今野・坂倉『ブラック企業VSモンスター消費者』
POSSEの今野晴貴さん、坂倉昇平さんの共著(正確に言えば、座談会出演の五十嵐泰正さんも共著者ですが)『ブラック企業VSモンスター消費者』(ポプラ新書)をお送りいただきました。
http://www.poplar.co.jp/shop/shosai.php?shosekicode=82010210
極悪クレーマーが会社をブラック化する。
ブラック企業は労働者だけでなく、消費者をも食い殺す。
「おもてなし」も社会をブラック化する!?
他人事ではない、すべての人の足元にある、大問題!
ブラック企業を酷いと思う人も、ブラック企業の商品を使ったことがあるだろう。
「消費者もブラック企業の共犯者だ」という人もいる。
一方で、ブラック企業は巧妙に消費者をだまし、食い物にしている。
土下座、食品偽装、食中毒や介護事故・・・。
モンスター消費者とブラック企業の攻防を問う!
ブラック企業が増殖する日本社会で、
消費者として知るべき現実。
「働く」とは何か? 労働には自己犠牲が必要か?
「お客様」である消費者は「神様」か?
個人の生活、未来、命にまでかかわる切実な課題であるにもかかわらず、
ずっと置き去りにされてきた「労働」と「消費」の問題について―――。
若者の格差・労働問題に取り組む話題のNPO法人POSSEの運営者が
深刻な「日本劣化」を防ぎたい一心で社会に一石を投じる、
共感必至にて衝撃の書!
ブラック企業を生み出している責任はモンスター消費者にもある!という最近よく言われる問題をとことん突っ込んで論じた本です。
坂倉さんの消費者運動の歴史をさかのぼった分析もスリリングですが、
第5章の今野、坂倉、五十嵐の鼎談が実におもしろい。ここで出てくるキーワード、エコでロハスなエシカル消費の意識高い系『ソトコト』を読んでる「フード左翼」って、今回の選挙で雇用や福祉に無関心な脱原発一枚看板な候補者を応援している人とダブって見えてくるところがありますね。
今野さんはツイートで国家戦略特区の危険性を強調していたけれど、彼らからするとそれは心にもない言いがかりに見えていたと思う。本当の危険性は、その「フード左翼」性にこそある、・・・という話にはならなかったけれど、その絵解きがちょうどこの鼎談に示されていたということかな。
(追記)
本書でも繰り返し説かれているように、この問題を増幅しているのはジョブの限定のない日本型雇用という特質ですが、サービス経済化による顧客の労働者に対するハラスメント問題は欧米でも問題となっています。
社会文脈の違い故か、それがまず何よりも労働問題として取り上げられ、労使団体が取り組むべき問題として意識されるというあたりは、彼我の違いを感じますが。
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