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2014年2月16日 (日)

岡田和樹氏の解雇への現状認識

昨年産業競争力会議の雇用・人材ワーキンググループが有識者ヒアリングをやり、その一人として私も呼ばれて意見を述べたことは本ブログでもお知らせしてきたところですが、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2013/11/post-47ce.html(産業競争力会議 雇用・人材分科会有識者ヒアリング資料)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2014/02/post-b629.html(産業競争力会議雇用・人材分科会有識者ヒアリング議事要旨)

このヒアリングに呼ばれた有識者は全部で7人で、私は1日目でしたが、2日目の5人の議事要旨も官邸HPにアップされています。この5人は、山田久、岡田和樹、小林良暢氏らですが、このうち、経営側弁護士の岡田和樹氏の発言の中の、日本の解雇の現状に対する認識を述べたところが、未だに「日本では解雇できない」論を叫んでいる人々にちゃんと聞かせたいような内容になっていたので、その部分だけをここに紹介しておきます。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/bunka/koyou_hearing/dai2/gijiyousi.pdf

・・・皆さんが今、検討されている点、まず最初に、この40年間労働者側、それから使用者側の両方の立場に立って仕事してきた私の問題意識を最初に申し上げると、よく日本では、正社員の雇用保護が強過ぎるということが言われているが、少なくとも私が労働者の代理人として経験したことから見ると、あまりそういうふうには思えない。というのは、確かに解雇には正当理由が要るということにはなっているが、実際上解雇された場合に労働者は、裁判を起こさなければいけない。裁判を起こすとなると非常に手間がかかる。

御案内のように、日本では、まずディスクロージャー、ディスカバリーとか、証拠開示の制度がないため、証拠が全然労働者にはない。それから、懲罰賠償が認められないから、最大限勝っても判決までの賃金しか認められない。仮に勝ったとしても、使用者には実際上復職させる義務はない。極論するとお金さえ払っていればいいということになって、実際上その労働者としてのキャリア上は非常な不利益をこうむる。それから、その訴訟費用、弁護士費用も本人負担であるから、裁判を起こすインセンティブが非常に低い。そういうわけで、労働者は法律上は守られているのだけれども、権利を主張することはなかなか難しい。

私は使用者側の弁護士になってからは、外国人が来て、いや日本では大変らしいですね、解雇はできないそうですねと言うから、判例集を調べるとそうかもわからないけれども、実際はそんなことはないですよ、と言う。要するに全く根拠のない解雇ではどうしようもないけれども、社会的に見て合理的と思われる理由があれば、解雇できるということ。今まで14年間外資系の企業をやっているが、そうした解雇によって、深刻なトラブルになったということは、ゼロとは言わないが、ほとんどない。リスクはあるけれども、コントローラブルなリスクだと言っている。ですから、実際には、必ずしもすごく労働者が保護されているとはなっていないというのが実際だと理解をしている。

ただ、今、申し上げたように裁判所の判例集だけ見ていると、これは解雇できないよねということになっているので、実態と建前が乖離しているというところに大きな問題があると思っている。・・・

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