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2014年2月15日 (土)

法を知らない、じゃなくて、権利主張を知らない

今野晴貴さんが、突然ツイッター上で「憲法が大事」論者に対する批判を繰り広げていますが、

https://twitter.com/konno_haruki

憲法改正反対や、規制緩和反対を唱える人たちは、大半が憲法とか、新自由主義を持ち出す。私が聞きたいのは、「憲法とは何か」「新自由主義とは何」か、ということだ。憲法や親友主義は、スローガンのようになっていて、何をいっているのかわからない。そんなものを持ち出さずとも、反対する理由はある

労働運動家が「新自由主義批判をしない者は敵だ」と声高にいうとき、そこには弱点が透けて見える。「新自由主義」などという一般人にとってよくわからず、学問的にも確立していない概念を用いないと現状を批判できない。この「概念」を使うと、自分が一般の労働者より高尚になった気分になれるのだろう

「憲法」だの、「新自由主義」だのというものは、現状の悲惨な若者の状況を告発する上で、本当に必要なのだろうか。その言葉で、若者が奮い立つなどとういことが、あり得るのだろうか? それよりも、もっと実際的な分析と言葉が必要である。これらの言葉を用いる人は、若者を一段低くみている。

「私は憲法を知っている」「私は新自由主義を批判している」。これらが一つのアイデンティティーとなって、「運動家」に優越感を与える。「若者は知識が足りないから、理不尽な状況でも闘わないのだ」などと思い上がる。こういう愚かな姿勢が、世界中でこの20年間、徹底的に批判されてきたのだ。

「憲法が大事」「若者は憲法をわかっていない」などという「運動家」が、自分の企業の労働条件だけを必死に守っている様を見ると、もはや喜劇である。大企業の企業別労組が闘っている相手は、あくまでも個別企業。自分自身の利益でしかない。そんな人たちが、「憲法」を語るとは、おこがましい。

まだまだ続いていますが、これってかつて戦後熱心に交わされた議論のデジャビュですよね。

西洋語のレヒトとかドロワとかには、「法」と「権利」という両方の意味がある。自らの権利を守るべく闘争することの中にこそ、法を守るということの本質があるのだ、という法哲学の議論や、法解釈とは何より現実の権利・無権利状態をどうするかというすぐれて実践的な営みなのであり、法典から導き出される論理操作というのは物神崇拝であるというような法社会学の議論とか、いろいろとあったわけですが、そういうのはほとんど忘れ去られて、憲法典物神、労働法典物神等々の議論になっちゃっているじゃないか、といういらだちなんでしょう。

そのいらだちの通じなさ自体が、戦後60年の推移を物語っているという面もありますね。

も少しいうと、本来自分の人権が侵害されていることへの抗議をあくまでも主張していくことに中にこそあるはずの「権利の知識」が、憲法典の第何条にこういう権利が規定されているのにおまえはそんなことも知らないのかこの馬鹿め、というお勉強型知識として上から教えられることへの反発が、世に一般的なあ(とりわけ若者に一般的な)人権論への冷笑的スタンスの一つの背景でしょう(も一つは、それが「自分の人権」じゃなくもっぱら「他人の人権」として教えられるから)。

これは実は、労働法教育にもいえて、下手すると大学の労働法の講義を大量の水で薄めたようなお勉強型知識になってしまう。こういう目に遭ったらどういう風にすればいいのかという、「権利のための闘争」の技術教育じゃなくては、労働法なんてそもそも意味が無いんだけど。

法を知らない、というのは、プラクティカルにいうと、自分の権利の主張の仕方を知らない、ということなんだけど、それを法物神中心に考えると、なんとか法の第何条を知らない馬鹿、みたいな話になってしまうんでしょう。

今野さんのいらだちの正体がわかるかどうか、というのは結構重要なポイントのような気がします。

(追記)

51duztpi7dl__sl500_aa300_ちなみに、こういう観点から見て一番いい労働法のテキストは、ちょっと前の本ですが橋口昌治・肥下彰男・伊田広行『<働く>ときの完全装備――15歳から学ぶ労働者の権利』(解放出版社) でしょう。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/15-532e.html

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