取材した経営者サイドの本音がずばずばと書かれていること。その一つ一つが、今野さんらPOSSEの人々の論点と対応していて、なかなか興味深い一冊になっています。

http://www.fusosha.co.jp/books/detail/3974

ブラック企業の実態について書かれた報道や書物は少なくないが、それらは労働者サイドの声をまとめたものが大半だ。本書では経営者サイドの視点を通じて、ブラック企業の実態を紐解く。

著者の秋山謙一郎さんが、ビジネスジャーナルでインタビューを受けていて、これが本書の良い要約になっているので、是非目を通してください。

http://biz-journal.jp/2014/03/post_4333.html(ブラック企業経営者が明かす、社員洗脳の手口~劣悪環境で“進んで”搾取される人々)

ブラック企業の構造を端的に言えば、

--ブラック企業の経営がシステマティックというのは、どういうことでしょうか?

秋山 まず、自分たちの組織の中だけでしか通用しない常識、ルールを徹底的に植えつけます。これに従わない者を徹底的に叩くと、従業員たちは「この組織はおかしいのではないか」と考えること自体が悪いことのように思い始めます。そうなると、経営サイドの戦略にはまり、長時間労働、サービス残業、休日出勤も厭わなくなります。

--洗脳によって、経営者の意のままに動く従業員がいるからこそ、ブラック企業が成り立っているというわけですね。

秋山 洗脳されない人、裏返せばルールに従順ではない人、限界まで我慢しない人、全力で仕事に取り組まない人は、ブラック企業にハマりにくいです。そういう人はバイト感覚でブラック企業を簡単に切り捨てて転職していきます。

それは新興宗教のやり方と同じであると。

--本書の帯にある「ブラック企業とは、宗教である」とは強烈ですね。

秋山 新興宗教団体は、まず教祖のカリスマ性を打ち出して、信者を囲い込んで洗脳し、団体に多額の寄付をさせます。この一連の流れとブラック企業で使われる手口は、まるで相似形のように浮かび上がります。

--宗教のビジネスモデルを見習えば、ブラック企業を経営できるわけですね。

秋山 「卵が先か、鶏が先か」ではないですが、新興宗教団体のビジネスモデルは、ブラック企業にとって参考になる点は多いでしょう。結局、宗教団体とは宗教なのか、それとも宗教というサービスを提供するビジネスなのか。そのように考えていくと、一般企業経営でも役立つところはあろうかと思います。もっとも、それはあくまで「ブラック企業では」という意味です。

この次のインタビュワの言葉が、皮肉のつもりでいったのではないのでしょうが、あまりにも痛烈な皮肉になっていて、思わず吹き出しました。

--これからブラック企業経営者を目指す人にとって必読の一冊ですね

秋山 ブラック企業経営者を目指す方に向けて書いたものではありませんよ(笑)。あくまでも現状を伝えるルポという位置づけです。最初にもお話ししましたが、現在ブラック企業で働いている方や、将来運悪くブラック企業に入社してしまった方が、ブラック企業経営者の手口を知ることで身を守ってもらいたいというところに主眼を置いています。

外面は流行に乗っただけの薄っぺらな本という雰囲気ですが、中身は結構深いです。

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労働法の立法学

といっても、『季刊労働法』での私の連載ではありません。

『法律時報』が今月末発売の4月号で「労働法・社会法理論のレジティマシー」を特集するらしいのですが、

http://www.nippyo.co.jp/magazine/magazine1.html

新自由主義・規制緩和の流れが強まる中、たえず政治的・理論的批判にさらされる労働法学・社会法学。これまで果たしてきた役割と今後果たすべき役割の検証作業を通じ、その正当性を明らかにする。

企画趣旨等……矢野昌浩
労働法における学説と判例……山下 昇
労働法の立法学……奥田香子
労働法学に置ける外国法研究の意義と課題……有田謙司
移行経済と労働法……武井 寛
標準的労働関係と労働法の未来……和田 肇
ワークシェアの社会法学的検討……上田真理
社会保障法学における生存権保障と自己決定……高田清恵

その中で、奥田香子さんが「労働法の立法学」を書かれるようです。どういう中身かは全くわかりませんし、そもそも「立法学」という言葉で何をイメージされているのかもわかりませんが、このタイトルで何を書かれるのか、たいへん関心があります。

ついでに、『ジュリスト』4月号はなんと「厳しい?厳しくない?解雇規制」を特集ということで、時ならぬ労働法ブームですな。

http://www.yuhikaku.co.jp/jurist/next

特集趣旨/岩村正彦

日本の解雇規制をどう評価するか/緒方桂子

解雇の規制改革/小嶌典明

経済学の視点からとらえた解雇規制・規制改革の評価/川口大司

弁護士の視点からとらえた解雇規制・規制改革の評価/(使用者側)峰 隆之/(労働者側)水口洋介

さらについでに、この4月号から水町勇一郎さんが新連載を始めるようですが、そのタイトルが:

労働法なう。/水町勇一郎

・・・・・・()。

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労働時間指令における「経営管理者」の意義

日本では労働基準法41条の「管理監督者」の意義が大問題であるわけですが、これまでEU法ではそれに類する議論がほとんど見られず、いいネタはないかな状態であったわけですが、今回欧州委員会が、イタリア政府を欧州司法裁判所に訴えるという事態で、初めて労働時間指令における「経営管理者」の意義が正面から問われることになりそうです。

をいをい、またイタリアかよ・・・、ってのは、とりあえずおいといて。

http://ec.europa.eu/social/main.jsp?langId=en&catId=706&newsId=2033&furtherNews=yes(Working time: Commission refers Italy to Court for not respecting EU rules in public health services )

BlobservletThe European Commission has decided to refer Italy to the EU's Court of Justice for failing to apply correctly the Working Time Directive to doctors in public health services.

Currently, Italian law deprives these doctors of their right to a limit on weekly working hours and to minimum daily rest periods.

Under Italian law, several key rights contained in the Working Time Directive, such as the 48-hour limit to average weekly working time and minimum daily rest periods of 11 consecutive hours, do not apply to "managers" operating within the National Health Service.

The Directive does allow Member States to exclude "managing executives or other persons with autonomous decision-taking powers" from these rights. However, doctors working in the Italian public health services are formally classified as "managers", without necessarily enjoying managerial prerogatives or autonomy over their own working time.

In addition, Italian law contains other provisions and rules that exclude workers in the National Health Service from the right to minimum daily and weekly rest. After receiving several complaints, the Commission requested Italy to take the necessary measures to ensure that national law comply with the Directive in a reasoned opinion sent in May 2013.

イタリアの公衆医療の医者さんですが、EU指令で義務づけられている(時間外込みで)週48時間とか1日11時間の休息時間が適用除外されていて、それは彼らが「経営管理者」とされているからだが、しかしかれらは経営的権限(managerial prerogatives)や自分自身の労働時間への自律性(autonomy)を有していない、と。

おお、まさに聞いたことのある話ですね。

欧州司法裁判所がこの訴えを認めれば、労働時間指令でいう経営管理者について判例が確立することになります。

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雇用問題の必読にして入門書

Chuko読書メーターでまた『若者と労働』への書評です。

http://book.akahoshitakuya.com/cmt/36222587

雇用問題の必読にして入門書。「仕組み」から丁寧に詳しく書かれているので、非常にわかりやすく納得できる。前にも何かで読んだが、日本は「就社」の国なんですね。そのシステムが崩壊しつつあるので、著者が提唱する「ジョブ型正社員」の導入は魅力的に思う。職業訓練をしたいな、と思う。ハローワークがすごい魅力的な施設に思えてくる。もっとも、理想と現実とは異なるからの本書な訳で…… 何にしてもやっぱ机上の空論じゃ駄目で行動しないといけないのな、と痛感する今日この頃です。

それから、少し前にブクログで、こういう書評をいただいていました。

http://booklog.jp/users/tagutti/archives/1/4121504658

就職問題を歴史的に政治的にきちんとまとめた書。やや冗長なところもあるが、内容からいってそれを入れないと分かりにくくなるため、しょうがないか。
欧米の「ジョブ型」社会と日本の(特異な)「メンバーシップ型」社会。1960年代の高度成長が生み出した歪んだ就職を生み出した(「就職」ではなく「就社」)。2000年代に入って、貿易だけでなくこうした就職もグローバル化し歪みが一気に表面化したが、政治はそれに追いついていないし、是正する気もないように見える(それは今の「正社員」のみを優遇するため=それを良しとする一流企業を保護するため)。
第7章で著者は対策を挙げているが、高校教員としてはあとがきにある、「教育現場で『労働法制』をきちんと教えること」をどのように実施できるかが気になった。現在のような「大学入試」のための教育では、なかなかそこまで教えきれない(「現代社会」という授業が唯一の砦か?)ので、自分の持っている「日本史」の現代史の、高度成長期あたりで触れることになるだろう。そうした地道な努力では、なかなか深化しないかもしれないが…

 

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岩村・中山・宮里『実務に効く 労働判例精選』

L21503ジュリスト増刊『実務に効く 労働判例精選』(有斐閣)をお送りいただきました。編者は岩村正彦、中山慈夫、宮里邦雄の3人ですが、執筆しているのは、経営法曹と労働弁護士が半々ずつで、サブタイトルをつけるとすると、『労使各側の実務弁護士による 労働判例精選』とでもいうところでしょうか。

http://www.yuhikaku.co.jp/books/detail/9784641215030

どういう方々がどういうテーマを取り上げているかというと、

第1章 労働契約の成立・承継
 1 採用内定,採用内々定(牛嶋 勉)
 2 黙示の労働契約(中村和雄)
 3 事業譲渡と労働契約承継(竹林竜太郎)
第2章 労働時間
 4 労働時間(木下潮音)
 5 定額残業制(中山慈夫)
 6 時間外労働手当と管理監督者(小川英郎)
第3章 人  事
 7 配転命令(井上幸夫)
 8 降格・降給(伊藤昌毅)
第4章 労働条件の不利益変更
 9 労働条件の不利益変更(古川景一)
第5章 懲  戒
 10 懲戒の事由と手続(中町 誠)
 11 懲戒解雇と退職金(棗 一郎)
第6章 労働契約の終了
 12 能力不足・成績不良を理由とする普通解雇(君和田伸仁)
 13 私傷病と労働契約の終了(加茂善仁)
 14 整理解雇(在間秀和)
 15 労働契約の合意解約(榎本英紀)
第7章 雇止めと高齢者雇用
 16 有期労働契約の雇止め(城塚健之)
 17 定年後の継続雇用(徳住堅治)
第8章 労働者の義務・賠償責任
 18 退職後の秘密保持義務・競業避止義務(峰 隆之)
 19 従業員に対する損害賠償請求(岡芹健夫)
第9章 労災・ハラスメント
 20 業務上外認定と安全配慮義務(佐久間大輔)
 21 セクシュアル・ハラスメント(石井妙子)
 22 パワー・ハラスメント(水谷英夫)
第10章 団体交渉をめぐる諸問題
 23 労組法上の労働者(鴨田哲郎)
 24 労組法上の使用者(別城信太郎)
 25 団体交渉(宮里邦雄)

この各節に、労側弁護士の書いた節には中山慈夫、経営側弁護士の書いた節には宮里邦雄の両巨頭が、それぞれ短いコメントを付しています。

各節ではおおむね2つから3つの裁判例を取り上げていますが、一部を除き大部分は最近の裁判例です。9割以上が平成20年代のものですね。その意味でも、判例百選系の判例集とはだいぶ違います。

なお、同じジュリスト増刊で『労働法の争点』も今月下旬に刊行される予定です。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2014/01/post-96e6.html

 

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規制改革会議雇用WGでの報告

去る1月29日に規制改革会議雇用ワーキンググループに呼ばれて、労働局あっせん事案の実態について報告をしてきたことは、すでに本ブログで述べたところですが、そのときの議事録が内閣府HPにアップされたので、私の発言部分のみこちらにアップしておきます。

私の前に、一橋大学の神林龍さん、東大博士課程の高橋陽子さんが、それぞれ裁判と労働審判について報告をしていますので、是非リンク先をじっくりお読みください。

http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/wg2/koyo/140129/summary0129.pdf

○濱口先生 遅れて申し訳ございません。そのために報告の順番が変わってしまいましたけれども、私からは全国48の都道府県労働局でやっているあっせんの事例の分析について御報告いたします。

 個別労働関係紛争解決促進法という法律が2001年にできまして、その年の後半から施行されております。厚労省が毎年発表している数字なのですけれども、大体年間100万件ぐらいの相談があり、うち25~26万ぐらいが民事上の事件であります。直近でいうと1万件ぐらい労働局長による助言指導の申し出がありまして、紛争調整委員会でのあっせんというのが6,000件~8,000件くらいを推移している。最近若干減少気味で、一番多かったのは2008年度の8,457件です。本日報告いたします分析の対象となったのが2008年度の事案です。

 次のページには、今、高橋さんから紹介のあった労働審判とか、あるいは関係の民事訴訟事件も含め、都道府県の労働委員会とか、労政所管部局でもあっせんをやっておりますので、そういう類似の制度で大体どれぐらいの件数が挙がってきているかを示しました

 この8,457件が全国の件数なのですが、このうち全国の4つの局の事案(1,144件)を対象として、その関係のあっせん処理票及びその附属書類等を分析した結果を以下お話します。

 まず、統計的なことから順番に見ていきますが、この1,144件の事案を労働者の雇用上の地位で見ますと、正社員が約半分強で51%、直用非正規が約3割、派遣が約1割強等といったような状況になっておりまして、これは東大の社研でやった労働審判の調査と比べると、そちらは非常に正社員の比率が非常に高くなっておりますので、相対的により弱い立場といいますか、不安定な立場の労働者が使う制度になっております。

 男女別に見ますと、全体で見て男性が56.3%、女性が42.6%と男性が若干多いという状況です。

 企業規模で見ますと、30人未満で35%、3分の1を超えておりまして、100人未満で半分を超えます。これは恐らく実数より少ないと思われるのは、合計の一つ上に不明というのがありまして、ここに約2割ぐらいありますので、それを各規模別に配分しますと、恐らく30人未満で全体の半分近く、100人未満だと3分の2を超えるのではないかと想像されます。このように雇用上の地位で見ても、また企業規模で見ても、より弱い立場といいますか、裁判所に行くお金と時間がない労働者が使う制度になっているのではないかと思います。

 先ほど労働審判のところで非常に多くの方々が弁護士を使っているというのがありましたけれども、あっせんでは、少なくとも労働者側では弁護士などはもちろんありませんし、社労士を使うという例もほとんどありません。会社側のほうにぽつりぽつりと社労士を使うという例があるぐらいで、圧倒的大部分は本人だけでやられています。したがって、あっせん申請書も手書きで読めないような字で殴り書きしてあるようなものも結構ありますが、逆に言うと、大変敷居が低い制度であるということであります。一般的には、あっせんの申請があってから1カ月ぐらいで解決ないし未解決で終わっています。

 事案の中身、これはあっせん処理票上の分類で見たものですが、いわゆる解雇とか退職勧奨とか雇止め等々といった広い意味での雇用終了にかかわるものを全部足し上げますと、約3分の2、66.1%であります。

 いじめ・嫌がらせ関係は最近さらに増えておりますが、これが約2割強、そして、労働条件引き下げ関係が1割強という状況になっております。この雇用終了のところをさらに詳しく分析しております。

 次の終了区分ですが、あっせんというのは基本的に任意の制度でありますので、そもそも出口も当然任意なのですが、入り口も任意です。どういうことかというと、圧倒的に多くの場合、労働者側からのあっせん申請で始まるのですが、そのあっせん申請に対して会社側がそれを受ける必要は全くない。むしろ、これは最後のところで申し上げますけれども、受けなくてもいいですよというようなことも伝えておりますので、結果的に言うと、約4割強が被申請人の不参加による打ち切り、つまり、あっせんの中身に入らない形で終了しているというのが約4割ぐらいに上ります。残りの6割弱は何がしかの形であっせんの中身に入るわけですが、そのうち最終的に合意の成立に至っているのは全体の3割ほどです。30.2%。ということは、約2割ほどは不合意ということになりまして、また、その他、申請人が取り下げるというものも1割弱あるという形になっております。

 恐らく、最初の雇用上の地位が弱い立場であるとか、企業規模が小さいということも影響していると思われますし、とりわけ、この終了区分で見られるように、解決する保証が全くないということが一番大きく効いているのではないかと想像されるのですが、次のあっせんの解決金額を見ていただきますと、一番多いのが10万円~20万円未満で、これが24.3%、約4分の1であります。次に、ほぼ同じぐらいで並んでいるのが5万~10万未満、12.4%。一つ飛んで20万円台が13%、30万円台が13.6%。ほぼ10万円台を中心にして、その前後に分布をしているということがわかります。

 我々の分析はここの表だけだったのですが、高橋さんのほうから平均を出してほしいという依頼があったので、計算すると大体17万円強という数字になっております。これを雇用上の地位で見てみますと、実は正社員であっても一番多いのは10万円台でありますが、相対的に言うと、より上のほうに、20万円、30万円台によりシフトしております。一方、正社員、直用非正規、派遣、試用期間というように、地位が不安定になるにつれ、だんだんと分布が低い額のほうにシフトしてくるという形になっております。

 これを先ほど高橋さんが御報告された労働審判の調査。実は労働審判のほうはかなり高い額を念頭に置いて区分けをしているために、一番低いところが50万円未満になってしまっているので、ここに一番大きな塊が入ってしまうのですが、これと比較してみると、やはり労働審判のほうが相当高いところに分布しているという傾向が窺えます。

 恐らく、この背景にあるのは、もちろん労働者自身が雇用上の地位がより弱いとか、企業規模が小さいといったこともあるだろうと思いますが、とりわけ労働審判との違いでいいますと、労働審判は裁判所でこれを断るとそのまま裁判訴訟につながっていく。あっせんのほうは、その後またゼロから裁判所にいくことになるので、とりわけ、こういう弱い立場の労働者にとっては、ここで不満であっても、低い額であっても、解決しておいたほうがいいという意識が働くというのがかなり効いているのではないかと想像されるところであります。

 あっせん関係書類から伺われる労働者の賃金額(月額、日額、時間額とさまざまですが)でもって解決金額を割ってみると、月額のところが一番わかりやすいのですが、1カ月分から1カ月半のところに大体24.6%、4分の1ぐらいで、その前後に分布しています。大体、実額で言って10万円台というのが月額表示でいうと1カ月から1カ月分台というところに当たるようです。逆にいうと、ここからもあっせんに来ている労働者の賃金水準というのはかなり低いということが窺われます。ここまでがデータ的なところであります。

 次は、このうち雇用終了にかかわる事案の中身を分析、分類したところでありまして、5ページからずっとその表が続いておりまして、8ページまで、雇用終了関係のものが先ほどのものより少し増えておりますのは、いわゆる準解雇というような、必ずしも本人がやめさせられたというようなものではないものも全部含めておりますので841件、若干増えております。これを内容の類型ごとに分類したものであります。大きく労働者の行為、労働者の能力・属性、経営上の理由、そして、準解雇、その他と分けております。

 どんな事案かということをざっとでも見ていただいたほうがいいかと思って、全部御紹介するつもりは毛頭ございませんが、9~20ページまで、1行コメント的な形で載せております。ざっと見ていただいて恐らくお感じになるのは、こんなことで解雇しているのかということではないかと思います。裁判所に来るような事案とはかなりレベルの違う事案があっせんに来ています。むしろ、こういった事案が3割は解決しておりますけれども、大部分は解決しないままになっているということのほうが、現実の法社会学的な意味での日本の雇用終了の実態という意味では重要なことなのではないかというのが、私がこの研究を行った感想であります。

 この研究成果を本にまとめたものを一昨年に出版しております。その最後のところから、日本の現実の職場で起こっている雇用終了をめぐる実態についてのコメントをまとめたものを21~22ページに書いております。

 雇用終了するかどうかの基準として一番重要なのは態度です。つまり、使用者側から見て、この労働者の態度が悪いというのが非常に多くの事案の原因になっております。労働法の教科書からすると、態度が悪いというのが正当な解雇事由になるとはあまり思われていないのですが、こういった中小零細企業で起こっている雇用終了事案の非常に多くの部分では、むしろ態度が最も重要なファクターになっているということが法社会学的な意味での大きな発見ではないかと思います。

 それに比べて、通常個別解雇における最も重要な理由となるはずの能力というものは件数的にもかなり少ないですし、さらに中身を見ますと、一応形としては、使用者側は、こいつは能力がないのだと言っておりますが、どこがどう能力が足りないのかということを明確に言っているのはほとんどなくて、その能力のなさというのはかなりの程度、態度の悪さと一連のものとしてつながっているような面があります。

 この態度が重要であり、それと裏腹で能力というのが極めて影が薄いというのが現実の日本の職場の特徴ではないかということであります。ただ、恐らくこれは実は中小零細企業だけではなくて、それが雇用終了につながるかどうかはともかく大企業でも似たような面があるのかもしれません。むしろ、大企業と中小零細企業の違いという意味で最も特徴的であるのは、3番目の経営の万能性であります。これは私どもが一つ一つの事案を分析して非常に強く感じたのですが、あっせんに来ているような事案においては、経営者側は経営上の理由である、経営不振であるというのは、だから解雇は当たり前だろうというような形で言っていることが非常に多い。もちろん判例法理では整理解雇4要件ないし4要素という形で一般の普通解雇などよりもより手厚く保護されていると考えられておりますが、実際の中小企業に行くと、必ずしもそうではない。むしろ、かなり逆のイメージがあります。

 それをとりわけクリアに示しているのは、私が表見的整理解雇と呼んだ事案なのですが、使用者側は経営不振であるという理由で解雇した。それで労働者があっせんを申請してきた。それであっせんを始めてみると、使用者側は実は彼は態度が悪いので首にしたのだけれども、そう言うと角が立っていろいろもめるので、経営不振だと言えばすっと通るだろうということでこういうふうに言ったのだと言いわけしている事案が結構多くあります。これは大企業の人事部から見ると非常に逆転した感覚かもしれませんが、中小零細企業になればなるほど、お前が悪いというよりは経営上の理由だと言ったほうが通りやすいという感覚がかなり強いということが窺われます。これは日本の中小零細企業における法社会学的な解雇の実態という意味では非常に重要なポイントではないか。あと、とりわけいじめ、嫌がらせのような事案が最近増えておりまして、これを見るとかなり職場環境が悪化しているということが窺われます。

 政策的含意というところにいろいろと書いてありますが、時間の関係もありますので基本的に省略しまして、最後のところだけ25ページの真ん中あたりからですが、政策的なインプリケーションということで提示させていただいたものです。解雇の金銭解決制度が議論されるときは、どうしても裁判に行って判決まで至ったものを前提として、それに比べて金で解決するのはけしからぬという議論になりがちなのですが、あっせんという非常に低いレベルのところから見ますと、解決に至ったものですら10万円台というところに集中し、大部分がその前後という非常に低いレベルで解決をしておりますし、さらにいうと、それも全体の3割であって、大部分は解決すらしていないという現実にあります。

 むしろ、金銭解決の一定の基準といいますか、目安みたいなものがあると、弁護士も社労士もつけられない徒手空拳の労働者が、何らかのそれなりに満足のいく解決に至る上では、むしろ有用性があるのではないかということを提示しています。

 最後は若干小さい話なのですが、なぜ4割以上も入り口で断られるのかということを調べてみると、そもそも労働者があっせん申請書を提出し、労働局はそれを会社に送るのですが、そのときに、これは任意の制度なので別に受けなくてもいいですよとわざわざ御丁寧にそういうことを言っているので、必ずしもそういうことを言う必要はないのではないか。もちろん任意の制度であるのはその通りなのですが、これは決して労働者側に立って企業を責め立てるようなものではなくて公平に解決を見出すようなものなのだということを伝えた方が、もう少し解決につながる率が上がるのではないか。これは若干みみっちい話ではありますけれども、この2つの政策的な提言をさせていただいたところです。

 私からの報告は以上です。

○大田議長代理 ありがとうございました。勉強になりました。

 濱口さんの金銭解決制度の導入という、これはざっと拝見すると、事後的なということですか。

○濱口先生 私、そもそも金銭解決をめぐる事前、事後という言葉の使い方がやや混乱していると思っております。つまり、解雇の事前、事後という意味で言うならば、基本的には全て事後の話でしかないと思っています。解雇の事前となると、それはまさに金さえ払えば不当な解雇が正当になるのか、という議論になってしまいます。

 それに対して、解雇の事後という意味では全て事後なのですが、多くの人が使っている用語法では、判決の事前、事後という意味で事前、事後という使い方をしているようです。しかし、これは解雇事案が法廷に行って初めて意味をなす概念であって、そもそもあっせんのように裁判所に行かないものは判決がないのですから、判決の事前、事後などというのはあり得ないわけです。それを判決の後のものだけが事後だと考え、その事後だけ議論するという話になると、現実に数的には圧倒的なマジョリティとして存在している裁判所に行かない解雇事案は論じるべき解雇事案ではないということになってしまうので、これは変だろうと思っております。そういう意味から言うと、解雇であれ、雇止めであれ、退職勧奨であれ、雇用終了の後でそれに対して不満を持って、あっせんであれ、労働審判の申し出であれ、あるいは訴えの提起であれ、そういう異議の申し立てをした場合にはすべて解雇の事後と考えるべきではないかという趣旨です。

○鶴座長 どうぞ。

○大田議長代理 ありがとうございます。そうすると、通常、解雇が無効の場合に金銭で元に戻らないで済む。会社に戻らないもう一つのメニューをつくることが検討されていますが、今の話だと、まず労働審判とあっせんの場合に金銭補償のルールをつくるというようなイメージになるわけですね。

○濱口先生 判決というのは、事案について裁判所が一定の判断を下すということですね。それを前提として、その事前か事後かというのが言われている話だと思うのですが、そもそもあっせんであれ、あるいは労働審判の調整であれ、そういう判定的なことはしないわけですので、判定でない形での一種の調整としての金銭解決というものをどう考えるかという、そういう意味で申し上げています。

○大田議長代理 そうすると、裁判に行った場合はどうなりますか。 

○濱口先生 裁判に行った場合でも、判決が下されるまでは、解雇後で判決前ということになります。それはここで言っているあっせんとか労働審判と同じシチュエーションだと思います。

○鶴座長 多分ここの話はすごく大事なところだと私も思っていまして、今、産業競争力会議のほうから出ているようなペーパーにも、紛争解決の問題についてなぜやるのかというところで、やはり予測可能性の向上という話をしているのです。今、濱口先生がお出しいただいた25ページから26ページの中にも、これは濱口先生も、法制度上、金銭解決の額の基準は全く存在しないことが、いろいろあっせんで低額になってしまうような問題に関係しているということなので、何らかの目安みたいなものが必要であるということについては、多分いろんなところでも濱口先生も御主張されているポイントだと思うのです。

 通常の大陸、ヨーロッパの国のケースを見ると、基本になっているのは、裁判がアンフェアだとされたときに、法律で勤続年数に応じて定められた、事例に定められている額があって、原状復帰でない形であれば、それを支払えば雇用関係が解除できるという、一応その仕組みというのがもともとある。多分今の議論の中で、裁判に行って判決が出るか出ないかという人たちが例えば全くいなかったとしても、制度上そういう状況になったら、いくらの解決金が法律で定められてこれがもらえますよという状況が定まっておれば、裁判に行く人が例えばゼロ人だったとしても、他のところでいろいろやるときに、そこの目安が当然みんな判断していろいろ行動が決まってくる。だから、多分皆がみんな裁判するわけではないし、また、無効の判決が出ていたときなどというのはそこに行く人たちはどれだけいるのですかという議論がもちろんあると思うのですけれども、そこにその仕組みをやることによって、他のいろんな解決がむしろスピードアップされるとか、効率化されるとか、そこに非常に大きな利点があり得るというのが一つ論点になっているのではないかなと思うのです。

 先ほど高橋さんがドイツのケースについて少し御説明いただいて、多分ドイツについてはここでももう一回重要なので専門家に来ていただいてお話を聞こうと思っているのですが、勤続年数×0.5というのは多分最初にドイツの場合だと、紛争があったときにいきなり労働裁判所に行ってまずどうするのかということで、裁判官がこれでどうということを提示するわけですね。それが先ほど言ったメルクマールとルール・オブ・サムで勤続年数の0.5ぐらいができている。それで納得できないのだったら、では裁判に行きましょうかというような流れなのか、私は間違っていたらそこは教えていただきたいのです。そういうものもできてくるというのは、もともとのそういう制度があるからこそ、そういうような制度もできてくるのではないかという認識をしていて、その辺についてどういうふうにお考えになられるかという部分。

 逆に、今の大田議長代理の御質問の趣旨と全く同じところです。訂正があれば訂正してください。

○濱口先生 詳しいことはドイツの専門家に聞かれたほうがいいと思うのですが、私の認識からいうと、ドイツの場合、法律上で解雇無効の場合に裁判所が解消判決で金銭補償を命じることができるという規定があって、その基準が法律に書いてある。しかし、そこまで行くのは実はレアケースで、大部分は労働裁判所で判決に行く前の和解で解決している。ただ、日本みたいに裁判所ではないところでやっているわけではなくて、労働局のあっせんみたいなものも全部労働裁判所でやっているということなのかなという理解だと思います。

○浦野委員 どうもありがとうございました。大変単純な質問からまずお聞きしたいのです。

 資料1の1ページ目で、総合労働相談件数というのが100万台ということですごい件数だと改めて思ったのですけれども、少なく見積もっても60人とか70人に1人というような感じなのです。これの中身はどんなものなのかというのが、個別の民事上のところまでいくのは25万ということになると思うのです。それ以外のものは大したことがないのかなと思うのですが、それが一つ。

 もう一つは、これはどの先生にお聞きしたらいいかよくわからないのですけれども、この解雇された人たちのその後の就職率といいますか、そういったことを追っかけた調査というのはあるのでしょうか。例えば大企業の場合に、整理解雇といいますか、何らかはどこかの工場が云々といったときには、その企業のほうで責任持って再就職先というのは徹底的にあっせんしていくわけです。この辺がこういう中小の場合は、これが終わった後、全くそのまま捨て置かれているのかどうか。解雇された人の再就職みたいなことについてのデータがあれば教えていただきたいと思います。

○濱口先生 100万件の総合労働相談件数というのは民事以外も含めた全てです。民事上でないというのは、例えば賃金不払いみたいなものは、相談窓口に来て賃金不払いだというと、そこから監督官のところに行くわけです。これは労働基準法違反の話になりますからそちらに行くとか、男女差別だったらそちらに行くとか、いろんな形で振り分けられていて、したがって、解雇やパワハラなど、あっせんにつながるようなものの母数は25万ということだと御理解いただければと思います。

 大体の傾向としては、そのうち半分強が広い意味での雇用終了関係で、やはり2割強、最近はかなり増えておりますけれども、パワハラが増えている。ただ、これはあっせんに至る可能性のあるものなのですが、あっせんは他の仕組みに比べれば非常に低コストでやれると言いながら、それでもあっせん申請書を書いてから、やはり1カ月ぐらいはかかります。これは見るまなざしの位置によって、そんなものは大したコストでないと思う人もいますけれども、そんなことをやっている暇すらない。明日の生きる糧を探す人もいるわけです。その中から、解決する見込みがどれくらいあるかということを考えて、助言指導に約1万件、あっせんに約6,000件という形で来ているのでしょう。ただ、正直言いまして、我々が分析したのは、あっせん段階まで来たもので、あっせんに来る前の段階のものは分析しておりませんので、どういう相談が来ていて、どういうものがどういう理由であっせんに来なかったかというのは、実はわかりません、推測するだけです。

 事後の就職率という意味なのですが、あっせんの結果として復職したのは、実例としてはほとんどありません。雇用終了事案のうち2件だけ復職という形で解決したものがありますがそれ以外は全て金銭解決という形ですので、復職という形で解決した事案はほとんどないというのが実態です。他に就職したかどうかというのは、我々が把握できるあっせん関係書類からは全くわかりませんけれども、就職といいますか、とにかく稼がないと生きていけないでしょうから、何らかの形では働いていることになろうかとは思います。

 

○佐々木座長代理 ありがとうございました。このデータの中で私が聞き落としたかもしれないのですけれども、解雇される人の年齢によって解決までに時間差があるとかというような違いはあるのでしょうか。若い人と年をとった人とで解決に合意というか、和解だったり判決するなりに違いがあるのでしょうかということが一つ目。

 もう一つは、勤続年数によって解決金など今後変えていくという考え方が今示されたのだろうと思って聞いていたのですけれども、例えばそれは退職金のようなイメージをすると、勤続年数が長い人には多めにお金を支払ってやめていただくということなのかなと思うのですが、例えばこれがルール化されていったときに、そうすると、経営側からすると、だめな人は早めに判断したほうがいいということにならないのでしょうか。

 すごく変ですけれども、だめだな、でも、あと1年様子を見てから考えようかなと思っているときに、1年長くより2年長くいると、その人に払う解決金が多くなってしまうわけですね。なので、そういうことにはなる危険性というのでしょうか、そういうことはないのでしょうか。

 

○濱口先生 我々の研究は我々が調査票を設計してそれに書いてもらったわけではなくて、あっせん処理票という行政上の処理票を分析したものなので、そこからは年齢も勤続年数もわかりません。事案を見ていくと、この人はどうも若いみたいだなとか、どうも中高年みたいだなというのは何となくにじみ出てきますが、そういうデータは全くありませんので、使える数字にはなりません。

 したがって、これは全く直観的な話なのですが、勤続年数などはあまり影響していないように思います。そもそも解決金額に対して個々の事案ごとに何が影響しているのかというのはよくわかりません。研究者同士で話して、結局気合いかなという意見になりました。気合いというのは、つまり、これ以上要求すると使用者側に逃げられてしまう、あるいはこれ以上締めると逆に裁判所に訴えられるといった、ある種気合いみたいなもので決まっていて、だから目安が全くないのでこういう額になってしまっているのではないかと。あまり年齢とかはファクターとして効いていないような感じがします。

 もちろん、雇用上の地位が非正規が多いとか、中小零細が多いということから、年齢とか勤続年数がそれほど影響していないということがあるのかもしれません。ただ、いずれにしても、それはデータとしてきちんとした形で出せるようなものはありません。

 

○大田議長代理 濱口先生が書いておられる金銭解決の基準をきっちりつくっていくという、非常にそのとおりだと思うのですが、すごく反対、抵抗が強いのです。金で首にしやすい社会になるのではないかという指摘が非常にあるのですけれども、大企業の場合に、ここで仮に金銭解決の制度が導入されて基準額が決められたりすると、整理解雇に対する抑止力が弱くなるものなのかどうか、なぜこんなに反対が強いのかというところでお感じのことがあれば教えてください。

 それから、高橋先生が小規模企業の解決金には上限を設けるということを書いてくださっているのですが、とすると、金銭解決の基準を定める場合に、小規模の従業員の場合には上限額を設けるべきということなのかどうかです。そこを教えてください。

 

○濱口先生 金銭解決を導入するかどうかというのは変な言い方で、現実には金銭解決をしているわけです。もっというと、金銭解決すらしないものの方がマジョリティです。金銭解決しているものについても、その基準が全くないというのが現実の姿です。ですから、解雇の事後だが存在しない判決の事前というところが一番問題としては大きなところなのだろうと思いますので、そこのところについての議論をすればいいのではないか。それは、現実に金銭解決しているわけですので、それをもう少し合理的な形にするにはどうしたらいいかという形で議論できるのではないか。

 先ほど来申し上げている通り、どうも事前、事後という言葉が違う意味でごっちゃに議論されてしまっていることが、話をややこしくしているのではないかという気がします。解雇する事前に金銭解決というのは、もしそれに労働者が合意しているのなら解雇ではなく合意解約になってしまいますし、金を払えば不当な解雇が正当な解雇になるというのは法理上あり得ないと思います。いずれにしても、そこはもう少し議論の整理をしたほうがいいと思いますし、島田先生が整理していただけるかもしれません。

 

○島田専門委員  ・・・あと濱口先生にお伺いしたかったのは、ここもよくわからないのですけれども、あっせんの場合は解決した後の履行というのはどういうふうに出るのかというのは、もしおわかりであれば。

 

○濱口先生 法律上は、和解契約という性格のものですので、逆に言うと、それを任意に履行しない場合には訴えないといけない。

 

○島田専門委員 その場で債務名義とかやるのですか。

 

○濱口先生 合意文書をつくります。双方が文書に署名、捺印したところで一件落着という形になります。

 

○島田専門委員 ありがとうございます。

 

○鶴座長 今のおっしゃった点はすごく大事で、結局、弁護士の方々というのは、金銭解決の話は非常に反対されるのです。かえって予測可能性が高まってしまうと、自分たちの弁護の裁量がなくなってしまうのではないかという。そういうことで非常に関係しているので、やはり最後まで争いたい人は弁護士を雇って結果的に高い解決金額となるという構造でしょうね。だから、ある種、何度も今日も出てきていますように、少し目安をつくるということがそういう問題ともかかわっていることを考えると非常に有効ではないのかなという感じを持っています。

 先ほど大田議長代理がおっしゃられた点というところを島田先生も御説明いただいたのですけれども、濱口先生は25ページで2002年当時、建議まで金銭解決の提案は出たのだけれども、その後、結局いろんな反対があった。その反対の中に、裁判所のほうが先ほど議論になったように、要は解雇が無効になってしまうので、解雇がなかったことにしましょう。そこで新たになぜ金銭的なものを相手に与えなければいけないのか。それが違法であったら、それに対する損害賠償とか考え方はできるのかもしれませんけれども、そういう非常に法律の技術論と言ってしまうと元も子もないのですけれども、そういう話が出てきた。

 ヨーロッパにおいては、多分法律の体系、日本とほぼ同じようなところ、またそこの意味合いが違うところ、双方においてでも、私の理解だと、それでも法律上で金額を定める金銭解決制度というのを持っている国があるということなので、なかなかそこは非常に難しいというのは私自身も承知はしているのですけれども、例えば濱口先生、そこの法的な技術論みたいなところというのは超えられないものがあるとお考えになられているのか。そうした場合に目安を提示するというのが、もっとあっせんとか労働審判みたいなところでやるときの目安みたいなものをつくるというほうに考えたほうがもしかして早いのか。その辺について何かコメントがあればお願いします。

○濱口先生 どこまでゼロベースで考えるかということだと思います。個々の国の詳しい制度については、本当はその国の専門家にお聞きいただいたほうがいいのですが、ドイツのように、違法な解雇は無効である、ただし、それに対して解消判決を下して金銭解決を命ずることができるとしている国があり、スウェーデンもそういうふうになっております。

 一方、私の知る限りでは、島田先生の前で言うのはお恥ずかしいところですが、フランスなどはむしろ解雇は直ちに無効ではなくて、違法な解雇に対して金銭賠償を命ずることもあるし、裁判官がこれは大変悪質だからと復職を命ずることもある。そこまでさかのぼって制度設計できるのであれば、実はそのほうがわかりやすいかもしれない。ただ、そんなことを言っても、もう既に判例が積み重なっているのだからということであると、ドイツ、スウェーデン型しか選択肢がないのかもしれません。これは非常に大きな法制度設計の問題ということになろうかと思います。

 ただ、そういう大きな話は話としてもちろん当然やられるべきだと思うのですが、私がこの研究で強く主張したかったのは、解雇の事後ではあるが、判決の事前というか、判決自体がないために判決の事後があり得ないような事例こそが大事である。つまり、世の中のすべての解雇には判決が下されるという非現実的な前提に立つと視野から消えてしまうような非常に膨大な部分に対して、どういう納得のいく解決の仕組みをつくれるのかという形で議論したほうがいいのではないか。だから、断固として解雇無効の判決をもらうのだという少数の人については、とりあえず括弧に入れて置いておいてもいいのかもしれないとすら思っています。

 しかし、そうでないケースは非常に多いわけで、そのケースに対してきちんとした解決の道筋をつくるということが、本来判決に行くべきだった可能性を奪うということにはならないのではないかというのが私の感想です。

○鶴座長 それは私も非常にお考えはよくわかるのですけれども、ただ、今日、濱口先生が御紹介していただいた、非常に悲惨な例というか、そこにも出てこないような、もっと背後にあるわけですね。それをそのままにしておいていいのでしょうかという議論ももう放っておけない話なのかなという感じがするので、今のおっしゃった話、どうやってバランスをとるのかというところがフェアなやり方ということをあまりこれまでにきちんと考えてきていないということだと思いますので、バランスをとる必要はあるのかなと思います。

 他に。どうぞ。

○濱口先生 一言だけ申しますと、労働者が自らの権利を守るためにどれだけのコストをかけるべきと考えるのか。つまり、権利の上に眠るものはこれを保護せずということわざもあるぐらいで、お金をかけて弁護士を頼もうとしない労働者は別に未解決でいいのではないかと割り切ってしまうのも一つの考え方かもしれません。しかし、少なくともあっせんの窓口まで来るということをやっている人に対しては、それなりのある程度の道筋を示すというのも社会のサービスとしてあっていいのではないかと思います。

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本庄淳志さんがドイツの解雇法制を説明@規制改革会議

去る2月27日に、規制改革会議の雇用ワーキンググループに静岡大学の本庄淳志さんが呼ばれ、ドイツの解雇法制について説明していたようです。

その時のペーパーがアップされています。

http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/wg2/koyo/140227/item2.pdf(ドイツの解雇法制と日本法への示唆)

その「示唆」の部分を、引用しておきます。言うまでもなく本庄さんがどう説明したかは議事録を見ないといけないので、これはあくまで参考資料です。

Ⅳ.金銭解決の制度化に際しての留意点

Q. 金銭解決についてどのような解雇紛争をイメージするか。

(1)企業規模

・ 大企業:解雇規制は硬直的であるとの批判。理論的にも解雇回避措置の柔軟性によるところが大きい(≒予見可能性の欠如)。他方で,非自発的離職者層の転職市場は未発達(?)。

・ 零細企業:解雇を通じた雇用調整,転職市場の実態 → 金銭解決に親和的(?)。
・・・・・・
紛争処理機関によって解決金額に差があることは,本当に不合理かどうかは検討の余地(時間的コストの差,労働者層の差異)。 cf. ドイツ:零細事業所での適用除外。事業所組織法上の規制の違い。

・ ただし,同じ環境下であれば労働者間の不公平はなくす必要。雇用喪失によるコストの適切な算定が不可欠(外部労働市場の状況,社会保険制度,補償金額のあり方)。
・ 金銭解決の制度化:①労働者にとっても選択肢は広がるほか,②解雇の合理性審査そのものが現在より純化され(解雇無効という制裁の重さに配慮する必要がない),結果的に労働者の救済範囲は広がる可能性。

(2)労働者像

・ 原職復帰を希望する労働者に対する強制的な金銭解決については,感情的な反発が強い。ドイツ法との比較からも慎重な要件設定が必要。

・ 他方,不公正な解雇が横行する中での実質的な解決基準の必要性について,大方の賛同は得られるのではないか。
 固定的な水準設定は困難。少なくとも上限設定には慎重な配慮が必要(∵労働市場をめぐる状況の多様性)。他方,具体額の決定につき裁量が大きくなるとすれば,基準としての機能は減殺されるというジレンマ。
 集団的合意を通じた規制手法はあり得るが,正統性につき何らかの制度的担保は必要。

(3)解雇事由

・ 違法解雇の分類/制裁面での区別の重要性(大内先生レジュメ17)。そのうえで…
 日本型の人事管理において(職務と能力との対応関係が希薄で)人的性格が強いとすれば,被解雇者との信頼関係の回復可能性が低いものとして,あらゆる解雇について解雇制限法9 条のような金銭解決のニーズは大きい。また,一般論として,真正な整理解雇であれば金銭解決自体は不合理ではない。
 ただし,ドイツ法では比較的に限定的な運用:裁判所での解雇無効の判断が先行。使用者側申立てでの要件加重。労働者側にも当然に認められるわけではない。どちらかといえば,個別的な解雇紛争に親和的。

・ 他方で峻別の難しさ(ドイツ:職種別採用,事業所レベルでの人事管理/法規制。能力・適正の客観性,解雇回避の範囲の予見可能性)。日本型の人事管理において人的性格が強いとすれば,恣意的な運用の危険性も高い。
 だからこそ,制裁のあり方について裁判官の知見に委ねるというアプローチはあり得る(ドイツ型以外の金銭解決制度では,裁判官に広い裁量)。また,特に整理解雇については,被解雇者選定の公正さをいかに担保できるかがポイント(使用者の一方的決定 ⇔ 社会的選択,従業員代表の関与(集団法上の手続的規制など))。
 使用者に解雇事由の明示を義務づけるアプローチもあり得る(書面要件等)。また,1a 条のような規制であれば実質的にも峻別は不要。提訴期間一般を制限することには批判が強いであろうが,1a 条のような部分的規制であれば導入しやすいのではないか(ドイツでは1a 条には批判が多いが,提訴期間に関する原則的制限の有無という点で,日本とは前提が異なる)。
 「ジョブ型正社員」が普及すれば,区別は明確となる可能性(金銭解決制度が恣意的に用いられるリスクは低減か。導入の積極的理由ではないが,消極的理由の正統性は低下)。

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職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた取り組み by 連合

連合が2月20日付けの中央執行委員会確認として、「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた取り組み」を公表しています。

http://www.jtuc-rengo.or.jp/roudou/roudouanzen/pawahara.html

http://www.jtuc-rengo.or.jp/roudou/roudouanzen/data/pawahara/pawahara01.pdf

労働組合の取り組みとしては、単組の取り組み、構成組織・地方連合会の取り組み、連合本部の取り組みが並んでいますが、最後の連合本部が何をするのかを引用しておきましょう。

(3) 連合本部の取り組み
①国に対して、労働契約の付随義務として事業者が職場のパワーハラスメントを防止する責任を負うことを法定化するなど、法的効果を高めることを求める。
②事業者のパワーハラスメントに関する取り組みを促すため、国に対して、職場のパワーハラスメントの概念や行為類型を明確化するとともに、職場のパワーハラスメントに関して事業主が講ずべき措置を指針等に定めることを求める。
③職場のパワーハラスメントに関する情報(各種調査結果、裁判例、チェックリスト、労働協約のひな型等)を連合ホームページに掲載するなど、構成組織・地方連合会の取り組みに資するツールを提供する。
④「連合 労働安全衛生に関する調査」(現在調査を実施中、2014年6月に概要報告予定)結果のうち、パワーハラスメントに関する事業者や労働組合の取り組み状況等を集計・公表するなど、最新の現場の実態を踏まえ、今後のさらなる取り組みを推進する。

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『労働六法2014』

134532『労働六法2014』が送られてきました。今回は、「産業競争力強化法」「国家戦略特別区域法」、さらには有期契約によって大学等に勤務する研究者について労契法一八条一項の特例とする研究開発強化法と大学の教員等の任期に関する法律の改正が入っています。

http://www.junposha.com/catalog/product_info.php/products_id/893?osCsid=f9386f7c88d3150c2f8d4f322901c1f3

 

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ツイッタラーは全員読んでると思われるhamachanのブログ

https://twitter.com/maruorz/status/440855373784690688

hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳) ツイッタラーは全員読んでると思われるhamachanのブログ

だそうです。ほんまかいな。

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上手くない皮肉・・・

https://twitter.com/hasuviet/status/440172057385398272

hamachan氏の皮肉はそう取ってもらえない事も多い、端的に言うとあまり上手くない皮肉が多いので、皮肉は使わない方がいいと個人的には思うのです。

いろいろ、思い当たります・・・。

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西谷敏他『日本の雇用が危ない』

13507西谷敏他『日本の雇用が危ない』 (旬報社)をお送りいただきました。すでに、旬報社のHPに案内が出た時点で紹介していますが、煩を厭わず改めて詳しい目次を示しておきます。

http://www.junposha.com/catalog/product_info.php/products_id/898?osCsid=d137f766371eab1bf5d9a901d813400c

第Ⅰ部 雇用・労働における規制緩和政策と政策形成会議の全体像

全面的な規制緩和攻勢と労働法の危機…………西谷 敏
はじめに
一 国家戦略特別区域法の意味するもの
1 雇用特区構想とは何か
2 雇用特区構想をめぐる攻防と特区法の内容
3 特区法の評価
二 具体的な規制緩和要求の検討
1 解雇制限の緩和  
2 有期労働契約の規制緩和  
3 労働時間規制の特例  
4 ジョブ型(限定)正社員制度  
5 労働者派遣法の全面改正  
三 全面的規制緩和攻勢の特徴と批判の視点 
1 規制緩和攻勢の性格  
2 規制緩和論批判の視点  
おわりに  

第二次安倍内閣がめざす労働の規制緩和…………五十嵐仁
はじめに  
一 戦略的機関の復活と新設 
1 経済財政諮問会議  
2 日本経済再生本部  
3 産業競争力会議  
4 テーマ別会合  
5 日本再興戦略―JAPAN is BACK  
二 規制改革に向けての本格的な検討 
1 規制改革会議  
2 雇用ワーキング・グループ  
3 雇用ワーキング・グループ報告書と規制改革に関する答申  
三 参院選後の動向 
1  経済財政諮問会議、日本経済再生本部、産業競争力会議  
2 規制改革会議と雇用ワーキング・グループ  
3 国家戦略特区と労働政策審議会の動向  
むすび  

第Ⅱ部 規制緩和政策の諸相

質の悪い雇用を生み出すアベノミクスの雇用改革…………和田 肇
はじめに  
一 雇用社会の現状 
二 「質の高い雇用を通じた成長」 
三 質の悪い雇用へ 
四 アベノミクスの雇用改革における極端な企業優先主義 
五 安倍政権の本質 
おわりに  

産業競争力会議ペーパー批判…………田端博邦
はじめに  
一 分科会の基本認識 
1 文書の構成  
2 経済のグローバル化と技術革新  
3 新たな「日本的雇用システム」  
4 何のための改革か  
二 具体的な政策の視点 
1 労働市場と能力開発  
2 雇用形態・労働時間法制等  
三 「検討の枠組み」の政策体系 
結びに代えて  

限定正社員の法的位置づけ―格差是正法理と解雇制限法理のなかで…………野田 進
一 現政権における雇用政策の流れ 
1 二〇一三年雇用政策  
2 三つの流れ  
二 限定正社員構想の概要と二つの検討課題 
1 限定正社員構想  
2 二つの検討課題  
三 限定正社員の「均衡処遇」構想 
1 均衡処遇という選択  
2 「非正規」労働者の格差是正措置  
四 解雇権濫用法理の相対化 
1 解雇権濫用の限定化  
2 雇用形態を背景とする解雇権濫用法理の軽減適用  
3 契約内容による解雇権濫用の軽減適用  
4 解雇法理の相対化への危惧 
むすび―規制がないところに緩和はできない  

労働法理への叛旗…………萬井隆令
  はじめに  
一 労働法理への叛旗 
1 無原則的な派遣の拡大  
2 「限定正社員」制度の提唱  
3 ホワイトカラー・エグゼンプションの導入  
二 いかがわしい法改正作業 
1 欺瞞的提案理由  
2 実態にもとづかない空疎な政策  
3 論点の回避  
 三 改革推進の強引さ……
まとめ  

「ブラック企業型労使関係」ではなく、働く者に優しい労働政策を!…………脇田 滋
一 「氷点下」の日本労働法 
1 国・自治体が生み出す「ワーキングプア」  
2 最低基準(氷点)以下の雇用・労働条件  
二 安倍政権下での労働規制改革 
三 「特定秘密保護法」強行採決と民主主義の後退 
四 労働者・市民の連帯拡大と対抗軸明確化 

自由な企業活動と日本国憲法の原理…………深谷信夫
はじめに  
一 日本国憲法と市場原理主義 
1 日本国憲法の構成  
2 市場原理と憲法原理  
二 憲法学における「経済的自由権」 
1 芦部憲法学の経済的自由権  
2 「経済的自由権」構成の社会的役割  
3 「営業の自由」論争の意義  
三 日本国憲法と「営業の自由」 
1 水林論文の問題意識と構成  
2 水林論文の問題提起と画期性  
おわりに  

第Ⅲ部 規制改革政策の決定過程と関連資料

安倍労働規制改革―政策決定過程の記録…………深谷信夫
はじめに  
一 規制改革方針策定へ―2013年1月から7月まで 
1 規制改革諸会議の始動  
2 規制改革諸課題の検討  
3 規制改革への諸提言  
二 規制改革立法制定へ―2013年7月から12月まで 
1 規制改革諸課題の具体化へ  
2 規制改革関係法の成立へ  
3 さらなる規制改革の実行へ  
おわりに

規制改革関連資料
(1)規制改革諸会議構成名簿 
(2)これまでに提起されている課題の代表例(抜粋)(規制改革会議第2回―1 2013.2.15) 
(3)規制改革会議の進め方について(規制改革会議第2回―2 2013.2.15) 政策研究大学院大学 大田弘子 
(4)ジョブ型正社員の雇用ルールの整備について(規制改革会議雇用WG第3回 2013.4.19) 規制改革会議雇用WG座長 鶴光太郎 
(5)労働者派遣制度の合理化について(規制改革会議雇用WG第5回―1 2013.5.9) 規制改革会議雇用WG座長 鶴光太郎 
(6)有料職業紹介事業の見直し(規制改革会議雇用WG第5回―2 2013.5.9) 
(7)雇用改革報告書―人が動くために―(規制改革会議第11回 2013.5.30)規制改革会議雇用WG報告書 
(8)規制改革に関する答申~経済再生への突破口~(抜粋)(規制改革会議第12回 2013.6.5) 
(9)日本再興戦略―JAPAN is BACK―(案)(抜粋)(日本経済再生本部第7回 2013.6.14) 
(10)規制改革実施計画(抜粋)(閣議決定 2013.6.14) 
(11)労働者派遣制度に関する規制改革会議の意見(規制改革会議第17回 2013.10.4) 
(12)労働時間規制に関する3つの大誤解(規制改革会議雇用WG第11回―1 2013.10.11) 労働政策研究・研修機構労使関係部門 濱口桂一郎 
(13)労働時間規制改革の視点(規制改革会議雇用WG第11回―2 2013.10.11) 東京大学社会科学研究所 水町勇一郎 
(14)労働時間規制の見直しについて(規制改革会議雇用WG第11回―3 2013.10.11) 慶應義塾大学大学院商学研究科 鶴光太郎 
(15)労働時間規制改革について(規制改革会議雇用WG第12回 2013.10.23) 早稲田大学 島田陽一 
(16)労働時間規制の見直しに関する意見(規制改革会議第22回―1 2013.12.5) 
(17)ジョブ型正社員の雇用ルール整備に関する意見(規制改革会議第22回―2 2013.12.5) 
(18)「世界でトップレベルの雇用環境・働き方」を目指して(産業競争力会議分科会第2回 2013.10.17) 国際基督教大学客員教授 八代尚宏 
(19)今後の労働法制のあり方(産業競争力会議「雇用・人材分科会」有識者ヒアリング第1回 2013.11.5) 濱口桂一郎 
(20)「世界でトップレベルの雇用環境・働き方」を目指して〈雇用改革・労働市場改革の検討の枠組み〉(産業競争力会議「雇用・人材分科会」第3回 2013.11.11) 雇用・人材分科会主査 長谷川閑史 
(21)規制改革提案に関する現時点での検討状況(抜粋)(産業競争力会議第14回 2013.9.20) 国家戦略特区WG座長 八田達夫 
(22)国家戦略特区における規制改革事項等の検討方針(案)(抜粋)(日本経済再生本部第10回 2013.10.18) 
(23)「成長戦略の当面の実行方針」について(産業競争力会議第14回 2013.10.1) 竹中平蔵 
(24)産業競争力会議「雇用・人材分科会」中間整理~「世界でトップレベルの雇用環境・働き方」の実現を目指して~(抜粋)(産業競争力会議「雇用・人材分科会」第6回 2013.12.26) 
(25)研究開発強化法等改正法(抄)(平成25年12月13日法律第99号) 
(26)産業競争力強化法(平成25年12月11日法律第98号)の概要 
(27)国家戦略特別区域法(平成25年12月13日法律第107号)の概要 

私は、本書が全面的に批判している規制改革会議や産業競争力会議に呼ばれて、上の資料にあるような意見を述べ、そのなにがしかがこれら会議体の政策に影響を与えているという意味で言えば、まさに本書の著者たちの論敵ということになるのでしょう。

とはいえ、彼らの議論のいくつかは、実は私がこれら会議体に呼ばれて熱心に説いてきたところでもあります。

日本の労働時間法制が欧州諸国のそれと比べて物理的な時間規制の上限を欠き、無制限の長時間労働を許している点にこそ問題がある、というのは、まさに上記規制改革会議への資料で強調しているところです。そういう問題と、賃金と労働時間のリンクを外すこととをきちんと区別しなければならないというのが私の主張ですが、たとえば雑誌掲載時よりも本書で増補された田端博邦氏の論文もその点を強調しているのですが、なぜか本書の全体基調は、そういう腑分けには不熱心に見えます。

また、そういう無制限な働き方を余儀なくされる正社員のあり方を見直すべきという問題意識につらなるジョブ型正社員の議論(もちろん、これら会議体の委員諸氏には、自由に解雇したいという下心があって言っている面があるのも事実ですが)に対して、そもそも正社員は無制限じゃないなどと、理屈の上ではあまりにも正しいけれども、現実の最高裁の判例法理の上ではあまりにも無力な「正論」を振り回すだけで、何か事態を変えることができると考えているのだろうか、と不思議の念を抱かずにはいられません。

遠いところからけしからんけしからんと叫んでいるだけで、何か世の中がいい方に向かうのであるのなら、私も是非その驥尾に付したいと思いますけれども、そういうものでも無いと思います。具体的に、正社員の働き方の実態としての無限定さを少しずつでも限定に方向に持って行くために必要なのは、あれもだめこれもだめ的な批判ではないのでしょう。

 

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青木健『ゾロアスター教』

2584081労働法政策とは何の関係もない雑件です。

ふと思いついて、青木健『ゾロアスター教』(講談社選書メチエ)を読んでみたのですが、今まで何となく抱いていたゾロアスター、というかツァラトゥストラへのすごい神秘的なイメージが、それほどたいしたことのない呪術師程度に下落したのが、最大の成果という感じ。

善悪二元論に基づき、カエルは悪い生き物なので、毎月カエルを殺す日を設けて、熱心にカエルをたたきつぶしてるとか・・・。

http://bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2584085

それで思い出したのが、今から40年ほど前に読んだ筒井康隆の「火星のツァラトゥストラ」。突如ツァラトゥストラブームに沸く火星に、地球からやって来たしょぼいゾロアスターが、芸能界でツァラトゥストラに仕立て上げられる姿って、実は近代ヨーロッパで何回も起こったことの喜劇的な繰り返しだったのですね。

アそれ ツァラトゥスータラタッタ ツラツラツイツイツイ……

何のことかさっぱり判らない人は、とにかく読んでみましょう。

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日本過勞職場的新對策:職務型正職員工

台湾のサイト「經理人」(managerという意味)に、標記タイトルの記事が載っております。中身は、日本の過労職場対策としてのジョブ型正社員というもので、先日『日経ビジネスアソシエ』に載った記事を元にしているようですが、それ以外の情報も入れてまとめているようで、そのために若干正確でない情報も紛れ込んでいるような。

http://www.managertoday.com.tw/?p=38739

景氣不好讓公司奉行「遇缺不補」政策,工作愈變愈多也愈雜,每天下班時間也愈來愈晚。看到公司內的派遣員工,只需要做專案範圍內任務,不會被「凹」也不用加班,還真有點羨慕,但一想到他們的福利和權益都比不上自己,心裡也就平衡了一些。

這正是日本職場最熱門議題之一:身為正職,權益比較有保障,等在面前的卻是薪水不加、工作無止境增加的未來;轉為派遣,工作內容和場所固定,面對的卻是沒有退休金與穩定保障的惶惶未來。

日本東京大學教授濱口桂一郎因此提出介於兩者之間的「職務型正職員工」,被視為面對「黑心職場」的新對策,甚至獲得日本首相安倍晉三的支持。

「職務型正職員工」是企業與員工簽訂「職務內容限定的契約」,員工從「長期採用模式」轉為「缺額補充模式」。對公司來說,可以針對特定類型工作簽約專業人才,一旦合約結束,對於人力調整也有較大自由度;對員工來說,因為工作內容遵照合約限制,原則上「不會被凹加班」「不怕突然被轉調其他單位或職務」「做多少薪水算多少」,確保生活品質,達成勞資雙贏。

えと、もちろん私は「日本東京大學教授」じゃありません。また、「日本首相安倍晉三的支持」を「甚至獲得」したという話も、規制改革会議や産業競争力会議の報告に盛り込まれたと言うことをこのように表現しているんでしょうけど、ちょっと言い過ぎてますね。

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女性の活躍?

Img_month『生活経済政策』3月号が送られてきました。特集は「日本企業に女性の活躍推進は可能か」なんですが、

http://www.seikatsuken.or.jp/monthly/

特集  日本企業に女性の活躍推進は可能か

  • 特集にあたって/杉浦 浩美
  • 日本企業で女性が本当の意味で活躍することは可能か?/脇坂 明
  • 就職結果における男女差は縮小してきたか/三輪 哲
  • キャリア継続と両立支援―女性の活躍機会の拡大に向けて―/池田 心豪
  • 男女雇用機会均等法制定から今日/南部 美智代

問題は、今までの仕組みをそっくりそのまま維持したままで「女性の活躍」とやらをやろうとしているのか、女性が活躍するためにはそれをどこまで変える覚悟があるのか、ということだと思うのですがね。

「活躍」という聞き心地のいい言葉だけを使ってると、そこに下手に踏み込まずに議論できるから楽だけど、それは実は表面をなでてるだけになりがちという気がします。

だから、わざと、「女性の活躍」なんてもうやめよう、と不快に聞こえるようなことを言ってみたりするのだけれども、なかなか通じないね。

ワーク・ライフ・バランス一つとっても、とてもねじれた話になってしまっているように思います。私がよく皮肉に持ち出す、かつての規制改革会議がホワイトカラーエグゼンプションが「仕事と育児の両立に役立つ」云々と言っていたのは、労働時間規制という観点からインチキであるだけではなく、ワーク・ライフ・バランスという観点からもそのインチキ性を厳しく糾弾されてしかるべきであったのに、なんだか時間の規制を外して自由に働けるようにするのがワーク・ライフ・バランスだ、女性の活躍だ、というようなおかしな気分がなんとなく今に至るまで漂っている。

いうまでもなく、時間の制約など無くいくらでも働けることにこそ(男性正社員型)日本型正社員の特徴があるわけで、それではついてこれない時間制約のある女性だからこそ、労働時間のリジッドさが意味を持つという話になるはず。毎日退社してからきちんと子供をピックアップできるために必要なのはまずはそのリジッドさ。そういう労働時間のリジッドさが男女共通にきちんと確立している社会であってこそ、そのリジッドさだけではまかなえないようなイレギュラーな事態に対処するためのフレクシブルさが意味を持つ。

労働時間のフレクシビリティがワーク・ライフ・バランスに役立つとか、仕事と育児の両立に資するとか言う話は、まずはレギュラーベースのリジッドさがきちんとあった上での、イレギュラーなフレクシビリティの話なのに、それを、レギュラーベースで遙かにフレクシブルの極限まで達している男性正社員の働き方のそのまた延長線上のフレクシビリティと、無媒介にくっつけた議論になってしまうのだから、現実世界を遙かに乖離した空論になるのはあまりにもわかりきったことではなかろうか。

その結果何が起こるかというと、育児休業だとか短時間勤務だとかというような、イレギュラー用の、イベント的なワーク・ライフ・バランスの道具は至れり尽くせりでさんざん完備しているけれども、いったんそのイレギュラーな時期が終わって、レギュラーベースの世界に戻ってくると、フルタイム勤務どころか、無制限のオーバータイム勤務が待っているわけで。

(参考)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/by-fad8.html(迷走する運命にあるワーク・ライフ・バランス政策 by 筒井淳也)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-2c8d.html(女性が輝く社会のあり方研究会)

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自民党は今でもリベラルと名乗っている唯一の政党である件について

私がこしらえた「リベサヨ」なる言葉を巡って、コバヤシユウスケさんが長大な文章を書かれていますが、

http://d.hatena.ne.jp/yu-koba/20140228/1393551375(リベサヨ(リベラルなサヨク)からいろいろ考える

「リベサヨ」という言葉は、hamachan氏がhamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)で使いだしたのだと思いますが、最近ではツイッターでもよく見かけるようになりました。とはいっても、hamachan氏が使いだしたときの意味とは、違う意味で使われているようで、どうもリベラルと左翼をいっしょくたにして「リベサヨ」と言っている人が多いようです。そもそも右とか左とか、イメージが先行して語られるので、人によってそのイメージにギャップがある。そこにリベラルまでくっついたので、ちょっと混乱してます。僕なんかより若い人は、左翼=リベラルというイメージがしっかり張り付いてしまっている人も多いようなので、たぶんhamachan氏が言わんとしたことが、いまひとつピンとこないのかもしれません。でも僕はこの言葉が、日本の政治思想の対立軸を考える上で、そしてヨーロッパの左翼を知る上でも、けっこういい切り口になるのではないか、と思ったので、ちょっとこの「リベサヨ」という言葉を掘り下げて、いじってみたいと思います。・・・

で、以下、ヨーロッパ近代における政治勢力の動き、労働運動の流れ、等々についてかなり詳しく説明していくのですが、さて、

でも、そこまでしないとわからない話なのかな・・・

と思ったりするわけです。

いや、アメリカみたいに、そもそもねじけた用語法が定着してしまっている国なら別ですよ、

でもね、日本は、少なくとも戦後半世紀間にわたって左右の二大政党の名前は、

右派のリベラル・デモクラティック・パーティ

左派のソーシャリスト・パーティ

だったんですよ。

いや、それどころか、今でも、安倍晋三首相率いる右派政党の名前は、堂々たるリベラル・デモクラティック・パーティであることに変わりはないわけなんですね。

現在、国会に議席を有する政党のうちで、政党名に堂々と「リベラル」を名乗っているのは、そのリベラル・デモクラティック・パーティだけですよね。

何でそんな国で、今更のように、「左翼=リベラルというイメージがしっかり張り付いてしまっている人も多い」てな話になるのか、

「リベサヨ」という言葉が、左翼のくせにリベラル・デモクラティックなことを言う奴、という至極当然の意味にとられることがないのか、

そしてそれが誰からも不思議がられないのか、

もちろん、それには訳があるわけで、それが、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2006/11/post_a90b.html(リベじゃないサヨクの戦後思想観)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2006/12/post_5af3.html(リベラルサヨクは福祉国家がお嫌い)

などで述べた戦後日本の歴史的な「ねじれ」であるわけですが、そういうことはとりあえず括弧に入れて、

「左翼=リベラルというイメージがしっかり張り付い」たまま、「リベ=サヨ」を目の敵にするいわゆるネトウヨの諸氏は、やはり一度、自由民主党の英語名を復誦してみるところから始めた方がいいのかもしれません。

https://www.jimin.jp/english/(Liberal Democratic Party )

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道幸哲也・小宮文人・本久洋一『判例ナビゲーション 労働法 』

06442道幸哲也・小宮文人・本久洋一『判例ナビゲーション 労働法 』(日本評論社)をお送りいただきました。ありがとうございます。

http://www.nippyo.co.jp/book/6442.html

近時の重要な労働法判例につき、コンパクトな評釈と判例の傾向、重要論点を確認する判例学習書。労働法判例のポイントが掴める。

この3人、今は放送大学、専修大学、國學院大學ですが、共通点は言うまでもなく北海道時代のつながりで(北海道大学、北海学園大学、小樽商科大学)で、その時期に法学セミナーに連載した判例評釈に新たなコンテンツを加えたものですが、読んでおもしろいのはやはり3人の鼎談による判例批評でしょう。

たとえば、最初の労組法上の労働者性に関する鼎談でも、

小宮 そもそも労働協約が発生した権限をたどれば、歴史的には完全に雇用されている労働者だけではなかったはずです。そもそも労働契約から出発するのは間違いではないかと思います。

とか、

本久 出来高給化して労働者間の競争を煽って、集団形成を阻害するという話であり、古典的な、まさに労働組合誕生物語といった世界ですね。

などと、普通の評釈では出てこないような発言が出てきたりして面白いです。

 

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