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2014年2月 4日 (火)

フォーク・レイバー・ローの判例法理化?

ワークルール教育の主唱者でもある道幸哲也先生が、最近あちこちで昨年の淀川海運事件判決を問題だと訴えておられるので、簡単に紹介しておきます。

淀川海運事件:東京高判平成25.4.25労経速2177-16

事案自体は整理解雇で、人員整理の必要性もあり、解雇回避努力も講じていたとしているのですが、問題は人選基準です。

実はこの事件の原告は、サービス残業訴訟で会社を訴えていたのですね。それで、そういう「態度の悪い奴」が解雇対象者に選ばれたことについての判断:

・・・これらの提訴は、控訴人との関係においてはまさに正当な権利行使として、何ら非難されるべきものでないことは明らかではあるが、そのことと、被控訴人と他の従業員との関係、即ち、企業の存続と従業員の雇用の継続を優先して権利主張を自ら抑制した他の従業員が上記のような被控訴人の行動をどのように受け止めていたかと言うことについては、自ずから別の問題というべきである。

・・・そもそも労働契約が労使間の信頼関係に基礎を置くものである以上、他の従業員と上記のような関係にあった被控訴人を、業務の円滑な遂行に支障を及ぼしかねないとして、被解雇者に選定した控訴人の判断には企業経営という観点からも一定の合理性が認められるというべきであって、これを不合理、不公平な選定と言うことはできない。

ということで、見事に、態度の悪さこそが解雇を正当化するという醇風美俗たるフォーク・レイバー・ローが判例法理として確立しちゃっております。

仕事がなくなっても整理解雇は許されないということばかりに熱中して、いざ解雇不可避になったときの公平さがぽっかりと欠落してきた日本労働法学の見事な成果かも知れません。

(参考)

1120501182 日本の職場の「フォーク・レイバー・ロー」

(1) 「態度」の重要性

 本報告書で分析した労働局あっせん事案から窺われる日本の労働社会における「フォーク・レイバー・ロー」の最大の特徴は、雇用終了するかどうかのようなぎりぎりの段階において、労働者の適性を判断する最重要の基準がその「態度」にあるという点であろう。これは、明示的に「態度」を雇用終了の第一の理由に挙げている事案が多いことのみならず、言葉の上では「能力」を理由に挙げているものであってもその内容を仔細に見れば「態度」がその遠因にあるものも多いなど、極めて多くの雇用終了に何らかの形で関わっていることからも、強調されるべき点である。
 また、雇用終了の理由となるほどの「態度」の悪さといった時に、判例法理から通常想定されるような業務命令拒否や業務遂行態度不良といった業務に直接かかわる態度だけではなく、それよりむしろ上司や同僚とのコミュニケーション、協調性、職場の秩序といったことが問題とされる職場のトラブルが多くの事案で雇用終了理由として挙げられているという点に、職場の人間関係のもつ意味の大きさが浮き彫りにされているといえる。
 通常典型的な個別解雇事由として挙げられる非行についても、判例法理からみて直ちに解雇を正当化するまでの悪質性を有する事案は少なく、非行と非行に至らない「態度」との差は相対的なものに過ぎないし、逆に判例法理からしても客観的合理性に欠ける可能性が高いと思われるさまざまな権利行使や社会正義の主張といった労働者の発言への制裁としての雇用終了事案についても、まさに労働者の発言を悪しき「態度」と見なす考え方が背後にあるとみられる。その意味でも、フォーク・レイバー・ローにおける雇用終了理由としての「態度」の広範な重要性は強調される必要があろう。

(3) 職場のトラブル

 広い意味での「態度」を理由とする雇用終了のうちで、件数的に最も多いのが職場のトラブルを理由とするものである。49件にのぼる。これは、日本の労働社会において、職場の人間関係のもつ意味が極めて大きいことを物語っているように思われる。
 これらのケースにおいては、とりわけ上司や同僚とのコミュニケーション、協調性、職場の秩序、といった言葉がキーワードとして用いられており、こういった人間関係の円滑さが職務遂行上不可欠であり、これらを尊重する態度が欠けていることは雇用終了を正当化するほどの不良性を意味するという社会的意識が職場にかなりの程度存在していることが窺われる。
 この点、過去の裁判例が協調性の欠如を基本的に正当な解雇理由としては認めてきていないことと見事な対照をなしている。すなわち、廣浜金属工業事件(大阪地決昭56.3.13労経速1082)は、協調性にやや欠け、独善的な面を有している性格であったとしても、その言動により事業に支障を生じたことが疎明されない限り解雇は無効であるとし、日東工業事件(大阪地決昭62.3.16労判511)は、小規模でチームワークが要求される職場であっても、協調性および外部との応対に多少不適当な面があったことだけでは解雇理由になり得ないとしている。こういった裁判例の考え方と、以下にみられる職場の「生ける法」との間には、大きな落差があることがわかる。

いや、「落差」は縮小しつつあるのかも・・・。

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